第22話 僕はロケットオッパイを選びます

「セーラさんの命令とはいえ、僕とセックスすることに抵抗はないのですか?」


「………ございません」


「でも、マルゴさんだって、恋人の一人ぐらいいるでしょう?」

「私のような行き遅れの年増女にそんな相手はおりませんわ」

「年増って……失礼ですが、おいくつなんですか?」


 見た目は20代前半だけど、母性的な落ち着いた物腰をしているので20代半ばから後半にも見える。この自虐ぶりだとクリスマス+1か2あたりかな…


「22になります」


「22ぃぃぃ!? 全然若いじゃないですか。どこが年増なんです?」


「エロオ様の国のことは存じませんが、この国では女は普通14から18の間に結婚しますから、20を超えても未婚の女は訳アリの行き遅れと見做されます」


「それは知りませんでした……ですが、僕には美人で気立ての良いマルゴさんが行き遅れたことが信じられないですよ」


「美人だなんてそんな……こんな不様な胸をしていますのに…」


 あ、そうでしたね。

 この異世界では、巨乳がデブ扱いという驚愕の美意識があるんでした。

 そのせいで男と無縁だったとは可哀相に。ここは僕が一肌脱ぎましょう。


「大きな胸なんて僕はまったく気にしませんよ」


 そう言うなり、僕は一肌どころかすべて脱ぎ捨てて全裸になりました。

 そして、すでにファイティングポーズをとっている愚息をさらに元気づける魔法の呪文を唱えます。

 

「如意棒」


 呆気に取られているマルゴさんの目の前で、またもムクムクと鎌首をもたげた15センチ砲が仰角45度でそそり立ちました。

 

「い、いけません! その熱い欲棒はキャサリン様にお与え下さいませ」


「嫌です。僕は今マルゴさんが欲しい。あなたは僕が欲しくないんですか?」


「………そのようなこと、言えませんわ…」


「ダメです。言って下さい。肉棒が子種が欲しいと言いなさい、言うんだっ!」


「あぁ、エロオ様……私だってお珍宝が欲しいです…セックスしたいです…っ!」


「その言葉が聞きたかった」


 初めて口にした卑語に羞恥心MAXで赤面するマルゴさんの顔を、両手で優しく包んでキスをたっぷりと浴びせた僕は、そのままベッドに押し倒して服を脱がせると、ドSの元カノ達に仕込まれた指テクと舌テクで何度も果てさせてから、男子の本懐を遂げさせていただきました。

 ちなみに、マルゴさんは処女でした。もの凄く興奮しました。



「やった……増えてる! 間違いないっ、功績値が2になってる!」


 爆乳メイドのマルゴさんに中出しした僕は、事後のピロートークでしっかりとアフターケアをしてから、まだ仕事のある彼女を部屋から送り出した。

 そして、またベッドに寝転がってマルゴさんとの体験の余韻に浸っていましたが、ふと思い出してステータスを開いてみると、驚きの結果がでていた次第。


天篠兵露於(アマシノ ヘイロオ) レベル1

体力12/24 

気力3/6 

魔力0/216 

精力0/1 

栄養15/18

SP4/6 

功績値2/6

<スキル> フラグ破壊 回復S 治癒A 如意棒

<ジョブ> ニート 行商人(仮)


「やっぱり間違いない。功績値が1増えて2になってますよ。ムフフフフ」


 あまりの嬉しさに、嫌らしい笑いが漏れちゃいました。

 だってこれ、そういうことですよね?

