第9話 頑張りたくない
何をする気にもなれなかった。
毎日欠かさずにやっていた筋トレも、風呂に入ることも、晩御飯を食べることも、全てが無意味に見える。今までやってきた事の全てが、無駄になったような気がして。お父さんもお母さんもコーチも担任の先生も、大会に向けて頑張る過程が大事で、努力してきたことは絶対無駄なんかじゃないからって、私に言ってくる。過程が大事だって事くらい、私だって分かってる。でもやっぱり、努力に見合った結果が欲しかった。影野さんと戦ってみたかった。
自分がやらかして出場停止になったわけでも、怪我をして出られなくなったわけでもない。 感染症が広がったのも、大会が中止になったのも、誰のせいでもない。ぶつけ所のない不満だけが溜まっていく。その溜まった不満を発散させる
雅に心配されるくらいには落ち込んでいたみたいで、なんでも相談してくれ、と言われたとき心配されてるって自覚した。私はメンタルが弱いな。
中高一貫校だから受験がない。周りの学生のように受験勉強に追われることもなく、この状況が良くなるのをひっそり待った。
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