初恋のステージ

神木駿

第1話

金曜日の放課後、僕はあなたに恋をした。

駅前を歩いていると彼女の姿が僕の視界を鮮やかに染めた。透き通るような歌声、目を疑うほどきれいなダンス、キラキラと光る笑顔。そのすべてに僕は魅了された。


「みなさん!今日はありがとうございました!よかったらまた見に来てくださーい」


彼女は周りを囲う人たちに向けてそう言った。みんなは少しの間拍手をした後、駅の方へと足を運んだ。だけど僕はあまりの衝撃に体を動かすことが出来ず立ち尽くしていた。


「あの?大丈夫ですか?」


「え?あ、はい!だ、だいじょうび…です」


彼女に声をかけられて僕は焦って嚙んでしまった。


「ふふ。そう」


彼女ははさっきとは違う柔らかい笑みを浮かべて僕を見ていた。


「はい、じゃあ僕はこれで」


僕は早足でその場を去った。


『なんだこれ…胸のあたりがすごいギュッとしてる』

家に帰ってからもあの子の姿が目に焼き付いて離れない。自分の心臓の鼓動が速くなって胸が高鳴っていくのが分かる。


『あぁこれは恋だ』

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