第2話 水漏れ

〇県〇市 深山工務店内 近道 保志


 

 ジーン……。リーン……。ジーン。リーン……。


 真夏の騒音で耳から頭まで痛かった。


 こりゃなんだ。虫と電話のベルと、後なんだ?


 座っているだけなのに。


 ただ座っているだけなのに。


 一番うるさい電話の音から消してやる。


「はい。深山工務店です」

「あのー、水漏れが酷くて……」

「ええと、うちは水漏れの修理とかはしてないんですが?」

「住所は……」

「はいはい。わかりましたよ。もう一度、住所を……」


 ベニヤ板の壁に立て掛けてある靴を履いて、外へと出た。外の熱さは工務店の中よりも熱い。


「太陽はいつもカチカチに燃えてるってか?」


 そう文句を言い放ちドアを開けて、さっき聞いた住所へとバンを走らせた。バンの中には工具が入っている。

 恐らく水漏れなんてすぐに直るだろう。

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