ある日突然利き手の右手が不自由になったお話
Sakitty
第1話 いつもと変わらぬ朝
2022年4月14日、私は6時30分に起床し、いつも通り準備し、7時30分に私が勤めるプレス金型製作とプレス加工を営んでいる会社へ出社しました。
プレス金型とは、プレス機という圧力を掛ける機械に取り付けて使うもので、
身近なものに例えると、たい焼きやベビーカステラを作るときに使う型の金属加工用と言ったところでしょうか。
たい焼きと違うところは、金属を加工する為に機械の力で数百tの圧力を加えるところです。
その会社で私はプレス加工の部署に入社し、入社4ヶ月経ったところでした。
8時5分からはラジオ体操があり、朝礼があって、8時10分から作業開始です。
前日の夕方から始めた作業の1工程目の残りを9時半頃に終わらせ型を機械から取り外したところで一旦お手洗いに行き、一息吐いたところで2工程の型を取り付けに掛かりました。
プレス機にはその型自体の高さや加工目的に合わせて、どのくらいの高さから圧力を掛けていくのかを調整する装置が付いていますが、機械によりその上限、下限が決まっています。
2工程目の型の高さに対して、プレス機側の下限が足りない為、通称マクラと呼ばれるブロックを2本型の上に乗せて高さを補ってあげる必要がありました。
上手く設置してあげないと、金具で固定する時に力が逃げてしまい、金具が外れて何100kgある型が落ちてしまい大惨事になりかねないので、しっかり位置を調整する必要があります。
プレス機には安全装置を付けることが法律で義務付けられていますが、私の会社にあるプレス機8台の内1台にしか安全装置は付いていなくて、型を取り付けているときに万が一作動ボタンを押してしまうと非常に危険な為、私はいつも操作回路を切ってから型を付け外ししていました。
が、この時たった一度その操作回路を切るという作業を忘れたばかりに、万が一の事が起きてしまいました。
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