第3話 覗くな(2)
私は初めて志保ちゃんの家に来た。
洋風の家でまるで童話に出てくる様な作りでとっても可愛い。志保ちゃんにピッタリのお家だ。
「お邪魔しまーす。」
「はーい」
私達は靴を脱ぎ志保ちゃんの部屋に入った。
志保ちゃんの部屋は大きなクマのぬいぐるみとウサギのぬいぐるみとクローゼットと勉強机があった。
クマのぬいぐるみのつぶらな瞳が可愛い。
一体どこで買ったんだろう?
そんな呑気なことを考えていた。
「お茶持ってくるねー。」
「うん」
志保ちゃんは下の階へと下がっていた。
ジーッ
『また』だ。
部屋には私以外誰もいないはずなのに………一体どこから?本屋さんに志保ちゃんと一緒にいた時も……
でも一つわかる志保ちゃんは嘘ついてなかった。
じゃあ誰なのよ!?この視線……一体どこから…
私は怖くなり、部屋の隅に移動した。
数分後、志保ちゃんが来たが私は視線のおかげで楽しむことができないので家に帰る事となった。
それから数日、学校にいても
家に帰ってもまだあの視線が続く………
自分の部屋にいても、リビングにいても…どこにいても
あの「視線」を感じる。
私は見られると言う「恐怖」を覚えた。
私は気分転換に外に出た。
「あら!沙織ちゃん元気?」
「あっはい」
隣のおばちゃんに捕まってしまった。
……話長いんだよね。
「 見てない間に大きくなったわねぇ。
まるで、智香さんそっくり!」
「…そうですかね?」
「えぇ、智香さんみたいに美人に育つちゃってるわよ。」
「ありがとうございます。」
お世話でも嬉しいかった。
……自慢のママに似てると言われたから。
「 あっ、もうこんな時間!ドラマが始まっちゃう
またねぇ、沙織ちゃん」
「はい」
私は行き先を決めて無かったので適当に歩き出した。
私は気づいたら公園に来ていた。
人は一人も居なかった。
お気に入りの公園でさえ、怖いと思ってしまう。
ガクガクと体が震えてしまう。
誰かに隣に居てもらうって本当に羨ましい…そういっそう強く思ってしまう。
急に誰かが話かけて来た。
「どうしたんですか?沙織さん?」
えっとどっかで見た事あるはず誰…かな?
「あっ志保ちゃんの弟くん」
「はい、そうです。あの公園に来たら沙織さんがいて……
何か悩んでる事があるんですか?相談乗りますよ?」
弟くん……
精神的に限界が来た私は弟くんに全てを話した。
「そうですか……大変でしたね。警察に通報した方が良いんじゃないですか?」
「多分、警察は信じてくれないと思う。自意識過剰って思われるだけだと思う」
「‥‥沙織さん俺は信じます。だから何かあったら俺を頼って下さい。」
弟くん…まさか信じてもらえると思っていなかった私にはとても嬉しい言葉だった。
「ありがとう。何かあったら連絡するね」
「はい!あっ俺塾があるので…」
「うん。またね」
弟くんは塾に向かった。弟くんの言葉は本当に嬉しかった。
でも……頼ったせいで弟くんに迷惑がかかったら?
志保ちゃんにも被害が出たら?そう考えると怖かった。
「ごめんね。……弟くん」
外はとても暗くなってきたので家に帰る事にした。
もう嫌になってきた私はその視線の人物を探す事にした。
『視線はどこにいても感じる』私はこれが一番重要だと思っていた。部屋には人一人居ない。そう『私』以外いない。志保ちゃんの部屋にいた時もそうだ。
「一体どこから………」
私と志保ちゃんの部屋の同じ所は、何かないのかな?
ぬいぐるみ?うんうん、私の部屋にはない。
それに最初の視線の本屋さんにも無かった。
机、クローゼット、ぬいぐるみ、本棚、ベット……
そっか……わかっちゃった。
……《隙間》だ、そうとしか考えれない。
本屋さんの本棚、志保ちゃんの部屋のクローゼット
………そして私の部屋のベッドの『下』
私はその考えが本当なのか確かめようとベッドの下を覗こうとした。
私はとても後悔した。
その隙間からは……
【と……のぞ……】
この世のものとは思えないような声が聞こえた。
次の瞬間そいつが出てきた。
見た目はからは人間じゃない……それしかおもえなかった。
グチャグチャで目や口と言えないパーツ
ただ怖いと言う感情しか無かった。
そして、それは私に近づいてきた。
「いやっ!来ないでぇぇーーーーー」
私は全力でがむしゃらに走った。行き先など決まってない。
ただ、走った。【あいつ】から逃げるために。
気づいたらまた公園に来ていた。
それだけ公園に行く事が染み付いているのかな?だと思った
「あいつは?」
どうやら、追いかけて来てないようだ。
「助かった?」
私は気が抜けた。あんな体験はもうしたくない。
早くパパに会いたいと思った。
ふと、思い出した。
あの化け物が言っていた言葉は何だったんだろう。
「と……のぞ……」
一体どう言う事だろう?
と…のぞ…
とり…のぞ
「とり除くな?」
一体どう言うことなんだろ?
自分自身、思いつく事がない。
ジッーー
またあの視線!?
あいつが居るの!?もう嫌!
私はまた走り出そうとした。
でも出来なかった。
位置が……位置が悪かったのだ。
あいつは、どんなに狭い所でも潜ってくる化け物。
……下水道の通る位置にいてはダメだったのだ。
私はあいつに足を掴まれた。
私は抵抗するけど、その抵抗も虚しくどんどん引っ張られる
あいつに近づくにつれ、あいつがなんて言っているのか
ハッキリ聞こえた。
「智香、僕と一緒に居る事を…やっと望んでくれたんだね。あははははははははは、ウレシィナァあはははははは」
そうか……だから「と…のぞ…」
最初は意味が分からないかった。でも今なら分かる。
私のお母さんの名前だ。
この化け物はお母さんと私を勘違いしているのだ。
おばちゃんの言っていた事は『お世辞』じゃなかった…
なんでこんな事になったんだろう。
「覗か…なけ…らば………願うん…じゃか……った…」
グチャッ
最後に聞いた音は……とても不快な音だっ…た………
「 以上で語りを終わります。ん?なになに?
その子はどうなったって?…さぁ知りませんね。
知りたければご自身で確かめてください。
今回の隙間男は一体何を求めていたんでしょうか?
「愛」それとも「悦楽」「エゴ」一体なんでしょうね?隙間やろ……失礼ですね。隙間男達は隙間を好みます。……ほら貴方の家もどこかに隙間はありませんか?
棚と棚の間…ドアの隙間。
案外私達の近くにいるかも知れませんね。
えっそんなのいないって?さぁ信じる信じないかは自由なので良いです。一つ言うのなら……
次は……一体だれでしょうね?
ではこれで配信を終わります。では……また」
ブッ
そうして、動画サイトは閉じらされた。
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