第123話 死の森へ
2030年9月14日 9時
「本当に行ってみたかったなぁ……」
俺は馬車の中でそう言うとクラリス以外の【黎明】女子が嫌な顔をする中、クラリスだけは違った。
「まさかおかまバーだとは思わなかったわ……てっきり娼館だと思ってしまって……おかまバーは私も興味あるから今度一緒に行きましょう」
クラリスの言葉に他の女子メンバーが意外な顔をした。
「クラリス……マルスがそんな趣味持っていて嫌じゃないの?」
カレンが言うとクラリスが
「マルスが男の人好きになるわけないじゃない。私の全てを賭けてもいいわ。マルスは極度の女好きだけどそっちの気はないわ。それにおかまバーって私たち女が行っても楽しいって聞いたことあるから1回は行ってみたいのよ」
笑いながらフォロー?してくれた。極度って……普通だと思うけど……
「そ、そう……クラリスがそう言うのであれば私も行こうかな……」
カレンがそう言うと結局みんなで今度行こうという事になった。おかまバーの人たちは絶世の美女4人を目にしてどう思うのだろう……
今俺たちは馬車20台で死の森に向かっている。大量の補給物資(主に水)の警備をかねているのだ。
今回は【暁】全員での移動なので警備もかなり楽だ。俺とエリーが警戒していればそうそう後れを取ることは無いし、近づかれてもクラリスとライナーがいる。朝にイザークを出発して夕方にイザーク騎士団と烈火騎士団の陣が張っている場所に着いた。
まだレッカは寝ている時間であろうから俺は2つの騎士団の後ろに大き目の家を建てることにした。
今回は女性メンバーが多いので両騎士団には悪いが天幕よりもセキュリティの高い家を選んだのだ。細かい部屋を作らないようにし、リビングダイニングと大部屋2つ、そしてトイレ4つに浴槽を6桶作った。
この家を前線にも作るつもりだ。食べ物さえ用意できれば水は10人分であれば俺が確保できるしMPの多いクラリスも水を用意することができる。とにかく死の森で経験値を稼いで全体のレベルアップを目指す。特に【創成】のレベルアップは急務だ。ちなみに3人のステータスはと言うと
【名前】バロン・ラインハルト
【称号】-
【身分】人族・ラインハルト伯爵家嫡男
【状態】良好
【年齢】10歳
【レベル】24
【HP】53/53
【MP】254/254
【筋力】34
【敏捷】32
【魔力】34
【器用】35
【耐久】27
【運】1
【特殊能力】剣術(Lv6/B)
【特殊能力】火魔法(Lv3/D)
【特殊能力】水魔法(Lv2/D)
【特殊能力】土魔法(Lv5/C)
【特殊能力】風魔法(Lv3/D)
【装備】
【装備】
【名前】ドミニク・アウグス
【称号】-
【身分】人族・アウグス準男爵家当主
【状態】良好
【年齢】10歳
【レベル】22
【HP】50/50
【MP】40/40
【筋力】30
【敏捷】32
【魔力】14
【器用】16
【耐久】23
【運】5
【特殊能力】剣術(Lv6/C)
【特殊能力】風魔法(Lv3/E)
【装備】疾風の剣
【装備】身躱しのマント
【名前】ミネルバ・ゼビウス
【称号】-
【身分】人族・ゼビウス子爵家長女
【状態】良好
【年齢】10歳
【レベル】20
【HP】22/22
【MP】182/182
【筋力】9
【敏捷】10
【魔力】30
【器用】22
【耐久】8
【運】1
【特殊能力】剣術(Lv2/E)
【特殊能力】鎖術(Lv1/C)
【特殊能力】火魔法(Lv4/D)
【特殊能力】水魔法(Lv3/D)
【装備】水精霊の杖
【装備】シルバーチェーン
【装備】魔法の法衣
【装備】マジカルブーツ
とにかくミネルバの攻撃手段が限られてくるのが問題だ。なるべく早くイザーク辺境伯に鎖の本当の使い方を教えてもらわないと本当にミネルバはただのSM要員になってしまう……
ただリスター連合国の人間だけあって最大MPは高い。リスター連合国はバルクス王国、ザルカム王国と違い、鑑定の儀で魔法の才能がある子供にはMPを限界まで使わせることが多い。
ただ限界まで使ったからと言って最大MPが上がるかは個人差だ。俺みたいに毎回上がる者もいれば10回に1回しか上がらない者もいる。
バロンにしてもC級冒険者クラス、ドミニクはC級からD級クラスと言ったところだ。ドミニクの装備の弱さも気になる……
ライナーとブラムは全くレベルが上がっていない。ライナーはあれだけ脅威度D以下の魔物を狩りまくっていたのにレベルが上がらないのはやはり脅威度Dの魔物からは経験値がもらえない、もしくは貰ってもとても少なくなっているのであろう。ブラムはもうレベルが50超えているからそうそう上がるわけはない。
家を造り終わった俺は先に見張りの騎士団員の所に行っていたカレンと合流した。流石に急に陣の所に家を建てたら怒られると思ったのでカレンに許可をとりに行ってもらったのだ。
カレンが言えば何をやっても許されるとの計算もしっかりしていた。今はイザーク騎士団が死の森に行って烈火騎士団が休んでいるらしい。
レッカに後で挨拶に行くことを伝えると俺は新築の家に戻り、MPを枯渇させてから寝ることにした。
俺は寝る前にクラリス、エリー、ミーシャ、ミネルバは外に出ないようにと伝えた。なかなか戻れなくて悶々としている中女性陣を見たらどんな反応をするかなんとなく分かってしまうからね。
