第2話 入学式

「おはよう結愛。」

「おはよう!花凜遅くなってごめん!」

「ううん、早く行こ…わっ!」

高校初日、2人は校門の前で待ち合わせをしていた。

時間より少し遅れて結愛が到着すると、お互いに挨拶を交わす。

そしていざ校舎へ向かおうとした時、誰かが花凜にぶつかっていったのだ。


「ちょっと待ちなさいよ!アンタぶつかっておいて謝罪もないの?」

「結愛、大丈夫だから。」

彼女はぶつかってきた相手に怒りながら声をかけるも、走っていってしまい相手から返答はない。

一方、その人物を追いかけるように走ってきた男性が花凜へ声をかけた。


「すみません、大丈夫ですか?」

「え…あ、ありがとうございます。」

彼は彼女へ手を差し伸べ起き上がらせると、申し訳なさそうに話す。

花凜はというと紳士な対応され、彼に見惚れてしまったようだ。


「あの、もしかしてさっきの人と知り合いですか?」

「はい、彼は幼なじみなんです。後で僕から注意しておきますね。」

「ありがとうございます!」

そんな彼女とはうらはらに結愛は先程の人物に対して彼へ問う。

幼なじみという言葉に驚くも、注意をしてもらえると分かるとほっとした表情をみせた。


「あ!お二人も入学式へ出席するんですよね?もうすぐ始まるので急ぎましょう!」

「はい!」

ふと彼は学校の時計を見ると、急いでいたことを思い出し2人に伝えた。

彼女達は話を聞くと、そういえば!と思いながら返事をして彼の後を追いかける。


会場へつくとほとんどの生徒が集まって席に座っていた。

空いていた後ろの席を見つけ3人で向かうと見慣れた赤髪の人物が前に座っているではないか。


「あ!!さっきのヤツだ!」

「は?ってか十和なんで女といるんだよ?」

「さっき真祐がぶつかったから一緒にきたんだ、ほら謝って?」

「…わーったよ、悪かったな。」

結愛は先程の人物を見つけるなり、むっとしたような表情をしながら彼を指さした。

当の本人はなんのことか分からず不思議そうに十和へ訊ねると、さっきぶつかったことを言われ頭を掻きながら花凜へ謝罪をした。


「ふん、花凜が許しても私は許さないから!」

「はぁ?今謝ったからいーだろうが。」

「謝り方が気に入らないし!」

「いや、お前には関係ねーだろ!」

真祐が謝罪するも、結愛の怒りは収まらず嫌味を言う。

それに対し、彼も彼女の言葉には納得いかず言い合いをする。


「ちょっと2人とも!もう先生達も来たから座ろう?」

花凜は先生達が来たのに気がつくと、口論を収めるため席へ座るよう促した。

彼女の言葉を聞くと、2人とも渋々着席する。

しかしまだ言い足りない様子だ。


しばらくして、学校のチャイムが鳴ると校長先生のスピーチで入学式が始まった。


これが彼女達と彼らの出会いであった。










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