掃除

@jidjizudzu

第1話

昔から身体のあらゆる部分を掃除したいと思っていた。

 

 自分の脳や臓器を取り出して洗ったり、骨の関節を一つずつ丁寧に外して組み直したかった。できないと分かっていても、その思考は止まらなかった。

脳はいつも何かが詰まっている感じで重かった。その膿を搾り出してスッキリさせたい。


猫背であることが嫌だった。プラモデルのように自分を作り上げたかった。なにより綺麗になりたかった。


人形のようにはっきりとした顔立ちで、長い手足に華麗な衣装。私は耽美な姿に憧れていた。


そうなれない自分。現実を知った。どうしてこうも違うのだろう。完璧とほど遠いのか。


それが許せない。少しでも近づこうと笑顔の練習を繰り返した。そしてできたのが目の笑ってない笑顔。


よく見せようと頑張った。ピエロのようにいつも笑っていた。よく見せかかったから。結局、都合のいい人になれただけ。


媚び売り損のくたびれ儲け。逆に人が怖くなった。周りの目ばかり気にして。


周りの人の態度が採点者のように見える。そのために外見に執着した。


外面の他人と比較しては苦しんで、周りに合わせるため空気ばかり読んだ。


自信なんて砕けて粉。ストレスを受けたらすぐさま吹き飛ぶ。こんなことを考えていたらお腹が痛くなってきた。


今でも他者志向的なのだろう。周りを気にしてばかりいる。


別に悲劇のヒロインってわけでもないのに、綺麗になれない自分が辛い。


自分をキャラデザできたらいいのにな。


ないものばかりの人生どうにかしたい。

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