 セーラさんとセックスしたら功績値が増えるのではなくて、セックスした女性の数だけ功績値が増える。うん、きっとそうだ。


 となると、今、村人たちからお願いされている男日照りの女性たちに子種を与えるという依頼を、かたっぱしから受けていきましょう。

 彼女たちは子種とそれに含まれる魔力が得られて、僕は快楽と男しての自信と功績ポイントが得られるウィンウィンの案件。やらない理由がないです。

 これでレベルがどんどん上がりますよ。そうなれば……あぁ、夢が広がるなぁ。


 そんな物思いに耽っていた僕は、もう回復Sを使って寝ることにしました。

 性欲まで回復されて賢者タイムが消滅し、この浮かれた勢いでキャシーかセーラさんを夜這いしたくなりましたが、ぐっと我慢です。

 明日は早朝からモルザークへ立たないといけません。

 ここは自重して、危険な旅路のために備えるべきでしょう。




「アンタがあのセーラを堕として丸くさせたんだってねぇ」


 翌早朝、クルーレ騎士領当主の屋敷前にモルザーク行きのメンバーが集合し、自己紹介もそこそこに皆さん馬にまたがって出発しました。

 先頭には領主のセーラさん、その後ろに猟師の男が二人、そして僕が乗っている幌馬車、殿しんがりには猟師の父娘の二人という隊列になっています。


 二頭立ての幌馬車の手綱を握っているのは、なんと果樹園のジェロ監督で、荷台に乗っているのは僕の他にもう一人、存在感のある女戦士がいました。

 今、そのビキニアーマーが似合い過ぎる女性に絡まれたところです。


「堕としたという表現は間違ってると思いますけど……」


「何言ってんだいッ、ヒステリックな婆さんだったのが、いまは恋する乙女みたいになっちまってるじゃないか。あんなセーラは初めて見たよ!」


「精神的に安定して優しくなられたなら、僕もお相手をした甲斐がありますよ」


「へぇ、その様子だと、セーラに無理やり喰われたってわけじゃなさそうだね」

「当たり前ですよ。お互いに合意のうえでの行為ですから」

「合意といったって、アンタの方は商人としての打算だろ。若い身体を差し出して領主に便宜を与えてもらおうっていうね」

「下心が無いと言えば嘘になりますけど、それは商人としてではなくて、男としての話です。だから、いやいや寝てるなんてことはないですよ」


「ハッ、本当かねぇ。あんな子供を6人も授乳させたようなだらしない乳をした大年増に欲情するのは、生粋の性獣くらいのもんさ。よしっ、それなら証明してみせてもらおうじゃないか。大見目切ったんだ、嫌とは言わせないよ」


「証明しろと言われても、どうすればいいんですか?」


「アタシの娘にも種付けしてもらおうか」


「あなたの娘さんですか………」


 ハッキリ言ってこの女戦士はタイプです。

 褐色の肌に180センチはありそうな引き締まったボディ、白銀に輝くビキニアーマーの下ではオッパイがこれでもかと自己主張しておられます。

 尻まで届くボリュームのある銀髪は、小麦色の肌とのコントラストで一層映えていました。鼻筋の通った凛々しい美顔には、透明感のある翠の瞳が強い意志を宿しながら輝いています。あぁ、優しく強チンされたい。

 うん、この人の娘さんなら、メチャクチャ期待していいでしょう。


「アタシに似た、日焼けした野蛮で下品な女じゃダメかい?」


 全然ダメじゃないですよ!

 でも、ここは餌に飛びつかずに交渉してみましょう。

 上手くすれば、一石二鳥かもしれません……


「こればかりはやってみないと分かりません。そこでどうでしょう、今晩、あなたで試してみるというのは?」


「何だって!? アンタ……このアタシとやろうってのかいッ?」


「そうです。それとも僕とでは嫌ですか?」


「……フッ、性獣って噂は本当だったみたいだね。いいだろう、アタシが直々に品定めしてあげるよ。楽しみにしておきな」


「はい、今夜が待ちきれません」


 やりました! これで領主の母娘に続いて、女戦士とも母娘で頂けます。

 さらに功績ポイントも稼げるし最高ですね。


「フンッ、娘のためにも口だけじゃないといいけどねぇ。じゃあ改めて言っとくけど、アタシはエマヌエラだ。エマでいいよ」


「分かりました、エマさん。僕はへイロオ、いえ、エロオでいいです……」


 そんなハラハラドキドキの会話をエマさんと愉しみながら、森を抜ける道をしばらく進んでいると、先頭を行くセーラさんの前方30メートルほどの空中に、赤い物体が浮いているのがチラッと見えました。

 何でしょうね……セーラさんたちは気にしてないみたいですけど。

 あっ、あれってフラグ破壊が発動した時のビックリマークですよ。つまり……


 ────ブレイクチャンス!?


 隣にエマさんがいるので、心の中で叫びました。

 それはさておき、今ここで異世界のお約束が起きようとしてます。

 こんな森の道中で発生する定番イベントと言えば、恐らくアレですよね。


 馬車が盗賊か魔獣に襲われてるのを助けるやつですよ!


 中に乗ってるのは身分の高いお嬢様か、高名な商人と相場が決まってます。

 となると、このままイベントを起こして敵を追い払い、有力者に貸しとコネを作ったほうがいいですよね。よし、それでいきますか。


「プロミスブレイカー」


『フラグを壊しますか?  <はい> <いいえ>』


 それじゃあ今回は、<いいえ>の方をポ─────

 ……いや、待てよ………うわっ、危ない危ない。

 ちょっと自分に都合よく見積もりすぎてますよ。

 だってこれ、敵が強かったら、セーラさんたちに大きな被害が出そうだし、最悪の場合は僕だって殺されるかもしれないじゃないですか。

 ナロー小説に毒されて、勝つこと前提で考えちゃってました。反省反省。


 しかし、有力者との出会いも捨てがたいですよねえ。

 でも、自分はもちろん、セーラさんたちも無事に切り抜けさせたい。

 あぁ、このアンビバレンツな二択、どっちにしましょうか……?

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