3時間後に起きると俺の右隣にはミーシャ、左隣にはエリーが寝ていた。エリーとミーシャを起こしてみんなでレッカの所に行こうと思うのだが、エリーがなかなか起きない。するとミーシャが
「エリリンは全く起きないよ。いつもこうだからエリリン置いていく?」
「それは出来ない……最初くらいは顔をしっかり合わせておかないと」
俺が言うとミーシャが
「じゃあこういう時は王子様のキスだね」
どの世界でも美女を起こすのは王子のキスというのが定番なのだろうか? 俺は仕方ない(本当は嬉しい)素振りを見せてからエリーにキスをした。
俺のキスでエリーは起きたのだが寝ぼけながら思いっきり拳を握りしめて振りかぶった。やばい……エリーがキレてる。
「ごめん! エリー! 起きなかったから!」
俺がエリーに慌てて言うとエリーは目を見開いて俺の事を認識すると拳を開いて俺の首の後ろに回して抱き着いてきた。
「……今の……マルス……?」
「あ、ああ。おはようエリー。ミーシャが起きない美女の目を覚ますには王子のキスだろうという事で俺が王子役としてキスをしたんだ。ごめん」
「……嬉しい……毎日して……マルスからだと……クラリス怒らない……と思う」
エリーが言うと部屋の扉の所から
「怒るわよ! 急に部屋から大声がすると思ったら……いつまでも発情していないで早く着替えてこっちに来なさい」
いつの間にかいたクラリスに怒られた。そう言われるとエリーが力なく俺の首から手を解く。ただ今回勉強になったことが1つある。エリーの寝込みを襲う男が居たら死を覚悟した方がいいという事だ。俺もさっきの起こし方をするときは警戒するようにしよう……
もうレッカは起きているはずなので【暁】全員でレッカの天幕に向かった。やはりレッカの天幕に行く時に烈火騎士団の全員が【暁】女性陣を見ていた。レッカの天幕の前に行くとカレンが俺に挨拶をするように促す。
「レッカ様。リスター帝国学校のマルスです。今日は一緒に死の森に行くべく、クランメンバーと共に参りました。僕を含めて10名ほどおりますが、入ってもよろしいでしょうか?」
「入れ」と天幕の中から言われたので、天幕の中に入ると、カレンを見たレッカは驚いていた。
「カレンお嬢様。再びこのような所に来て頂きありがとうございます」
まずレッカはカレンに対して挨拶をすると次は俺に対して
「マルスよく来てくれた。だが後ろの美しい女性たちは何だ? 流石に非戦闘員がいるのはいくらカレンお嬢様の頼みでも飲めない」
身だしなみを整えながら聞いてくる。するとカレンが俺の代わりに説明した。
「この4人は全員1年生のSクラスよ。私たちの身は私たちで守るから心配しないで頂戴」
バロンがカレンの言葉に続く。
「お久しぶりです。レッカ様。カレンの言う通り彼女たちは強いです。僕がSクラス序列6位と言えばお分かり頂けるでしょうか?」
レッカはバロンが居たことに気づいていなかったようだ。ずっと女性たちを見ていたからな。
「な、バロン君ではないか……北の勇者と呼ばれ間違いなくA級冒険者の逸材と言われたバロン君が序列6位だと……?」
レッカが驚く。ここでいつものように1人ずつ自己紹介をした。
「初めまして。序列2位のクラリス・ランパードと申します。マルスの婚約者です。以後よろしくお願い致します」
「序列3位。金獅子のエリー・レオです。私もマルスの婚約者です。よろしくお願いします」
「初めまして。序列5位のミーシャ・フェブラントです。マルスの婚約者の順番待ちしてます。エルフです」
ミーシャの順番待ちって……最後にカレンが
「驚いたでしょ?この【黎明】というパーティは
「き、金獅子が3位か……本当に今回の1年生はレベルが高いのだな……そしてカレンお嬢様がその中で4位というのは我々にとって誇ってもいい事か……それ以上にこんなに美しい者たちが全員マルス君の婚約者とは……よほどマルス君は期待されているのか……カレン様を側室として迎え入れるなんて贅沢な……」
まぁいつもの反応だな。もう慣れました。今回は【黎明】だけではない。
「初めましてレッカ様。僕は序列7位のドミニクと申します。バロンと同じ【創成】というパーティに属しております。よろしくお願い致します」
ドミニクが言うと続いてミネルバも
「初めまして。私は序列8位のミネルバ・ゼビウスです。私も【創成】です。よろしくお願い致します」
最後にライナーが
「リスター帝国学校Sクラス武術担当のライナーです」
片膝をつき首を垂れるとブラムも同じ態勢で
「同じくSクラス担当のブラムです。我々は【剛毅】というパーティを結成してマルス
この言葉に事情を知らない者全員が驚いた。ブラムが俺の敬称に「様」を使ったからだ。
「ライナー……どっかで聞いたことがあるような……」
レッカが呟くとライナーが
「私は10年以上【剣狩り】として悪名を轟かせていました。それをマルス
ライナーも俺に対して「様」と言うとまた事情を知らない者たちが驚いた。
「そうか! 【剣狩り】だ! 噂では呪われていたという話だが解呪できたのか」
レッカが言うとライナーが「はい」と答えた。
「ふむ。これはかなりの戦力という事か……なかなか期待できそうだな。これからよろしく頼む」
その後も色々な話をして大分時間が経ってしまったらしく、烈火騎士団が出発する時間になってしまった。
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