第293話 サザールダンジョン27階層
サザールダンジョン27階層
22階層から26階層までも同じように笛や魔法で戦いを回避しながら進んできた、だが27階層に来たときから笛は使用不可能になる。
それはこの階層から海洋魔物のLVが21以上になっていたからだ。
《虹の架け橋はまだ使えそうじゃが、こちらもLVが上がると限界がありそうじゃな》
当然のことながら魚とはいえ魔物であり、特殊な個体も存在すると思っていた方がいいだろう。
中には眠ることやハウル(威嚇)などの特殊な魔法に耐性を持っていたりする。
《エビじゃな》
《また群れですね》
大きさは1メートルほどだがその髭がどうやら曲者らしい。
《アミアミエビです、髭が網状になっており他の生物を捕食するのに使いますが、問題はエビの姿や習性よりこの階層の形です》
今までの階層と違い海底から天井までの高さが3メートルに満たない、要するにどう考えても魔物に触れてしまう。
《あのエビ魔法が効かなさそうですね》
《そういう設定か、まあ仕方なかろう、今までが楽すぎたようじゃ、普通に倒すしか無さそうじゃ》
《そうなると武器を使った方がよさそうですね》
《これを使うとよい》
マーシャは懐から槍をいくつか取り出す、エビの髭が格子状になっているのは遠くからでも分かるが。
その網を使ってエビがどのように捕食するのかが分からないと、うかつに近寄ることができない。
《あのエビは近寄ると網を広げて突っ込んできます》
《ああ、しかも網はかなり鋭い針のように硬い》シャーズ
《そうかやはり槍で戦うしかなさそうじゃな》
アミアミエビはこちらが近寄ると少し避けるが、それは次の動作の前準備。
獲物が自分達より小さければ動かずに待つのだがこちらの方が大きいと判断すると横に移動してから突っ込んでくる。
「サシュ!」「サシュ!」「サシュ!」
男十匹のアミエビが同じ動作でこちらめがけて突っ込んでくるので、相手の初動さえ見逃さなければ対応はそれほど問題ない、だがこの階層の天井の低さがこちらの回避を阻害する。
《あーもう避けても突っ込んできます》
《メガプロテクション》
《むこうに魔法が効かなくともこちらに掛けて置けば何とかなるじゃろ》
そう言いながらすでに100匹近くのエビを突き刺し、残念な顔をするマーシャ。
(大きさと言い形と言い面倒な網状の髭さえなければまんまイセエビなんじゃがな…)
生前一度だけ食べた事が有る巨大イセエビ、その尻尾のでかさを思い出し、口の中は涎が出てきそうになるが。
ここは海の中誰にもわからないとおもいきや、海竜族はマーシャの口から洩れた涎にやや敏感に反応する。
(おなかがすいたのかしら)アローリア
(そう言えばもう6時間くらい経ったか)シャーズ
既に5時間以上が経ち全員のお腹は既に減っていたりする、見ると海竜族の2人もどうやらお腹が減ってきたようだ。
《次の転移魔法陣で食事にしよう》
《そうですね》
と、そう言われたがこのダンジョンでは食べ物は捕れないのに、この姫様は何を言っているのかと思う海竜族。
ダンジョン魔物を片っ端から突き刺していく、魔物達は数秒でドロップ品と魔核に変化していくので片付ける必要はない。
このダンジョンでは一度失敗して戻ると言う事は出来なさそうだ、一度戻るとあの渦の外に出なければ食事など出来ないと言う事になる。
海竜族は食事など摂らなくとも数日は平気と言う話を聞いた事が有る、別にマーシャもしっかり食べなくとも行動はできるのだが、なにせ現在育ち盛りの8歳と言う事で健康と美容の為にも食事は欠かせない。
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