4Season4Legacy 読み切り
緑樹ユグ
「蝶の羽」
2人が並んでいる。夕焼けを見ながら2人はお別れの挨拶をしようとしていた
1人は大きく、どこか威圧感のある風貌で。もう1人は中位の大きさで。しばしのお別れを言おうとしていた
…アザトースとヨグソトースであった。ここはアマリリスの高台。2人はただ夕焼けを見ていた
アザトースは旧魔王で現在はただの邪神として。ヨグソトースは旧副王でこれから異次元へ向かわないといけない
時空と空間を操れるヨグソトースの力を使えばすっ飛んで行けるが、異次元なのでしばらくは現世へ行けないだろう
黙って夕焼けを見ていたらアザトースが口を開く。ヨグソトースの顔を見て言う
アザトース「…ヨグソトース。しばらく会えないのか?」
アザトースが言うと、ヨグソトースはすぐに答える
ヨグソトース「うん。異次元で大きな支配人が亡くなってね。次の支配人はヨグが一番だって言われて…だから、行かないと」
現世に別れを告げるのが少々悲しいのか。トーンを落とした声で言った
ヨグソトースは既に異次元の存在を知り、前の支配人とは仲良くしてエイリアン達を指示していた
たまに異次元のエイリアンが現世に行きたいというお願いもある。そこはヨグソトースの力で行かせてはいる
またちょっとの間、無言が続いた。アザトースも寂しいのかその顔は悲しそうな顔をしていた
旧魔王、旧副王。人間の形をしているのだから感情だってある。アザトースは悲しそうに、ヨグソトースも寂しそうに
アザトース「…だが、お主が行ってもこの世界は大丈夫だ。アークデーモン殿、ジャバウォック殿が切り盛りしてくれるだろう」
現魔王と現副王の存在がある。アザトースは既に魔王という存在を退いている。ヨグソトースもいつの間にか副王ではなくなった
ヨグソトースの場合アザトース、デーモンロードと続いて副王だったがアークデーモンになったときに副王を辞めている
直接ジャバウォックに副王になってほしいと言い、副王を退いた。後は後任がしっかりしてくれればいい
実際アザトースもヨグソトースも長生きしておりその存在は未だに大きい存在だ
ヨグソトース「ありがとね。アザトース、今までありがとう。君がいてくれたからヨグは生きていける。それだけだよ」
そう言うとヨグソトースはそろそろ別れをしないといけなかった
ヨグソトース「…そろそろ行くね」
彼女はすっと後ろを向いて、次元の扉を開けた。異次元へ行かないといけない
アザトースは声を大きくしてヨグソトースに言う
アザトース「…ヨグソトース!いや、副王!」
副王と言われてヨグソトースはアザトースに振り返る。その顔は微笑んでいた
ヨグソトース「…何かしら?魔王」
彼女はアザトースを魔王と呼んだ
アザトース「たまに、現世に戻って我に会いに来てくれないか?」
ここまで言うとヨグソトースはとびっきりの笑顔をして言う
ヨグソトース「もちろんよ!また会いましょう!我が魔王殿!」
そう言うとヨグソトースは次元の扉に向かい、そして通っていった。大きい音をたてながら、消えていった
1人残されたアザトース。アザトースはヨグソトースの力はさすがに持ってはいない。ヨグソトースしかできない
夕焼けがそろそろ沈み、夜に近い時間帯になった。アザトースはまだヨグソトースのことを思っていた
アザトース「絶対に…必ずいつか会おう。ヨグソトース」
その顔はどこか決心をしたような顔だった
異次元…
ここは時間帯が全く無く、いつ朝なのか、いつ夜なのかちっともわからない。時間とは、現世のみにある空間だ
空はいつまで経っても天の川がある。それでいて全く暗くはならない。いつも明るい時間帯の不思議な異次元である
この異次元を支配しているヨグソトースはいつもどおりの日常を送る。部下のエイリアンからヨグ様。と言われている
ヨグソトースというのがちょっと長い名前なのか略して言われているが、ヨグソトースは決して嫌には思っていない
どのエイリアンもヨグソトースの事を信頼しており前の支配人と同じぐらい信頼と信用されている
だが結構単純な頭をしてるエイリアン達だからいちいち指示しないといけない。そこは人間に負けている
そんなエイリアンの住む異次元だがヨグソトースはこの異次元の支配人になってもうどれぐらい経つだろうか?
