第11話 浮気エッチが公認されました

 浴室から出てきたセーラさんの頭が輝いている!


 正確に言うと、美しい顔を額縁のように飾っている金髪が光っていた。

 夕食前に初めて会った時は、くすんで光沢の無い残念ブロンドだったのに、今はプラチナブロンドといった見映えでキラキラしてますよ。

 もしかして、この異世界の風呂には何か秘密でもあるんでしょうか……


「御当主様はまだお疲れですので、お部屋へ下がらせて頂きます」


 呆気に取られていた僕を置き去りにして、マルゴさんはご主人様に寄り添って二階へ上がる階段へ向かった。

 1分ほど立ち尽くしていた僕は、気を取り直して緑の間へ戻り、ワイシャツとスラックスを身につけてソファーに座ると物思いに耽りました。


 ────異世界人との初体験……やっちゃいましたね…


 ハニトラと分かってましたが、精子を作り直す為に仕方なかったんです。

 そのお陰で今は、ほとんど寒さを感じません。

 ただ、凍死を免れたとはいえ、生で三度も中出ししてしまいました。

 ぶっちゃけ、初めてでしたよ。ゴム無しも中出しも……

 あの征服感と達成感はクセになりそうで怖いですね。


 しかしですよ、もしこれで大当たりしてセーラさんが孕んだら、どうなるんでしょうか。キャシーとではなく、女領主のセーラさんと結婚?

 それはそれで全然アリなんですが、義理の娘になるキャシーをいつか襲っちゃいそうですよ。あの地味顔にエロボディは反則ですもん。


 ────あれれ……僕、どうしちゃったんでしょうね?


 爆乳母娘を二人とも頂いちゃおうとか、あわよくば母娘丼3Pなんて妄想しちゃってましたよ。これまでの女性経験がトラウマで、生身の女性はもぅこりごりだと避け続けてきた僕が、ここまで欲望を膨らませるなんて……

 トリカさんとスキルの影響がどんどん大きくなってるようです。

 暴走しないように自重を心掛けましょう。




「セーラ様、櫛通りまで素晴らしく良くなっています!」


 クルーレ騎士領を治める当主の髪をすいていたメイドが感嘆の声をあげた。

 褒められた30代の美女は、鏡に映った自分の顔を見てウットリとし、ホゥと熱い吐息を漏らす。自分に起こったことがまだ信じられず、夢見心地だった。


「まだ、ご気分が優れませんか?」


「少し魔力酔いが残ってますけど、大丈夫ですわ」


 屋敷の二階にある自室の鏡台の前に座っているセーラは、心配するメイドの言葉に返事をしながらも、輝きを取り戻した金髪と潤ってツヤツヤしている肌を飽きもせずに見つめては感触を楽しむのだった。


「エロオ様の子種の魔力は、途方もないものがございますね」


「その通りね。ますます手放す訳にはいかなくなりましたわ」


「それでは、キャサリン様とのご結婚を進めるのですね」


「ええ、ですけどまだ、不確定要素が多すぎる………」


「はい、商人としての実力がいかほどか未知数かと」


「彼が言った通り、あのガラス玉より価値のあるガラス細工を、いくらでも仕入れられるのなら喜ばしい限りだけど、そうでなければ大問題ですわね」


「その場合は、結婚話を御破算になさいますか?」


「いえ、結婚はして戴きますわ。あのエリクサーのような子種は捨てられません。当家で確保して、魔力供給の務めを果たしてもらいます」


「ですが、婿を取ってその財力で領地の経営を立て直すという計画は……?」


「財のある婿を取る役目は、ベルに果たしてもらいます」


「えっ? しかし、跡取り娘ではないベル様にそんな良縁が………あっ…!」


「フフフッ、貴方が察した通りよ。その時には、ベルを跡継ぎにしますわ」


「このようなご時勢ですから、キャシー様も納得して下さるかと…」


 自嘲気味に笑った主人の心情を慮ったメイドは、慰めの言葉をかけた。

 セーラは鏡に映るマルゴに頷くと、目を閉じて今後の人生に思いを馳せる。


 ───母から託されたこの領地、決して失う訳にはいきませんわ!




「エロオ様、お世話が行き届かず申し訳ありませんでした」


 緑の間で15分ほど考え事をしたり、ぼんやりとしていると、セーラさんを二階へ連れて行ったメイドのマルゴさんが来てくれました。


「お休み頂くお部屋にご案内いたします。どうぞこちらへ」


 マルゴさんの後をついて階段をのぼり、少し歩いた突き当りの扉(トイレはここと教えてくれた)の前で右に曲がってまた廊下を5メートルくらい進む。

 右側にある扉を開けて通された部屋は、10畳ほどの広さで真ん中に大きなベッドが置かれ、奥の窓からは裏庭に立つ木の緑が闇に溶けて見えた。


 さて、今日はもうこのベッドで休むだけですが、このままじゃあさっきのアレが気になって眠れません。素直に聞いてみましょう。


「あの、セーラさんの髪は一体どうしたんでしょうか?」


「どうしたもなにも、すべてエロオ様のお陰ではありませんか」


「えっ……と言いますと?」


「エロオ様の子種の強い魔力が、セーラ様を回復して下さったのですよ」


「そうだったんですかぁ」


 これはまた驚きの事実ですね。

 僕自身にはまったく魔力が無いのに、子種にはポーションになる程の異常な魔力が宿ってるなんて、これもスキルのサイドエフェクトなんでしょうか。


「そのご様子ですと、子種の魔力の強さをご自分では気づいてらっしゃらなかったのですか?」

「ええ、まぁそうなりますね」

「……もしや、先程の行為が初体験でございましたか?」

「ええっ……ま、まぁ、そういうことになりますかね」


 嘘じゃないです。女性に中出ししたのは初めてですから。

 それでこれまでは気付かなかった、ということにしておきましょう。


「それは何と言いますか……やはりまずは、おめでとうございます」


「はぁ、その、ありがとうございます」


「お礼を言うのは私どもの方です。どうか今後もセーラ様に子種を注いで頂き、町の復興に奔走し魔力をすり減らしているお体を癒してあげて下さい」


「そういことであればご協力させて頂きます。でも、良いんでしょうか……僕はキャシーと結婚することになってますが、その母親であるセーラさんと今後も関係を持つのは問題があるのでは?」


「キャサリン様との性交を継続させる為のリフレッシュですから、何も問題はございません。むしろ必要なことなのです」


「リフレッシュとは?」


「殿方は同じ女性と続けて三度までしか性交できません。別の女性をお抱きになってリフレッシュしませんと、飽きて欲情できなくなるのです」


「そ、それは知りませんでした……」


「初体験をなされたばかりですから無理からぬことかと」


「では僕は、キャシーと新婚生活を送りながら、セーラさんと浮気エッチを同じ屋根の下で続けていく訳ですね」


「表現が少々そぐわない気がしますが、その認識で概ね合っております」


 うわぁ、図らずも爆乳母娘が二人とも僕のものになっちゃいました。

 だけど、同じ女性とは三度までというこの異世界ルールですが、僕は全然平気で何度でもできるというのは隠しておいた方がいいですよね。ムフフフ…

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