NTRは両片思いの始まり ―気付いたら陽キャ美少女寝取ってました―

他津哉

第一章「始まった二人のカンケイ」

プロローグ


 薄暗い室内で目を開けると窓を叩く雨の音が聞こえる。音の大きさから外は土砂降りなのは分かった。

 体に心地良い倦怠感を感じながらベッドの上で首だけ動かした瞬間、窓が光って数秒遅れて雷の落ちる大音量が部屋の中で響いた。


「きゃっ!?」


「っ!? もう……起きたんですか?」


 雷の音と光に驚いたのか隣で眠っていた少女が悲鳴を上げてビクッと動いた。それに反応して体をモゾモゾと動かすと隣の彼女と目が合った。


「う~、だって、あんな大きな雷なら驚くし……わるい?」


「いえ、ただ先ほどよりも可愛らしい悲鳴だったので驚いただけです」


 薄暗くても分かる濡れた黒い瞳と整った顔立ち、そして上気した肌を見て今さらながら自分のやった事を思い出していた。勢いでやってしまったと数時間前の自分の行動を振り返るが今さらだ。


「てか葦原こそ学校と別人でアタシそっちが気になるし」


 今、彼女が言ったが俺の名前は葦原あしはら 星明ほしあき、普通の学校に通う学生だ。


「こちらの事情を詮索しないのも条件ですよ天原さん」


 そして彼女の名前は天原あまはら 綺姫あやき。俺と同じ学生だった少女で同い年だ。


「そりゃ聞いたけどさ……うっ……」


 すると隣でベッドに横になっていた彼女は顔を歪めた。何かの苦痛を訴えるかのような表情に俺は少し動揺して声をかけていた。


「どうしたんですか」


「別に、少し痛いの!! てか葦原のせいだし……ううっ」


 それだけ言うと二人で被っていた毛布を奪い取り自分の体を隠すように覆って恨みがましい目で見て来るので全て察した。


「ああ、すいません激しくし過ぎましたか? 大丈夫と言っていたので」


「限度が有るし……ま、まあ、思ったより痛くなかったけど」


 再度ピカッと外で光と音が今度はほぼ同時、轟音と稲光が再び俺と天原さんを襲う。今度はさすがに俺でもビクッとするが、それ以上に彼女の方が怖かったらしい。


「大丈夫……ですか?」


「う、うん……ご、ごめん、さっき嘘ついた、怖い」


 ガタガタ震える彼女は全裸のまま俺に抱き着いていた。彼女の柔らかい体の感触に当たり前のように興奮して自分の節操の無さにイライラする。


「すいません、それと先ほど言いましたよね病気のこと」


「聞いたけど……でも雷こわいし」


 さらにギュッと体を押し付けるように強く抱きつかれると俺の症状はどんどん悪化していき、もう限界に近い。


「はぁ、はぁ……離れて天原さん」


「いいよ、どうせ一回も二回も同じだし、どうせなら雷も忘れさせてよ」


 そんな彼女を見ながら数日前まで顔見知り程度だったクラスメイトと裸で抱き合っているのか未だに頭の整理が追い付かない。だけど目の前の少女は今は間違いなく自分のものだと、それだけは理解できた。


「分かり、ました……ふぅ、はぁ、俺も自分のこれが嫌になるんで今回は優しく出来ないかも天原、さん」


「あ、綺姫で良いから……その、星明……くん」


「俺も、呼び捨てで、いい!!」


 そして俺は濡れた瞳の彼女を見ながら数日前の出来事を思い出す。まだ彼女とはクラスメイトで顔見知り程度だった時の事を思い出しながら彼女とキスをしていた。

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