第18話 王立アカデミー付属学園

王立アカデミー付属学園


場所は変わって場面はマーシャがいる王立アカデミー付属学園初等科。


「ここが王立アカデミー付属学院?」


王立アカデミーは6歳から10歳までと11歳から15歳、16歳から18歳以上までというように分かれている。

単純に校舎が違うだけなので、歳が離れていても兄や姉に会うことがありそうだ。

本日は入学式ではなく、その前に適性検査と魔力検査がある。

一応安全のためだが、いくら子供だろうと魔法があるこの世界。

あまりにも強い魔力を持っている子供を同じ檻(おり)の中に入れればどうなるだろうか?

そう羊の檻の中に虎を解き放つわけにはいかない。

事前の検査でそれらを測り、あまりにも優秀な子は飛び級させる形となる。


「はいマーシャ様ですねうかがっております、それではこちらのお部屋にお入りください」


マーシャはすでに王宮での調査で魔力と剣術は15歳以上相当とすでにアカデミーへ調査票が上がっており、ここでの再検査はどのクラスに編入させるかというところ。

各クラスに編入してからも定期的にクラス分けは行われるので、特に才能のない者たちは必死で勉強しなければならないがマーシャの場合は特別だ6歳で上級クラス並み。

すぐに18歳クラスといいたいところだが、そうするとマーシャは孤立する可能性もあるしお付きのメイドを大幅に変更しなければならないという事態に陥る。

それにほかの王族とのかみ合いもある、実の兄は今度10歳クラスそれに姉である第2王女も今度10歳クラスへと上がるため、マーシャをさらに上のクラスへ上げるには他の王族からの了承が必要となる。

そのためには一応付属学院への入学と同時に、10歳クラスへの編入が確実になるだろう。


「マーシャ様そこへ腰かけてください」

「ここでよいのか」

「はい」

「それでは検査を始めます」


そういうと検査官が魔法を唱える、椅子の周りに魔法陣が浮かび上がり、たくさんの文字が空中に光って表示されるそしてだんだんと文字が多くなり、その文字が検査官の持つ本に吸い込まれていく。


マーシャ・オースティン・アルフレア  

6歳

種族 人

女 

王家3女


魔法熟練度 150/200級

剣術    139/200級

小剣術   165/200級

槍術    113/200級

体術    177/200級


HP  2000/2000 ヒットポイント(体力)

MP  2800/3000 マジックポイント(魔素保有量)

SPD   157/200 スピード(足の速さ)

AGI   166/200 素早さ(敏捷度、魔法詠唱+補正)

AT    188/200 アタック(攻撃力)

MAT   189/200 マジックアタック(魔法攻撃力)

DF    176/200 ディフェンス(防御力)

MDF   188/200 マジックディフェンス(魔法防御力)

FA    156/200 フィンガーアクション(器用さ)

IT    227/300 インテリジェンス(脳力、頭の良さ魔法攻撃に+補正)


魔法調査票には全部表示されるわけではない、特殊な加護や神から授かったスキルなどは表示体系(文字)が違うため表示されないことが多い。

マーシャの場合、そういった特殊な情報は検査官の検査魔法でもわからないのだ。

但しこの数値一般の6歳と比べてみればわかる。


普通の6歳児 

6歳

種族 人

女 


魔法熟練度  5/10級

剣術     5/10級

小剣術    6/10級

槍術     1/10級

体術     3/10級


HP    50/50 ヒットポイント(体力)

MP    30/30 ミッションポイント(マジックポイント)

SPD    5/10 スピード(足の速さ)

AGI    5/10 素早さ(敏捷度、魔法詠唱+補正)

AT     6/10 アタック(攻撃力)

MAT    3/10 マジックアタック(魔法攻撃力)

DF     9/10 ディフェンス(防御力)

MDF    8/10 マジックディフェンス(魔法防御力)

FA     4/10 フィンガーアクション(器用さ)

IT    67/100 インテリジェンス(脳力、頭の良さ魔法攻撃に+補正)


そしてこちらが一般の数値今回おつきのメイドであるフラン・エルウッド8歳の数値が次の通り


フラン・エルウッド

8歳

種族 人

王家使用人王女付きメイド


魔法熟練度 21/30級

剣術    23/30級

小剣術   15/30級

槍術    10/30級

体術    27/30級


HP   100/100 ヒットポイント(体力)

MP   200/200 ミッションポイント(マジックポイント)

SPD   37/40  スピード(足の速さ)

AGI   28/30  素早さ(敏捷度、魔法詠唱+補正)

AT    47/50  アタック(攻撃力)

