第6話

 少しだけ悪臭が漂ってきた。

 元は良い人の家だったけど、今ではゴミ屋敷だ。


 住んでいた人は綺麗好きだったとか、収集家だったとか、三年前から色々と言われるようになっていた。


 ぼくも顔を知っている。

 岩見さんは、とても良い人だった……。


 そうだ。

 ぼくの頭を良く撫でてくれたし。

 袋一杯のお菓子をくれたこともあった。

 

 三年前のあの皺だらけで柔らかい笑顔は今でも忘れていない。


「ここから入ってみよう」

「うん」

「もう誰もいないんだし」

「そうだね」

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