彼女自身はだいたいとも言えず長年異次元に暮らしていた。今日もエイリアンに指示をする
ヨグソトースが暮らす部屋では人間と同じような部屋となっている。そこは現世と変わらない
今、彼女は部屋の真ん中にある大きいゲージを見ていた。これは前の支配人が最後に残ったゲージである
亡くなる前にゲージに入り、そしてモヤとなり、そうなった。ヨグソトースは毎日このゲージを見ている
よくわからない死亡?の仕方だがいつ蘇るのかと言うとそれもわからないままだ。不明な部分が多い
ヨグソトース「…前の支配人さん。ヨグ、上手くいってるから安心して眠ってね」
眠ってなどと言われても本当にまた蘇るのだろうか?それはヨグソトース自体も知らない
そんなことつぶやいたら彼女は大きいデスクへと行く。現世ではまだ採用されていない、電子監視モニターがあった
モニターをチェックしてエイリアン達の様子を見る。どこかおかしい部分があったら空間を越えて見に行く。それだけである
実際エイリアン達だけでなんとかなるんじゃないかなーとは思うがもう一度言うが単純なので彼女が行くはめになっている
今日…というか今はあまり異変はない。モニターを動かしながら色々な場面をチェックする
橋を渡る場所、機械が置いてある場所、大きいエイリアンがいる場所…様々な場所をチェックしていた
特別異常は無い。こんなふうに1日を過ごす
…しかし突然通知音が鳴る。これは現世と同じような固定電話の通知だ。ヨグソトースはゆっくりと受話器を取る
ヨグソトース「何?」
そう言うと電話越しのエイリアンはどこか慌てた声をする
エイリアン「支配人!大変なんです!」
大変?またどこか機械の故障か?だかそんな慌てなくていいのに
ヨグソトース「慌てないでいいわよ。何かあったの?」
エイリアン「は、はい。実は、人間が横たわっているんです!」
…人間?どうしてここへ?ヨグソトースの顔が不思議な顔になった。なぜ人間が?
ヨグソトースは瞬時に考えたが、ここは自分が直接行ったほうが良さそうだ。冷静な声をする
ヨグソトース「わかった。場所はどこ?」
エイリアン「はい。橋のある場所です。その真ん中に、人がいます」
そう言われるとヨグソトースは橋をチェックした。おや?確かに人型の生き物が横になっている。どうしてここに?
ヨグソトース「今すぐ行くわ。決して人間を触らないように」
エイリアン「はは!」
これはアクシデントだろう。人間がここに来た理由がわからないが、急いで行ったほうが良さそうだ
サリエルと行った天使ならエイリアン達は何もしないが何もわからない人間がここに来るともしかしたらエイリアンが食べると思う
ヨグソトースはすぐに橋のある場所に空間を作り、その場所へ直接行く。その動作は一瞬だ
橋に着いた。すぐに異変がわかった。周りにエイリアン達がいる。ヨグソトースは行く
ヨグソトース「どいて!人間はそこなの?」
そう言うと周りにいるエイリアンが言葉を発する
エイリアン「はい。こちらです」
エイリアンが言うと周りを空けてくれた。…確かに人間だ。性別は女性だろう
その女性は服をきちんと着ていて顔がなかなかの美人だった。ショートヘア。髪色も黒で普通の女性だった
横になり、意識がないのかもしれない。ヨグソトースは冷静になりながらも心では疑問だった
なぜここに?普通の種族でも例えば天界と地獄へはそう簡単には行けない。ましてやこの異次元にも簡単には行けないはず
ヨグソトースはその女性を触ろうとした。意識がないだけか?死んではいないだろうか?
