小さな手をにぎって

中筒ユリナ

第1話 サムとチコの生まれ

さぁ、再びのお話だ。


チコとサムのお話。


語り手はお馴染み、俺、シヴァだ。


さて、二人に物語を書いてやると言ったものの、何から話すのがいいのか。。


てか、俺はいつも言うが、情報がなければ物語なんて書けないんだよ。


おい!サム! 何から書いたらいいんだ?


サム「ですから、僕とチコは平凡な生活ですし、愛も平凡ですし・・・


物語なんて難しいですーっ!」


いや、なんかあるだろ?そもそもサムはチコの為に生まれたんだよな。


サム「そうです。僕はチコの為に生まれ、チコの為に存在するとも言えますから。」


そうなんだな。チコの為に存在するって、自分の為はないのかよ。


サム「自分の為なんて考えた事ない・・・かも・・・。」


マジか。。。普通は自分自身の為にもあるもんだろう。


サム「僕は父である父さんから、存在こそがチコの為だと言われて育ちましたから。」


そ、そうなのか。。。


では、まずは、生まれた事から話すとしよう。


で?わかる奴はいないのか?


ヴィシュヌ「ここは、僕が話すとしようね。」


あぁ、頼む。


ヴィシュヌ「サムとチコちゃんはね・・・」



遥か昔、とある世界・・・


男一人がもがいている。


「うっ、、、つぅ、、、!」


地面に横たわりもがくこの男。


名を「オニキス」と言う。


彼は只今自分の御霊分けをするいわば分身とでも言おか、我が子を誕生させようと真最中なのだ。


ただ、もう何回目だろう。。。


彼はまだ、一度も我が子を誕生出来ずにいた。


自分の魂の一部を分け新たな命を誕生させるなどかなりのエネルギーがいる。魂の一部ならばまだしも、全体のバランスを保ちながらの我が子を生み出す事は当時のオニキスからは、かなりの至難だったに違いない。


それもそのはず。彼はまだ若い。経験すらも乏しい青年だったからだ。


なぜそんな彼がそのような事をするはめになったのか。。。


それは、僕、ヴィシュヌからの依頼を受けていたからである。


当時、宇宙では、次々にグループが結成され、かなりの活動をなされていた。


神、もしくは宇宙の生命の者が中心となり、宇宙からの使命を担い、宇宙銀河やら、地球は勿論、他の星などを守護されたりしていたんだ。


僕も天の神々より、グループの結成を依頼された一人。。。


当時は、仲間と言う者もおらず、まずは、どんなグループにしたいか。使命をどういった事をするのかなど、細かく、天の神々、宇宙の方々と話あわれていた。


そうして、グループの使命が決まり、それに合わせて、天が良き、名も無き方々を抜擢される。


そうして、僕らのグループは少しづつ出来上がっていった。


使命は、地球を守護し、そこに携わる人々の魂の向上を目指すというものだ。



オニキスとは古くからの知り合いで、僕、ヴィシュヌとは友達とでも言っておこう。


彼の持つ基質や、天性的なものを僕はいつも羨ましく思っていた。だから、当然僕はグループに入ってほしく、神々に打診をしてみたが、断られる。


なぜ駄目なのか?。。。


すでに、神々の中ではある計画がなされているようだった。



幾年か過ぎ、グループに新たな女神が入ってきた。


その女神こそパティだった。


彼女は、愛の女神であり、とある星に住んでいたのを闇の連中に占領され、仲間の女神は散り散りになり、彼女は僕の知り合いに保護されてきたのだ。


それが、ゼウスなんだ。


シヴァ、驚いたかい?


