第6話 オリエンテーション前の一悶着

□霧宮朧

「ふわぁあぁふ……。くそねみぃ……」


昨日は色々あったからな。主に、あのばーさんのクソ面倒な収集依頼クエストやら、妹からの追及やらで。結局、寝れたのは午前の2時くらいだったし。


「まぁ、今日に授業がないのはありがたいか」


昨日は入学式で、今日はオリエンテーション。確か終わるのは午後の3時とかだった気がする。その影響か、朝も始まりは11:00だったんで多少は寝れたんだが。それにしても-


「仕方ねえけど、朝からこの目線は鬱陶しいな…。」

「ふふ。お兄様の魅力の賜物ですね。それに、世界1位が同じ高校に通ってるんですよ?そんなん見ちゃいます、多めに見てくださいね?」

「まあ、な。でも、多分視線の半分近くは雪月ゆづきだと思うぞ?なんてったって群を抜いて綺麗だしな」

「まぁまぁ、お兄様ったら♪そんなに妹を褒めても何も出ませんよ?」


そう楽しげに笑ってみせたのは、妹の雪月である。ちなみに、正真正銘の実の妹だ。アニメや漫画でよくある実は義妹でした、てパターンじゃない。まあ、それは置いといて相変わらず浮世離れしている、という言葉がしっくりくる自慢の妹だ。きらめく白銀の髪は、ハーフアップに纏められ後ろで小さくポニーテールを作ってる。顔立ちも目鼻が整っており、特にその黄金色の瞳が神秘性をグンと上げていると思う。10人中10人が振り返る容姿だ。


「で?お兄様?昨日の入学式の件なのですけど、どうして来なかったのですか?」

「まだ続いたのか、それ。昨日言っただろ?ほら。ちょっと寝心地が良いとこでうたた寝してたら入学式の時間過ぎちゃったってさ」

「いえいえ、私は全然よいのですよ?お兄様が『雪月は不安だろうからな、一緒に居てあげるよ』とか優しい言葉で勝手に期待をさせただけですからね?なのに、本人は寝ていたとか言っているだけですからね?」

「は、はは。わ、悪かったよ」

「はあぁー〜。もう、いいですっ。お兄様は私の事大事じゃなかったんですねっ」

「ちちちち、違うぞ!?雪月!?」

「つーん。」


うわぁぁあ、昨日の俺、バカヤロぉおおおお。こうなった雪月て、なかなか機嫌直してくれねぇんだよ…。くそ、仕方無かったとはいえ、これはどうするか。確か前こうなった時は100個くらい好きなところ言わされたっけ。こ、今回は何が来るんだ……?


「あ、あのぉ雪月さん?どうすれば、機嫌直してくれますかね……?」

「じとーーーーーー」

「あの、ゆ、雪月さ〜ん?」

「ぷいっ」


しまった!今日はほんとにめんどくさい方だ!要するに、自分で考えないといけないやつですね!?うーーーーむ。これは、ほんとのこと言った方がいいか?いや、でもなぁ…


「お兄様が本当のことを言ってくれたなら許してあげます」

「え、あ、えーーー。マジっすか?」

「そんなに言いたくないことなのですか?私は、昨日あんなにも心配しましたのに、ほんと〜〜〜に何も言ってくれないのですか?」

「………………。ふぅ〜。なあ、ホントのことを言っても怒らない?」

「怒りませんよ。それとも、お兄様は私に怒られるようなことをしていたのですか…?」


あ、しくったわ。やばい、雪月の背後で吹雪が待ってる。顔とか笑ってるのに、寒気しかしないんだが!?


「いや〜、そんなことないんじゃないかなぁ、なんて。」

「いいから、早く答えてください。」

「はい」


そうして俺は、昨日のことさくらとの師弟関係について話した。


「-と、いうことがありまして……」

「……………………」

「ゆ、雪月さん?」

「ふ、ふふふふ。うふふふふふふ。そうですか、そうですか。私を差し置いて?他の女とイチャラブイチャラブイチャラブやってたんですか?ふふふふふ」


よし、逃げよう。やな予感しかせんもん。あともうちょいで学園にも着くし、避難先としてもってこい、だよ、な……?


「じゃ、じゃあ、もう話したから俺そろそろ行くな?ほら、新しいクラスも行かなきゃだ、し…」

ガシィッ「お兄様?どこに、行くの、ですか?」


あ、終わった…。


「スキルセット!-【氷花の監獄コキュートス】!!!お兄様なんて、知りません!お兄様のばかーーーーー!」


氷属性王級魔法を叩きつけられ、完全に凍ったのでした。はは……、こうなるとは思ってましたよ。その後、俺がオリエンテーションの時間に来なかったのを不思議がって、探してくれた一澄のおかげで無事に救出されました。なんと俺のクラスは、俺のためにオリエンテーションを待っていてくれたらしく、無事に参加出来たことはありがたかった。

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