しかし、触ると体温を感じる。失礼だが胸の心臓部あたりを触る。鼓動がある。念の為に脈を触る。動いている
ただ気絶をしてるだけだろう…。ここへ来てワープに耐えられず失神してしまった可能性が高い
ヨグソトース「どうしてここに…。あなた達、この子がここへワープした瞬間、見てる?」
彼女が言うとエイリアン達はしどろもどろに答える
エイリアン「その瞬間を見てないんですよすいません。ただ、ワープの音が聞こえたため、私達が来たらこんな感じで…」
ヨグソトース「そう。…この子はヨグが預かるわ。あなた達は持ち場に戻りなさい」
エイリアン「わかりました」
そう言うとヨグソトースはひょいっと女性の身体を持ち上げて自室へ向かおうとした
生きているのなら、きっと目を覚ます。もしどこか怪我をしてるようなら回復の泉に行かせよう
そう思い、ヨグソトースは自室へと行った
ヨグソトースは自室に戻り、その女性をベッドに寝かせた。どこか痛いところが無ければいいが
…しかしこの女性、なかなかの美人だ。種族はまだわからないが恐らく人間であろう。美人の人間は多いと聞く
そして、なぜここへ来たのか。どこか空間が歪んだのだろうか。事例が無いことは確かだ
空間を越えるヨグソトースの能力でもそう簡単には空間を他人に使わせようとはしない。エイリアンでもだ
前の支配人が空間をいじったのだろうか?だが前の支配人はそんな能力は無い。ただ異次元の支配人だった
ヨグが原因?そんなことも考えたがこの空間能力、もしそうならあっちこっちで空間の歪みが始まるはずだ。違うとは思う
だが、この女性はここに来た。一体どうしてだろう…?
そんなこと考えてたら女性から声が聞こえた。意識が戻ったか?ヨグソトースは女性の顔を見る
?「う…うーん…」
その一言を言うと女性の目が開いた。そしてはっと身体を起こし、ヨグソトースの顔を見た
?「あ、貴女は…?ここは…どこですか…?」
なんて言えばいいのだろう。ここは異次元だ。正直に言ったほうがいいかもしれない
ヨグソトース「…ここは異次元。そしてここはヨグの部屋。ヨグソトースって言うの。異次元の支配人よ」
ここまで言うと女性はぽかんとした顔になる。そりゃそうだ。異次元だなんて言ってもわからないに決まっている
?「い、異次元…どうしてここにいるのかしら…」
異次元というのをわかったのかわからないのか…。だがヨグソトースは言う
ヨグソトース「貴女の事、教えてほしいわ。大丈夫。ヨグは何もしないよ」
女性はもう一度ヨグソトースの顔を見た。同じ人間で一安心したのだろう。女性の口が開く
?「私、ヘザー・メルニクスと言います。種族は人間。私、散歩してたら突然空の一部が黒くなって…なんとなく見てたら、
突然引き寄せられるかのように身体が宙に浮いて…吸い込まれました。…後のことは全然わかりません」
ヘザーというのか。いい名前だ。だが現世でそんなことがあったなんて。ヨグソトースは驚きつつも冷静さを保つ
ヨグソトース「…貴女の出身地はどこ?」
ヘザー「はい。シダレカです」
ヨグソトースは更に言う
ヨグソトース「何か、エイリアンと接触したとか無い?」
言ってる意味がわからないが、あえて言ってみる
ヘザー「エイリアンですか?いえ、知ってはいますけど一度もエイリアンに会ったことありません」
ヨグソトース「ふーむ…そうなのね」
ヨグソトースは悩んでしまった。こういう言わば緊急事態は初めてだ。よくわからない
エイリアンに接触していれば恐らく次元の歪みとか空間の歪みができるという仮説をヨグソトースは考えたがどうも違うようだ
ふと、ヨグソトースはヘザーの身体にネックレスをしてるのに気づく。黒光りしたネックレスだった
ヨグソトース「ヘザー、そのネックレスは一体何かしら?」
ヘザー「これですか?父がどこか露店販売で買ってきてパワーストーンみたいなものだって言われて付けているんです」
それを聞くとヨグソトースは気づいた。もしかしてこれか…?
