あの日から
深山雪華
プロローグ
ごめ、なさ…ごめんなさいっ…
うがうの…もうやめて…
どこからか、誰かの泣き声が聞こえる
うっ、うう…
うぇぇええん…
ご、ご、ごめんなさ…
辺りは薄暗くてとても怖かったけれどあまりにも悲しそうで辛そうな泣き声に耐えられず声の主を探した
うわぁぁぁーん…
な、んで、そんなことするの…
やめて、やめてよ…!
声がだんだん大きくなりその子が見えた思ったその瞬間、彼女は目を大きく開くと悪夢でも見ているように悲鳴をあげた
いやっ!!
いやぁああああああ!!!
あ…あぁ…
…ぁあああああああ!!!
凄まじい悲鳴に、思わずその子を抱きしめた
そして気が付いた
今度は私が悲鳴をあげる番だった
顔をあげたその子…いや、忘れるわけが無い
「彼女」だった
腕には何本もの赤い線がくっきりと刻まれていた
そして、凄い形相で私を睨みつけてこう言ったのだ
お前のせいで…お前のせいで!!
よくもよくもよくもよくもよくも!!!
ひゅッ…!
息が上手く吸えない、苦しい
手足が震える
そんな私を見て、「彼女」はふっと表現を消すと私に顔を近付けた
…お前なんか死ねばいいのに
「彼女」の吐息が耳にふっとかかった瞬間、私はガバッと飛び起きた
はっ、はぁっ…はぁ、はぁ…
そこは見慣れた私の部屋だった
夢なのだろうけれど、感覚がとてもリアルで、現実であんな彼女は見たことが無いはずなのに違和感が一切無かった
でも現実の彼女は少なくともリストカットはしていなかったはずだった
しばらくの間、私は彼女の表情や言葉が脳裏や耳から離れなかった
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