第16話 気晴らしに
「このスイーツ食べ放題コースでいい?」
「うん。」
郁利は彼女を元気づける為、おしゃれなカフェへ来ていた。
なぜ状況を知っているのかというと、あの日帰宅したあと直ぐさま幼なじみの彼へきららとのことを話していたからだ。
「今日は美味しいスイーツたくさん食べよ!」
「そうだね、郁利ありがとう。」
浮かない表情をする彼女と話をしていたら、注文を受ける為に従業員がやってきた。
その人物は見覚えのある姿で二人とも目を丸くする。
「え、
「やっほー!カフェでバイトしてるんだね!」
「お前ら来てたのかよ…」
予想外の出来事に真祐は顔をしかめるも、注文をとっては足早にキッチンへと戻っていく。
まさかお互いこの場所で出会うとは思わなかっただろう。
「なんか意外…」
「でも普段とギャップがあっていいじゃん!」
彼が立ち去ったあとおもむろに口を開いた相手に対し、郁利はいつもの様子を思い浮かべれば逆に違うからいいのではと彼女に話す。
しばらくして食べ放題用のお皿が運ばれてくると、二人は席を立ちショーケースの前で立ち止まる。
「どれも美味しそうで迷うね!」
「…そうだ!それならこうしない?」
色とりどりのスイーツ達を眺めながら彼女が迷っていると、郁利は1つ画期的な提案をした。
違う種類のものをお互いにとり、シェアをすれば何種類も食べられるという考えだ。
「確かに!じゃあそうしよっか!」
「うん!僕は右側の方から取るから、結愛は左からお願い!」
結愛も彼の考えを聞いて納得すると、2人はスイーツを沢山お皿にのせて席へ戻ればいただきますと挨拶をして食べ始めた。
スイーツを口の中に入れたとたん、結愛も郁利もたちまち幸せそうな表情に変わる。
「美味しい!!」
二人して口を揃えて言うと、みるみるうちにお皿にのっていたケーキやゼリーが消えていく。
どうやらここのスイーツが気に入ったようだ。
「おいチビ、そんなに食ってたら太るぞ?」
「別にアンタには関係ないし!」
1皿目を食べ終え2皿目もペロリと平らげ3皿目に手をつけようとした時、真祐がやってきてからかうように話しかけてきた。
彼女はその発言に食べていたものを飲み込むと、むすっとした表情をして相手に言い返す。
「真祐、女性にそんなこと言ったらダメだよ。」
郁利が二人をどうなだめるか考えていると、もう一人カフェの制服を着た見慣れた人物かやってきて彼に注意をする。
「あれ、もしかしてなゆくん?」
「2人ともゆっくりしていってね。ほら、真祐行くよ。」
「うん、ありがと!」
彼の幼なじみである十和は、結愛の言葉に頷くと微笑みながらたまに手伝いに来ていることを話せば真祐を連れて立ち去っていった。
二人は彼らの様子を見て、顔を合わせて笑い合う。
結愛の気持ちも少しは晴れたのではないだろうか。
こうして楽しい休日の時間は過ぎていくのだった。
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