ヨグソトース「そのネックレス、外してヨグに渡してもらえる?」
ヘザー「はい。いいですよ」
彼女はネックレスを外し、ヨグソトースに手渡す
黒光りしていて、どこか怪しい雰囲気がした。ヨグソトースは試しに首にかかげてる鍵を接触してみた
鍵が反応する。そしてネックレスがきらめき始めた。これだ…!ヨグソトースはすぐにヘザーの顔を見る
ヨグソトース「ヘザー。貴女が異次元に来てしまった理由がわかったわ。これ、ネックレスが原因よ。
このネックレスはこの世界の石。この石はワープ装置にも使われる石さ。だから突然空間が開いてここへ来たんだよ」
そう言うとヘザーはかなり驚いた表情を見せる
ヘザー「え!?そうなの!?だ、だから異次元?に来てしまったのね…」
ヨグソトース「しかし誰が異次元の石を現世に持ってきたのかしらね?重罪だよこれ」
しかしヘザーはヨグソトースの顔をもう一度見る。ヘザーは思ったがなんて素敵な女性なんだろう、と
ヘザー「原因がわかって、嬉しいです」
ヨグソトース「とりあえずこのネックレスは保管しておくね。また空間が開いたらだめだし」
ヘザー「はい!あのー…ここから帰れるでしょうか?」
そう言うとヨグソトースは笑顔で言う
ヨグソトース「大丈夫よ。住所を言ってくれれば細かい場所も空間を切って行けるから。もう帰りたいよね?」
彼女が言うとヘザーは嬉しくなる
ヘザー「はい。できれば…」
そう言うとヘザーはベッドから立ち上がりヨグソトースの側に行く
ヨグソトースは側に寄られたら一瞬だけドキッとした。なんで?ヨグがドキッとするなんて…。何か心が動いたのだろうか
しかし相変わらず冷静を保ちつつヨグソトースは言う
ヨグソトース「住所を教えてくれない?」
ヘザー「はい!えーとシダレカのリョクジシティの…」
ヘザーは細かい住所を言う
言い終わるとヨグソトースは鍵を持ち、空間を認識して考える。そして、空間を取り出し、鍵を開ける
その場で空間が開いた。目の前にはヘザーの住所であろう場所が見えていた。ヘザーは大いに喜ぶ
ヘザー「わあ!すごい!ヨグソトースさん、ありがとうございます!」
ヨグソトース「うん。次は気をつけてね。ネックレスは預けるよ」
ヘザー「…本当にありがとうございました!」
ヘザーはすぐにその空間を飛び込み、自宅へ戻った
自宅に着いたのを確認してヨグソトースは空間を閉じる。ふー、ちょっとしたアクシデントだったがまあ大丈夫ならいいだろう
しかしこのネックレス…エイリアンの誰かが空間に投げ込んだのだろうか?後で全体できちんと注意をしないといけない
そう思い、ヨグソトースは全体をアナウンスした
数日後。
とりあえずエイリアン全員に注意をしたため空間に物を投げ込むというのはしないことに決めた。これで大丈夫
だが、ヨグソトースは忘れられなかった。美人であるヘザーがあれだけ美しいことを。ドキッとしたことを…
ヨグの心の何かが動いたのかしら?そう思った。これをなんていうのか?よくわからない感情だ
ふと思った。彼女に会いたい。震えて…ってほどでもないがもう一度彼女の笑顔がみたい。そう思った
彼女の住所は今でもきちんと覚えている。なんなら行ってしまおうか。早速支度をする
しかしちょっと間支配人がいなくなるため一応異次元でちょっと偉いエイリアンに伝える
前にサリエルとサルエルがヨグソトースの部屋に行くときに案内したエイリアンがいたが一応、偉いエイリアンである
言わば秘書だ。早速連絡をする
ヨグソトース「ちょっとあなた」
エイリアン「はい!なんでしょうか」
ヨグソトース「ちょっと間この異次元を去るわ。何かあったらメモして伝えてね」
エイリアン「ははっ!行ってらっしゃいませ!」
