第29話 射精するまで脱出できない空き家
「聞いたぜ~、あの強面の母さんをフルボッコにしたんだってな」
この村にはいくつもある空き家の一つに無理やり連れ込まれました。
エマさんの娘はビキニアーマーや肩当て、ガントレットなどを次々と脱ぎ捨ててあっという間に全裸になり、ベッドの上に尻をドスンと沈めます。
その尻も胸もエマさんより大きくて迫力がありました。
「ヒョロイ体してるくせに、あそこは意外と逞しいって言ってたぞ」
そう言いながら、とっとと脱げ早く見せろと鋭い眼光で脅迫してきます。
マッパ・オア・ダイという状況なので素直に全裸になりました。
でも、朝にストラと種付けした後に回復Sのスキルを使ってませんから、精力が0のままで勃起はしてません。裸の女性が目の間にいるというのに。
という訳で、ミッション01を遂行します。
作戦内容は、『疲れマラで勃起できないから日を改めさせる』です。
僕もベッドに腰をかけると、速攻でキスされ愚息もまさぐられます。
しかし、愚息はうなだれたまま屍のように反応しません。
よし、これで分かってもらえるだろう。すかさず延期を申しこ────
「あのババアとはやる気になって私とはやる気になれないとかありえねーよな」
くそっ、やられたっ!!
先にそれ言われたら、疲れマラなんて言い逃れとしか思われない。
下手な言い訳をしたら、このまま握りつぶされそうだ……
「リカバリー」
回復Sのスキルが発動し、精力や体力、気力などをすべて回復させていく。
すると、褐色ヤンキーの手コキでみるみる愚息が大きくなっていった。
「ああん? 聞いてた話とちげーぞ。もっと大きくなるんじゃねーの?」
まさかババアより私の方が魅力ないってのか、とひと睨みされました。
12センチになった肉棒を握る手が少しずつ絞められていく………遺憾!
「如意棒」
如意棒のスキルによって愚息がまたムクムクと膨張し15センチになる。
女戦士の娘はニヤリと満足そうに笑ってキスを続けた。
────ミッション01失敗
引き続きミッション02に移行する。
作戦内容は、『挿入する前に指テクと舌テクで失神させて退却する』だ。
褐色ヤンキーの強引なだけのキスに反撃して、僕からベロチューを仕掛けた。
エマさんはやたらとキスや愛撫に弱かった。最弱と言っていい。
その娘なのだから、きっと効果があるはずだ。
案の定、ベロチューをしたら攻撃権がこちらに移った。
敵さんは防戦一方だ。
ここぞとばかりに、元カノに習得させられた技の数々を繰り出していく。
一度、二度、そして三度と褐色ヤンキーは足ピンしながら獣のような喘ぎ声を出しては絶頂を繰り返していく。
そして、6度目の昇天を迎えた時、やっと巨娘は沈黙した………
勝った。
だが虚しい勝利だ。
得たものは何も無い。
何も失わなかっただけだ。
フッ……大きな虚無感は、男をポエマーにするようですね。
さて、褐色ヤンキーが目を覚ます前に撤収するとしますか。
そう思ってベッドから下りたその時でした。ガッと腕を掴まれたのは。
────ミッション02失敗
引き続きミッション03に移行するぞ。
作戦内容は、『挿入しても射精する前に満足させて退却する』だっ!
もはや後は無い。
このミッションが最後の砦だ。
失敗は恐らく死を意味する。必ず勝たなくては、いや勝つんだっ!
僕はトロトロになっている巨娘の肉壺に愚息を突撃させていった………
「ツバメ返し!」
「あああああああああああああッ」
「ひよどり越え!」
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおッ」
「秘技ハーケンクロス!」
「らめえええええええええええええええええええええーーーッ!!」
とっておきの最終奥義を使った。
ひとたまりもなく褐色ヤンキーは派手に絶頂する。
よしっ勝った、と確信ピストンしたその時でした………
生まれて初めてのとてつもない感触が愚息を襲ったのは。
「えっ、亀頭が喰われた!? 何だこれ飲み込まれるぅぅぅ!!」
子宮が降りてきて肉棒を咥え、激しく刺激されます。
得も言われぬ快感に我慢を重ねていた愚息はアッサリ白旗を上げたのでした。
どびゅーーーっどびゅどびゅどびゅっっっどっぴゅん。
────ミッション03失敗
もはやこれまで………
精液と一緒に体からエネルギーを吸い取られる感覚がした。
射精すると子種の魔力も同時に持っていかれるのです。
SPを使い果たして回復Sが使えないから今日はもう魔力を回復できない。
魔力が無いと寒さに抵抗できません。
室内でも軽く氷点下を超える深夜には凍死してしまうでしょう。
死を覚悟したその時、楽しい思い出が走馬灯のように蘇ります。
セーラさん、マルゴさん、キャシー、ミュウちゃん、そしてベルちゃん……
思えば、君がすべての始まりだったね、アナベル。
君が召喚してくれたお陰で、クソみたいな人生の最後に生きてて良かったと思うことができた。本当に感謝してるよ………ん、んんん……召喚………!!!!!
