第19話 入学式
入学式
次の日、王国アカデミー付属学院の入学式、そこには何やら物々しい警備がなされていた。
魔法学園の講堂、入り口には10人を超す警備兵、さらに魔法師の姿も10人近く見えた。
彼らの違いは鎧とローブ、着るものの違いだけではない持っているのは剣か杖。
そして講堂の入り口を注意深く見張っており、一人だけ偉そうなおじさんの姿が妙に目についた。
「貴様らちゃんと見張っておけ、だらけたりしたら承知しないからな!」
「はっ将軍!」
彼らは王国の正規軍、アルフレア王国正規軍。
正規軍は現在5つに分かれており今日この場にいるのは雷鳴隊。
雷鳴隊
火炎隊
水郷隊
空撃隊
魔真隊
王国所属の正規軍はこれら5つの隊からなる、それぞれに得意な攻撃方法があり。
雷鳴隊は迅速な行動とその攻撃力が特徴。
火炎隊は槍と弓による火矢による攻撃を得意とし、水郷隊は海や川での戦いを専門とする。
空撃隊はその名の通り空からの攻撃が得意だ。
最後の魔真隊は魔法による攻撃全般、各隊の特徴はこんな感じだが全てにおいて偏っているわけではない。
いくら魔法師の集まりだとしても、前衛は必要だし斥候もいるので。
全員が魔法師なわけではない、他の隊も同様。
そして今季雷鳴隊の将軍になったのが今目の前にいるグラムス・ゴルドア将軍、現王の又いとこにあたる。
ゴルドア公爵家の長男である。
「マーシャ様大丈夫でしょうか?」
お付きのメイド従者フランが心配そうにこちらを見るが、兵士が守っているのに心配すること自体が心配だ。
(フランはびびりすぎだ)
「何も心配することはないぞ」
講堂に向かって歩いていくと兵士が呼び止める。
「ここから先は検閲が必要です」
「ん?おぬしはこのような女子供をいちいち調べぬと先へ行かせないというのじゃな?」
「申し訳ございません規則ですので」
「われはマーシャ・オースティン・アルフレア現王の第3王女であるがそれでも必要か?」
「・・・・少々お待ちを」
第3王女ではあるが王族をいちいち調べないとだめだというのは、あまりにも度が過ぎる。
しかも王族はそれとわかるように各種魔法のかかった宝石類や紋章を服に縫い付けていたりする。
そのようなこと上から教えられていない者にはわかるはずもなく。
逆に貴族たちの子を100人近くどうやって見分けるのか?
「お待たせしましたどうぞお入りください」
「ちょっと待て、妾の後にさらに80人はいる、全員このような取り調べをするのか?」
「はい、そのように命令を受けております」
「では妾が命令する、取り調べを氏名の確認だけにせよ」
「はっかしこまりました」
そこへ将軍と思しき男が走り寄る。
「貴様何をしておる?」
「お前こそ何をしておる?」
「あなた様は?」
「やれやれまたか、われはマーシャ・オースティン・アルフレア現王の姫じゃ」
「ひ 姫様・・」
「おぬしが今日の警備を担当している将軍じゃな」
「はっ!」
「今日は入学式じゃよな」
「その通りでございます」
「すでに入り口で簡易な調べはついておろう、なのにさらにまた取り調べをしておると入学式の時間が遅れるであろう、違うか?」
「そ それは」
「理由があるのか?」
「現在魔族の動向が活発化しており警護を強化するために取り調べを2重に行っておる次第です」
「そうか、ならば妾が代わりに取り調べる、魔法を使ってな」
「そのようなことが・・・」
「できるのじゃ、そうすれば早く調べがつく」
「わかりました姫様にお任せいたします」
「まかせよ」
マーシャのサーチスキルなら魔法を使用しなくても調べはつく、魔族ということは人種を調べれば良いということと、あとは氏名が偽りなければ良いだけ。
そこからは隣にフランを待たせ次々にスキルで入学式会場へ入る生徒を調べていく。
結局全員調べたが魔族は見つからず、心配は杞憂に終わった。
「うむ 問題ないようじゃな」
「ありがとうございます、それでは姫様も中へ」
調べが全員済んで講堂に入ると壇上に白いひげを生やし、とんがり帽子をかぶった爺さんが現れた。
「静かに!」
「アカデミー入学おめでとう、わしからは以上じゃ」
なんか拍子抜けした、ふつうは年寄りのあいさつといえば長話だが壇上の老人は1分と話さず壇上から降りた。
そして次に妙齢の女性が壇上に上がる。
「わたしが君たちのクラスを総括するマーマレード・カンタベリーです」
「これから魔法力によってクラス分けをしますので、名前を言われたら手を上げこちらへ来るように」
それからすぐにマーシャが呼ばれフランが呼ばれた。
2人以外は30人ぐらいずつが一塊となり3本の列としてならばされ、その後引率の教師に連れられ、それぞれの教室へと歩いて行った。
講堂からは長い廊下を抜け5つの棟に分かれていく、一つの棟が2学年6歳から7歳まで、順に2学年ずつ、そして10歳クラスがひと棟さらに専科クラスと研究室があり。
先生・教授といった人たちの専用部屋も用意されている。
上級生である11歳以上の学び舎は別の敷地内のため初等科クラスでは第一王妃の王子や王女と会うことはできない。
まあ面倒なので今は10歳のクラスで構わないが、どうやらマーシャの才能を見抜いたうえでの10歳クラス編入となったらしい。
マーシャたちは先ほどのマーマレードという女性の後をついて行き10歳クラスに来た。
「はい 皆さん本日は新しいこのクラスの仲間を紹介します」
「それでは姫様ご紹介ください」
「マーシャ・オースティン・アルフレア、アルフレア王国第三王女じゃよろしくな」
「げっ・・・」
「そこっ!今げって げって言わなかったか?」
「先生彼は今気分が悪いようです」
「気分が悪いなら治療室へ行きなさい」
「はーい」
「では次はあなた」
「フラン・エルウッド ですよろしくお願いいたします」
「先生姫様はいくつなんですか?」
「姫様は6歳です、ロンディア君女性に歳を聞いてはいけませんよ。失礼に当たります」
「は~い」
(6歳だと~)
「妾の歳を聞いて何でと思うものがいそうじゃな、最初に言っておく妾の魔力そして剣術はこのクラスいやこの学院の誰にも負けん、いつでも相手してやるからよろしくのう」
「まじかよ」
(あいつ馬鹿か喧嘩売りやがった)
マーシャはにっこりと笑うと先生の顔を見た。
「私の顔に何か、いえマーシャ様あまりお戯れなさいませんように」
「構わぬ本当のことじゃ、それより席は何処じゃ?」
「はい、気付きませんでした」
席は一番後ろの壁際、隣にフランが座る、この二人だけ周りと身長の差があるがそれは当たり前、3歳以上歳が違うのだから。
それから少し魔法の授業があり基本的にはマーシャにとって習ったことのおさらいだった。
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