外出許可を取るとヨグソトースは早速ヘザーの住む場所へと鍵を開けて空間を作り、入っていった
到着。久しぶりの現世だ。時間は昼だろう。14時を回ったところか?異次元にいると時間の感覚がわからなくなるものだ
さて、ヘザーはいるだろうか?ここはマンションの…何階だろうか?結構大きいマンションに住んでいるんだなあとは思う
ヘザーが住むマンションの一室にいる。早速ドアのインターホンを鳴らそうとしたら…
バン!突然ドアが開く!ヨグソトースはドアを一瞬避けた。思わず尻餅をつく。そして次に大声が飛んだ
ヘザー「もういいよ!!みんな大嫌い!!死んでしまえー!!」
これはヘザーの声。そう思ったが尻餅をついてしまいすぐには立ち上がらなかった
「ヘザー!!ふざけるなどこへ行く!!」
だがヘザーは一切返事を返さずダッシュで下に降りてしまったようだ
…はっ!急いでヘザーを追っかけないと!お尻をうったがすぐに立ち上がりヘザーを追いかける
ヘザーの住んでいるドアからえっ誰!?という声がしたようだが無視。彼女を追いかけようとした
…しかしヨグソトース。実に体力がない。ダッシュで追いかけたのにマンションの外に出たがすっかり見失うことになった
ヨグソトース「はぁ…はぁ…ヨグの体力の無さを痛感するしかないわね…」
アザトースならきっと追いかけてもしっかり追いつけるだろうに。だが友人を例えても意味がない。どこへ行ってしまっただろうか
なおかつ久しぶりの現世なので気圧などもあり数十%の力しか出ない。異次元だともっと軽やかに動けるのだが
体力の無い身体で小走りに走る。ふと、この街の案内版を見つけた。そこには色々な場所が書かれていた
ヨグソトース「んーと…どうも公園があるんだ。そこに行けば…!」
そう思い公園へと行く。色々と疲れる。相変わらず小走りでヨグソトースは行く
公園に着く。どこにヘザーはいるだろうか。公園内は色々な人でにぎやかだ。そんなことよりヘザーはどこだろうか
現世にいてもあまり不思議な服装ではないため大丈夫だがかぶってる丸い帽子はちょっと目立つか
とにかく探す。だが、すぐに見つけた。公園の真ん中のベンチにヘザーはいた
彼女は手を顔で覆い泣いてるのだろうか。声を聞く限りでは泣いてる声がした。ヨグソトースは静かに彼女へ行く
ヘザーに近寄ると、ヨグソトースは声をかける
ヨグソトース「…ヘザー」
そう言うとヘザーは泣くのを止めて声のほうへ向く。どうやら驚いたようだ
ヘザー「…ヨグソトース…さん!?」
ヨグソトース「会いに来たわ」
ヨグソトースは言うとヘザーの隣に座る
ヘザー「どうしてここに…?」
ヘザーは泣くことよりここへ来てくれたことに驚いている
ヨグソトース「貴女に、会いたかったの」
その発言にも驚いた。だが、ヘザーは言う
ヘザー「…私という人生負け組に会っても意味ないわ」
ヨグソトース「どうして?しっかりしてそうなのに?」
そう言うとヘザーは理由を話す
ヘザー「私、ニートなのよ。何も働いてないし学校も行ってない。しかもお金だってない。そのことを親にネチネチ言われたの。
でもこれ以上支援できないって言われて私、家出してもうこのままホームレスになって野垂れ死にしようかって思ったのよ」
ニート…ホームレス…ヨグソトースはその単語をなんとなく理由は知っていたがこれほどまでとは…
ヨグソトース「ヘザー…」
ヘザー「…ごめんなさいタメ口で話して。だから、ほっといてほしいです」
…しかしヨグソトースは決してほっておけないと思った。タメ口でもいい。そう思った
ヨグソトース「タメ口でいいわ。ヘザー、貴女をこのままにしたくない。ヨグは貴女を気に入ったの」
そう言うとヘザーは泣き顔から驚きの顔になった。私を…?
