第42話 襲撃
「金貨250枚!」「金貨300枚!」「金貨320枚!」
これは主催者側が
買う方は分かっているのだろうか……
すると先ほど主催者側に質問してきた目を隠している仮面の男が
「金髪金眼の男の子と銀髪の娘とエルフの子、この3人だけで白金貨10枚!ゴミはいらん!」
俺ら子供3人に10億円……どんなロリコンだよ……
すると会場中からおぉーと声が上がった。
鋼鉄の精神力を持ち合わせているダメーズはもう立ち上がれない。
俺たち3人は目を隠している仮面の男の下に連れていかれた。
どうしても聞きたいことがあったので俺は男に聞いた。
「あなたは僕たちをどうするつもりですか?」
「奴隷が主人に向かって聞く言葉遣いじゃないな。徹底的に教育してやるから楽しみにしておけ」
少しでもいい人間かもしれないと思っていた俺がバカだった。
目を隠した仮面の男が白金貨10枚を用意している時にそれは起こった。
オークション会場に隣町で会った商人が取り巻きを従えて乱入してきたのだ。
「そのエルフの子は、俺の物だ! このゲドー様から盗むなんていい度胸してやがる! 出品者出てこいやぁぁあああ」
この奴隷売買している奴らと商人は別のグループだったのか。
ややこしい。それにしてもゲドーっていう商人も攫ったミーシャを自分の
ゲドーたちが乱入してきたおかげで会場は大混乱だ。
それに乗じて奴隷たちも逃げ出すかと思ったんだが、誰も逃げ出さない。
「今のうちに逃げないのですか?」
俺が落札された奴隷に聞くと
「ああ、私たちは自分から望んで奴隷になったんだ。主人も別に問題がなさそうだから私はこのままがいいのだよ。それにオークションに回されるというのはかなり奴隷にとっては光栄なことなんだよ。奴隷市場で売られるよりも扱いがいいしね、君たちは無理やり攫われたのかい? もしそうなら逃げた方がいいかもしれないが、この会場はかなりの手練れがいるから諦めた方が身のためだよ」
「分かりました。丁寧に教えてもらってありがとうございます。あともう一つよろしいですか? お兄さんはかなり強いと思うのですがお兄さんよりも手練れがここにいるのですか?」
「聡いな君は。先ほどの紹介も嘘ではなかったのか……そうだな私はC級冒険者下位の力があると思うが、ここを警備している奴らの中にB級冒険者が2人いるはずだ。C級冒険者とB級冒険者の力の違いは絶対だからな」
俺以上が二人いるのか。
俺は自分をB級冒険者くらいと思っていたが、
B級冒険者は
俺はクラリスとミーシャの前に立ち、いつでも戦闘になってもいいように警戒をする。
また目を隠した仮面の男と、取り巻き、そして主催者側も俺たちを包囲してゲドーから守ろうとしている。
ゲドーは自分の手下6人を俺たちへ向けた。
「ゲドーのエースパーティの【奈落】が来たぞ!B級冒険者2人いるから我々だけでは太刀打ちできない!早く応援をよべ!」
俺らを守る奴らがそう言った。
そしてその通り奈落は俺らの周りの人間たちを次々と倒していく。
いつの間にか俺らを落札した目を隠した仮面の男はいなくなっていた。
そして俺たちの周りの護衛を倒したときに、主催者側のエースパーティ6名が到着した。
「久しぶりだな【奈落】、俺たち【月夜の闇】に殺されに来たのか?」
「抜かせ、今日こそお前たちを殺す!」
激しい戦いが始まった。
戦いが始まってすぐに俺は2人に聞いた。
「ここにミーシャが知っている人はいるか?」
「いない」
「クラリス、変な魔法を使うってやつはいるか?」
「いるわ、月夜の闇の方に黒いマントを纏った魔法使い風な奴がいるでしょ?そいつよ」
俺はそいつをすぐに鑑定すると、
【名前】ワルツ・ビスタリア
【称号】-
【身分】人族・平民
【状態】良好
【年齢】28歳
【レベル】26
【HP】50/50
【MP】78/95
【筋力】12
【敏捷】18
【魔力】35
【器用】22
【耐久】18
【運】1
【特殊能力】火魔法(Lv4/D)
【特殊能力】風魔法(Lv3/D)
【特殊能力】睡眠魔法(Lv1/G)
ステータスはジークを少し強くした感じだ。特殊能力に睡眠魔法というのがある。
もしかしたらこれは後天性のスキルなのではないか?
どうやって習得したのか、もしかしたら俺の雷魔法習得に役立つ可能性がある。
是非捕らえて聞いてみたい。
戦いは月夜の闇が有利に進めている。
要所要所で睡眠魔法が効果的だ。
奈落側のパーティが催眠で眠らされると必ず一人が起こしに行かないとならないから、どうしても奈落側の手が足りなくなる。
俺はこのまま月夜の闇が優勢のまま状態を静観することにした。
なんせゲドー側にはもう1パーティいるからね。
数十分かけて月夜の闇が奈落のパーティを壊滅させた。
しかし止めを刺そうとしたときにゲドー側から邪魔が入った。
一人の剣士風の男がゲドーの所からやってきてその間に奈落のメンバーが敗走していった。
「ちっ、ボス猿が出てきやがったか……」
「久しぶりだな、オリゴ。うちの奈落を可愛がってくれてありがとよ。俺もお前らを可愛がってやるから全員纏めてかかってきな」
男の圧力はすさまじかった。
今までの威勢はどこに行ったのか、月夜の闇のリーダーのオリゴという男がかなり委縮している。
オリゴも強く、ステータス的には俺よりも筋力、敏捷、耐久が高く魔力と器用が俺の方が高いという感じだった。
しかし今目の前に現れた男はオリゴをより一層強くした感じだ。
【名前】キュルス・ウェハース
【称号】-
【身分】人族・平民
【状態】良好
【年齢】32歳
【レベル】41
【HP】128/128
【MP】52/52
【筋力】58
【敏捷】60
【魔力】15
【器用】35
【耐久】62
【運】1
【特殊能力】剣術(Lv7/C)
【特殊能力】水魔法(Lv2/E)
これがB級冒険者か……
接近戦だと今の俺では太刀打ちが出来ない。
しかしこれだけ強いのに装備はというと全然そろっていない。
唯一剣だけが価値Cの物だった。
【名前】氷の刃
【攻撃】12
【特殊】魔力+1
【価値】C
【詳細】ミスリル銀で作られた剣。魔力を込めて剣を振ると振った先が凍結する。
俺はやはり豪運の持ち主という事なんだろう。
まぁ自分の装備は出てないんだけどね。
月夜の闇は全員で攻撃にかかったが、キュルスには全く敵わない。
睡眠魔法も当たらなければ意味がない。
ものの2、3分で全員戦闘不能状態になってしまった。
しかしキュルスは月夜の闇のメンバーをわざと逃がす。
「ほら、早くしっぽ巻いて逃げな。俺は命までは取らない。本当の敵はお前らじゃないからな」
「ちっ、キュルスめ! いつもいつも余裕を見せやがって。今に見てろ!」
そう言って月夜の闇は敗走した。
キュルスがミーシャの方に歩いてきたので、ミーシャの前に立ち、キュルスの前で剣を構えた。
「おい、俺はガキをいたぶる趣味はねぇんだ。おとなしくしてろ」
そう言ってキュルスは俺の剣を払うが俺はしっかりとキュルスの剣を受けた。
キュルスが驚いた顔をして俺を見る。
「お前、何者だ? いくら加減していると言ってもガキが俺の剣を受けられるわけがない」
俺は黙って剣を構えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます