第11話 覚悟
「神野、皆昨日はごめん。」
「別に。」
翌日、朝食バイキングの会場へ来た結愛は昨晩のことを謝罪した。
真祐は彼女の言葉にそっけない返事をして、朝食のパンを食べ始める。
それから2人は黙ってしまい、なんだか気まずい雰囲気だ。
「はい!これで二人共仲直りね!」
その様子を見かねた侑利は、タイミングを見計らって2人の手を握らせるとにっこり笑った。
きっとこの空気に耐えられなかったのだろう。
結愛と真祐は彼の唐突な言葉に驚くも、お互い視線を合わせればと納得したように頷いた。
しばらくして全員が朝食を食べ終えると、先生の合図でそれぞれ野鳥観察へ向かっていく。
真祐達も散策に出発して少し立つと、小鳥の囀りが聞こえ結愛は切なくなる。
なぜなら昨日はきららも一緒にいたからだ。
彼女は寂しさを感じつつも皆には迷惑をかけまいと平静を装う。
そうしているうちに、野外学習最後の野鳥観察の時間は終了した。
集合場所へ戻ると、教師達は戻ったチームから点呼をとり全員いるのを確認すればバスに乗るよう指示をしていく。
「神野、ありがとう。」
「え。」
自身の乗るバスへ歩みを進めようとした時、真祐はふと結愛の呟く声が聞こえて立ち止まる。
一体何のことだろうかと不思議に思ってはいたももの、すぐに十和に呼ばれ彼女に確認することは出来なかった。
結愛は彼より先にバスに乗り込こむと、席に座って何か考えて込んでいるようだ。
全員乗り終えたところでバスが動き出せば、皆は各々話し始め楽しそうな雰囲気だ。
しかし彼女だけはなぜか周りと様子が違う。
先程の考えがまとまったのだろうか。
「決めた。」
「ん?」
「私、きららちゃんに告白する。」
真剣な面持ちで話す相手を見て、花凜は一瞬驚きが隠せなかった。
まさかここで告白の宣言を聞くとは思ってもみなかっただろう。
「結愛なら大丈夫。」
「ありがとう。」
少し間を置いて、花凜が彼女に応援の気持ちを伝えると結愛は力強く頷いた。
果たして彼女の告白は上手くいくのだろうか。
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