ヘザー「私なんかを?いいの…?ヨグソトース…?」
ヘザーは言うとヨグソトースはヘザーの肩をなでた
ヨグソトース「いいのよ。ヨグ、もしかしたら貴女が好きかも。だってドキッとしたんだから」
ヘザー「そんな理由なの?面白いねヨグソトース」
そこまで言うと雨が降ってきた。しとしとな雨で、濡れそうだった。しかし2人は雨宿りしようとはしなかった
ヨグソトース「雨…ふふふ…異次元にはこういうのないからとても恵みのような雨だわ」
彼女が言うとヘザーはそれを答える
ヘザー「私も雨好き。あ、蝶がいる」
ヘザーが指差す方向に蝶が舞っていた。この蝶はどこか雨宿りしようとするのだろうか
ヨグソトース「蝶って、いいよね。優雅に舞ってキレイなんだから。異次元にも居たらいいのに」
ヘザー「ねえ、異次元って、面白い?」
そう言うとヨグソトースは微笑みながら言う
ヨグソトース「エイリアン達は基本ヨグに忠実で友好的よ。そうね…貴女が来てくれればもっとエイリアン達張り切るわ」
ヨグソトースが言うとヘザーは言う
ヘザー「異次元に行きたい。ヨグソトースの側にいたい。ねえ、わがまま聞いてくれる?」
まだ会ってすぐなのにここで愛が成立した。不思議だが、一目惚れとはこういうことなのだろう
そう言われるとヨグソトースはすっと立ち上がり鍵を持って空間を開いた。異次元への扉である
ヨグソトース「おいで、ヨグのヘザー」
ヘザーは立ち上がりヨグソトースの手を握り空間へと移動した。2人が入ったらすぐに空間は途切れた
公園には誰ひとりもおらず静かに雨が降り注いでいた
その後…
ヘザーは晴れてヨグソトースの側の人になった。そのことは全エイリアンに知らせることになった
当然、エイリアンは驚いたがヘザーの良さに気づいたエイリアン達はすぐに仲良くなった。大きくても小さくても
ヘザーはヨグソトースの部屋でのんびりと暮らしている。たまに現世で買い物があるときは一緒に行く
ヘザーは異次元のことを一通り学んだ後、なるべく無理にない程度に機械などの設計を学んだ
もともと人間なのでやはり食事が必要なのかちゃんと食べ物を接種しつつヘザーは異次元での暮らしをしている
現世では行方不明となったヘザーだが、全然未練を残しておらず異次元の生活をしていた
これからもきっとヘザーはヨグソトースの側にいてずっと暮らすことだろう…
今、2人はヨグソトース専用の回復の泉にいる。ヘザー自体はそこまで疲れていないが、ヨグソトースの要望でここにいる
宇宙のような空を眺めて、2人はいる。2人はひっつきながら回復の泉、もとい温泉にいた
ヘザー「…本当にキレイな空だよね。ここへ来て、こんなキレイな場所があるなんて思っていなかったわ」
そう言うとヨグソトースは愛しいのかヘザーの肩を抱いて言う
ヨグソトース「そうよ。貴女にわかってもらいたかったの。この素敵な宇宙にいるような空間を」
肩を抱きながら喜んでいるヘザー。その顔には前に見せた泣き顔はひとつも見なくなった
きっとこの人生を楽しくしているのだろう。ここへ来て強引だったかもしれないがヨグソトースは正解だと思った
ヘザー「ヨグソトース。ずっと側にいるね。これからもよろしくね」
ヨグソトース「当然よ。ヨグからも…どうぞよろしく」
喋り終えると2人の影がすっと合わさるようになった
異次元
新しい住民を迎えて、今日もヨグソトースは支配人として過ごすことになる
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