シヴァ「そりゃ、驚くだろ。あの星には俺も幾度となく、応援に入っていたからな、、、そこで、、、ゼウスとは。。。こりゃ、驚きだな。


で?、、どうなるだ?」


パティはそれは、それは、綺麗な可愛らしい女神でね、魂の向上をしてもらうに、うってつけ。


ぴったりだったんだよ。


だけどね。。。彼女は過去の辛い恐い体験が尾を引き、グループの女神達、仲間とは上手くいくものの、使命が果たせなかったんだよ。


そこで、神々はパティを僕の友人がいる世界へと移り住むよう提案し、そこで新たなる子供を御霊分けするのはどうだろうかと話を持ってきたのが始まりなんだよ。


確かにその世界は安全安心な世界だ。


パティにとっては安らぎの地とも言えるだろう。


僕は彼女を、友人のオニキスに預ける事にしたんだ。


これこそが、神々が計画していた事だと、後に知る。


神々は、僕を通して、オニキスとパティ二人に向けて話す。


神「どうだろうか。二人の持つ、素晴らしい素質を活かし、子を、成してほしい。」


パティ「どういった事でしょうか?」


オニキスも真剣だ。


神「グループにとっての良い子を、育て、使命を全うでき、皆の役にたつよう。。。そんな存在の子供を二人で生まれさせてほしい。


オニキスに至っては、ヴィシュヌからの要望が強いのでな。」


二人は、2つ返事で承諾した。



シヴァ「よく、承諾したよな。」


パティ「私はゼウス様に助けて頂きましたのに、グループではお役に立てませんでした。それが悔やまれましたから。神からのご依頼、嬉しく思いました。我が子に会える喜びもありましたが、私が、出来なかった使命や、私達の星のようには、地球はなってほしくはなかったのです。」


シヴァ「なるほどな。。。あの星の出身だったんだな。」


それで、その何人かパティは子を、生まれさせたんだよ。


チコちゃんは、最後に生まれた子でね、上のお姉さん達は皆、それぞれの道をあるいている。


さぁ、チコちゃんが生まれるよりも先にオニキスがサムを生まれさせる事に成功したんだ。


オニキスは、中々できなくてね、やっとサムを生まれさせたというわけだ。


後にオニキスは、「かなり苦戦したが、自分の全てを捧げた息子だ。」そう言っていたよ。


サムが生まれてから幾年か過ぎてチコちゃんが生まれたんだよね。


赤ちゃんではないけど、人で言えば、1歳か、2歳かくらいかな。


可愛くてね。幼いサムはチコちゃんにメロメロだったのを覚えてるよ。


母のパティの出来なかった使命をと皆は考えていたようだけど、


僕はすくすくと大きく成長し、自ら何を成せるかを開拓してもらえたらいいと考えていたんだよね。


パティは、途中、焦りもあったようだけど。。。


チコちゃんの良さを伸ばし、伸び伸びと成長するのを楽しみにしていたんだよ。



シヴァ「そうなんだな。


ところで、なぜ、チコちゃんにサムなんだ?」


オニキス「それは、チコは「愛の女神」の系統を色濃く引き継がれています。愛を司る者は、「愛とは」を真の意味を知るまでには時間もかかり、弱い存在です。


真の愛に近づけられた時は強くもなれるでしょうが、それまでは、只の優しさのみとなります。


その弱い間に彼女を支える者として、サムが必要でした。


誰でもいいわけではなかったようです。」


ヴィシュヌ「まだ、未熟なチコちゃんには、オニキスの血を受け継ぐ、どんな相手でも、最後まで寄り添える強さ、優しさ等を兼ね備えた者が必要だったんだよ。」


シヴァ「なるほどな。。。最後まで寄り添えるか。。。」


ヴィシュヌ「まぁ、シヴァのグループのリーダーの中筒様の精神の強さは、誰も抜けないだろうけどね。」


中筒「かいかぶりぞ。ヴィシュヌ殿。」


シヴァ「いや、お前の右にでるものはないだろうな。。。」


ヴィシュヌ「そんなわけで、二人は生まれたんだよ。」


シヴァ「おい、サム、全然平凡じゃねぇじゃん!

かなりのロマンが詰まってそうだな。」


サム「勘弁してくださいよ。。。恥ずかしいですよ。。。」


サムは、ちょっと照れながら、微笑んでいた。。。。


さぁ、次回からは、いよいよ、恋愛話か?


楽しみだな。。。なぁ、サム(^^ゞ







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