MAT   43/50  マジックアタック(魔法攻撃力)

DF    37/50  ディフェンス(防御力)

MDF   44/50  マジックディフェンス(魔法防御力)

FA    32/40  フィンガーアクション(器用さ)

IT   132/200 インテリジェンス(脳力、頭の良さ魔法攻撃に+補正)


新しくメイドになったフランも王女付きメイドとなるため一生懸命訓練したのだが右の数値が精いっぱい。

まあ訓練を初めて2年でここまでくればいい方、マーシャは生まれた時から訓練しているのだから追いつけるわけはないしかも加護がいろいろついている、隠しスキルの中にはこんなスキルまである。


※成長促進(人の数倍の速さで各種パラメータが上昇する)

※獲得スキル100%(通常50年要するスキルや技術が100%獲得できる)

※運(人徳に比例し運気が上がる、悪いことをすると運も下がる、モテ度に+加算)

※努力100%(努力すれば100%報われる、攻撃属性に+が付く)

※武術促進(戦うための武術修練度が上がる攻撃に+加算)

※体力促進(健康値が上がるHPに+加算)

※魔力感知(魔力量や質を判別できる)

※魔術促進(魔法に関する習得率が上がる、魔法攻撃魔法防御に+加算)


分母は修練度で上がるためカンストはない。

スキルは複数あると他のスキルの能力に加算される場合もある、相乗効果+効果など。

※スキルは特殊な魔法を使わないと表示されないので他人にはわからない。


「す すごい」

「どうかしたのか?」

「いえ何も・」


(聞いていた通りだけど、この数値でアカデミーが必要なのかしら・・・)

(まあそれを決めるのは私じゃないからいいか・・)


調査票には10歳児クラス相当と書き込み※欄に17歳児以上でも可の文字を書き込む。


「以上で検査は終わりです」

「入学試験はないのか?」

「王族の方は無試験で入学可能です」

「そうか・・・少し拍子抜けしたな」

「試験を受けたいのですか?」

「自分だけではどのぐらい勉強して知識が付いたかわからんからな」

「大丈夫ですよ入学すればテスト漬けの毎日が待っていますので」

「それは面白そうじゃな」


マーシャは前世ではヤンキーだったが、毎日学校には必ず行っていた。

親の2人も元ヤンキーだが、その二人ともに頭がよく勉強には熱心だった。

完ぺきに親の遺伝だが、ではなぜヤンキーに?

単純な理由だクラスや学年果ては学校さえ〆てしまえばいじめがなくなるから。


そう彼女は小学校の時、いじめられていた同級生を見て正義感からいじめをやめるようにいじめている男子に食って掛かった。

もちろんその時点では悪者はその男子。

だがその後怒られたのは彼女の方だった。

その男子はいいとこのおぼっちゃま。

お金を使い、いじめられている女子の親を金で丸め込んだ。

彼女は幼いながらに理不尽さと大人の汚さと、そして汚い大人になりそうなおバカな男子。

さらにいじめを恐れる同級生、クラスの総意すべてをぶち壊すことにしたのだ。


次の日彼女はシャツの襟を開け長いスカートを履き、マスク(死と書いてある)をして、手には何やら棒を持って登校した。

その日から彼女は大きな声と優しい言葉を巧みに使い脅しと懐柔を試みた。

いじめがあると即介入、棒で床を叩きやめないとどうなるかと説きだした。

いくら脅しやお金で懐柔を迫ろうともこびず恐れず、真っ向から向かってくるヤンキー女子に逆らうものはいつの間にか一人もいなくなった。


晴乃香(はのか)9歳の時だった。


それからそのスタイルはまったく変えず、いじめをなくすため毎日学校へ通った。

彼女のいるクラスはいじめどころかじゃらけあう男子も減り、勉強するのに最適な環境になっていった。

そしてもう一つ、彼女の親は彼女に頼まれ晴乃香に武術を教え込んだ。

空手・柔道そして剣道などなど、勉強はすでにできる彼女。

ヤンキーとして必要なのはやはり力、いくら脅しがうまくなろうともそれは脅しでしかない。

それでも歯向かう輩はいくらでもいると親からの教え。

彼女もその通りだと思った。

その後中学で伝説のスケ番になり高校では大人相手に大立ち回りもした。

やくざ崩れが薬物を売ろうと同級生に手を出したからだ。

この時はさすがに親の力も少し借りたが、ほぼすべて彼女の力で売人たちは粛清された。

前世ではヤンキーとなり正義を貫いていたが、今回は勝手が違いすぎる。

魔法と剣の世界、その中で魔法学校がどのような形を成しているのか彼女はワクワクしていた。

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