第27話 嘘つき

 「シオンちゃん、どうしたん? シオンちゃんが泣いてるの初めて見たわ」

 

 勇気のお迎えに行くと、勇気と仲良しのシオンちゃんが大泣きしていた。


「ユウ君が、ユウ君が、シオンのこと嘘つきやて言うんやもん。シオン嘘ついてへんもん」

「あら、ユウがそんなこと言うたん。ユウ君ママが怒ったるから、もう泣かんとき」

 

 シオンの涙を拭きながら、園庭を見回し勇気の姿を探した。いつものようにリョウと砂遊びに夢中になっていた。


「ちょっと、ユウ」

「あっ、ママ-」

「ママーやあらへん。シオンちゃん泣かしてええと思うてん」

「だって、シオンちゃん嘘つくんやもん」

「嘘やないもん、ママが言うてたもん。ユウ君ママとリョウ君ママ取り替えっこするんやて」

「取り替えっこなんかしないよね、ママ、僕、ママがいい、ママじゃなくちゃいやだ」

 

 今度は勇気が泣き出し、ミカのジーンズに顔を埋めた。

 止まりかけていた涙がまた溢れ出てきて、シオンの頬を濡らした。ミカはシオンも一緒に抱きしめた。

 そこにシオンママが現れた。


「シオン、お迎えが遅くなってごめん、あら、泣いてたん。そんなにママ来るの遅かった?」

「そんなことやあらへんみたいよ。シオンママ、子どもに何言うてん。そりゃユウもシオンちゃんのこと嘘つきや言いとおなるわ」






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