身の丈に合わせて
シヨゥ
第1話
「楽に生きるために金は必要なのかな」
「そりゃあ必要だろう」
友達のつぶやきにそう返してしまう。
「本当に?」
だから会話になってしまう。つぶやきを無視してだらだら漫画を読んでいればよかった。なんて思うぐらいには話すのがかったるい。
「そりゃ金がなきゃ生活できないんだ。有るだけ有るほうがいいだろ」
正論をぶつけておしまい。と思っていたのだけど、
「でもそのお金を稼ぐために苦労するんだよね。それって楽に生きられていないよね」
と返ってきて、
「たしかに」
と納得してしまう。
「楽に生きるためには実はちょっと余裕があって、たまにかつかつぐらいが丁度いいんじゃないかなって思うんだけど」
「……生活レベルに収入を合わせるってことか」
「そうそう。君は理解が早いね。そんなわけで転職しようと思うんだよね」
「急だな」
「疲れちゃって。生活レベルを落としてもっと楽に生きようかなって」
「そっか」
「そうそう」
「ほどほどにな」
「分かっているって」
話はそこで終わる。 お互いに黙々と自分のことをやる時間。横目で見やれば転職サイトへの登録をしているようだった。
「転職サイトに掲載できるぐらい金を持っているっていうことは」
「ああなるほど。その可能性は否定できないね。君は賢いね」
すべてを言わなくても通じる仲。友達には幸せになってほしいものだ。
身の丈に合わせて シヨゥ @Shiyoxu
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