それだっ、凍死を回避する方法が一つだけあった。
ベルちゃんに日本へ送り返してもらえばいいんだっ!
夜が来る前に日本へ帰れば、何の問題も無い。オールOK。
あぁ、何でこんな簡単なことを直ぐに思いつかなかったなぁ。
人間、窮地に陥るとテンパって平常心でいられないものだね。
おおぅ、生き延びられると分かったら急に身も心も軽くなったよ。
ホント人間てのは不思議な生き物だね。
いや待てよ………これは気のせいだけじゃない。
まるで回復Sを使ったみたいに体力も気力も充実してる、いや、それどころかこれまで以上にすべての活力がみなぎってる。一体どうなってるんだこれ。
………………あっっっ、もしかしてアレかっ!?
きっとそうだ、間違いない!
僕は推測を真実へと昇華する魔法の呪文を唱えた。
「ステータスオープン」
天篠兵露於(アマシノ ヘイロオ) レベル2
体力27/27
気力12/12
魔力324/324
精力3/3
栄養21/21
SP9/9
功績値6/18
<スキル> フラグ破壊 回復S 治癒A 如意棒
<ジョブ> ニート 行商人 竿師 闇医者(仮)
※※※※※※ レベルアップするスキルを選んで下さい ※※※※※※
やっぱり、レベルアップ時のステータス全回復だった!
これがあるのはクソゲー認定されることもあるそうだけど、そんなの関係ないっ、ありがとう、ありがとうLVアップ全回復!! お陰で命拾いしたよ!
よしよし、肝心のスキルポイントが3上がって、6から9になってるね。
欲を言えば倍になって欲しかったけど、まぁ順当ですか。
体力と栄養もそれぞれ基礎値が3上がってました。
そして気力が6から12と倍増!
先日、魔獣と遭遇した時に気力が萎えて動けないなんて醜態を晒しましたから、これは嬉しいですね。ただ、初期値の6が低すぎただけだよなぁ……
魔力は216から324だから5割増しになってる。
といっても、自覚がゼロなんでピンとこないんですよねえ。
何気に精力が1から3になってますけど、これ凄くないですか。
回復Sを使わなくても3回まで射精できるってことですよね。
今後の種付け生活を考えれば、メチャクチャ夢が広がりますよ。
さて、一番重要なところに触れていきますか。
ステータス表示の最下部で赤文字表示されてるやつです。
スキルをどれか一つレベルアップできるみたいですよ!
本当ならどれにするか激しく迷うところだったんですが、今朝の失敗がありましたから、もぉ即決です。現時点ではこれしかない。
フラグ破壊 回復S 治癒A 如意棒
この点滅表示されている4つのスキルの中で、治癒Aを選択しました。
『治癒Aをレベルアップしますか? <はい> <いいえ>』
ステータス画面の上に被さるように確認画面が現れましたね。
ここはモチのロンで、<はい>をポチります。
『治癒Aレベル2の発動ワードを入力して下さい』
うーん、これは定番のミドルヒールでいいでしょ。
深く考えずに、表示されたキーボードで入力しました。
んんん………確認画面は消えましたけど、ステータス画面には何も変化もないような……あっ、スキルの治癒Aの文字が黒から赤茶色に変わってる!
しかし、これでレベルが違うことを識別するってのは微妙すぎませんか。
あとで天使のトリカさんにツッコミを入れないといけませんね。
さて、ボチボチ撤収するとしますか。
ベッドの上であられもない格好で失神している褐色ヤンキー娘の頬をペシペシと叩いて起こします。目は覚ましましたが、目の焦点が合ってなくてボンヤリ状態。
放置して帰ると、あとで何をされるか分からないですからね。
一言だけ、挨拶してから退散するのが吉でしょう。
「お疲れさまでした。僕は先に帰らせて頂きます。さようなら」
「………お前……とんでもねー奴だな……マジ性獣じゃねーか………」
「僕はただのエロオですよ。あ、君の名前をまだ知らないんですけど?」
「名前か………私は、エリーだよ…エリー………じゃあ、またなエロオ…」
「またなって……ハァ~、次はせめてアポ取って下さい。それじゃ」
こうして僕は、射精するまで脱出できない空き家を突破しました。
偶然に救われたラッキーな勝利でしたが、結果オーライです。
何よりも、治癒Aのスキルをレベルアップできたことが大きい。
きっとこれで、今朝の失態のリベンジができますね……
さあ、僕より不幸な奴に会いに行きましょう!
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