はぐれ魔導士の依頼受注

山本二郎

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気付いた時は既に「それ」は真後ろに立っていた。

腰に提げた剣の柄に、反射的に手をかける。

「それ」が腕の様なものを振り上げた瞬間に剣を…

ドッっ!

突然、鈍い音が聞こえた。

同時にさっきまで「それ」がいたはずの場所に白い「何か」が飛来する。

「はっ…⁈」

思わず声が溢れたが、それ以上は続かなかった。

「それ」と入れ替わるように目の前に立った「何か」は、どうやら白いローブを纏った人間らしい。

被っていただろうフードが衝撃に耐えられず、持ち主の意思に反して「何か」を晒す。

薄く紫色に反射する長い銀髪が溢れた。

露わになった横顔は星を湛えた夜空の様な瞳で「それ」を見つめている。

「………」

ひどく冷め切った表情の美しい女がそこに居た。

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