「モンゴル弾丸らっきょうトラベル」

佐々木 煤

三題噺 「らっきょう」「旅人」「薬」

 モンゴルの砂漠にらっきょうを売る旅人がでるらしい。漬物好きで古今東西のらっきょうを食べてきた私としては確かめねばならぬと思い、モンゴルに旅立った。

 モンゴル二泊三日ツアーに申し込み、砂漠を廻ったが、土地勘の無さから迷子になってしまった。よもや蜃気楼に迷い込んだ冒険者の末路をたどると覚悟を決めた時

 「毎度、お世話になります〜。薬売りでございます」

大きな風呂敷包みを背負い、暑そうな着物を着た男が目の前に立っていた。こいつはまさしく私が求めていたらっきょう売りだ!

 「らっきょうを…、らっきょうをください!」

 「お嬢さんはらっきょうの前に水とかもっと必要なものがあるとお見受けするけど、らっきょうでいいんですね?」

 「これで散るなら本望です!」

男は包みから真空パックに入ったらっきょうを出して渡してくれた。

 「次に目を開いたときにらっきょうは食べて下さいね」

そこから記憶は途絶えている。

 目を開けたとき、日本の私のベットの上だった。日付はモンゴルツアーに申し込む前だ。手には真空パックのらっきょうが握られている。とりあえずらっきょうを食べてみたが、スーパーと変わりない味がした。

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「モンゴル弾丸らっきょうトラベル」 佐々木 煤 @sususasa15

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