第三十五話 大団円
私の部屋は、お城で一番高い塔のてっぺんにある。
だというのに重い鎧戸を開ければカンカンという槌の音がここまで響いてくる。
いま、お城の門――という名の高い塔――は絶賛修理工事中だ。
それというのも、地龍との戦いの真っ最中にお義姉さまが私に力を送りすぎたせいで浮島の高度が下り、塔を破壊してしまったからだ。
巻き上げ式の昇降機があるから多少の人の行き来はできるけれど、人力式な上、外壁のない今は風が吹くたびに大きく揺れるため酷く不評だ。
昨日、お兄様からの早馬が到着し、今日の昼頃にもお城に到着するとの報せを届けてくれた。
お兄様の帰還までに門の修復が済めばよかったのだけれど、これでは間に合いそうにない。
高いところはお兄様の唯一の弱点だ。
かわいそうに、そんなお兄様があの揺れる荷台に乗らないとお城に戻ってこられないだなんて。
今にもお兄様が戻ってくるのではないかと外をじっと見つめていると、ミレアが呆れたように声をかけてきた。
「姫様、そのように外ばかり見ておられると日に焼けてしまいますよ」
私の白すぎる肌は太陽の光にとても弱い。
だから普段は全ての窓を閉め切っている。
「大丈夫よ。こっちの窓は北側だし、この通りちゃんとベールも被っているもの」
そもそもこの窓は北向きで、日光が直接差し込んでくるわけでもない。
いくら私だってこの程度の光ですぐにどうにかなったりはしないのだ。
きっとこの心配性の老侍女にとって、私は今でも小さな女の子のままなのだろう。
「だからって、一日中そんな風に外を見ていなくたっていいじゃありませんか。
姫様が覗いていたからって、陛下が早くお帰りになるわけもなし」
「あら、そうとも言いきれないんじゃないかしら?
世の中何がどう影響するかなんてわからないんだし、
私が見ているおかげでお兄様の帰還が早まることだってあるかもしれないじゃない」
「その理屈ですと、姫様のせいで陛下の帰りが遅くなることだってあり得ますよ。
さあ、早く窓を閉めて、私と一緒にレース編みでも致しましょう。
殿方の心を射止めるには、美しいレースが一番ですからね!」
それはどうだろうか。
彼女の夫は衛士長のオッターだけれど、あの老兵がきれいなレースに心惹かれて結婚を決めたとはとても思えない。
ミレアはもっと自分の人柄を高く評価するべきだろう。
とはいえ、私に花嫁修業をさせようとするのは、今ではもうこの愛しい老侍女しかいない。
お兄様は既に半分諦めているし、他の人たちはそもそも私をそういう存在とは見なしていない。
私に結婚が必要かはさておいて、魔女であるこの私を、できるだけ普通の人間として扱おうというその気持ちはとてもありがたいと思っている。
だから、たまには彼女の提案に付き合ってあげることにした。
「仕方ないわね。でも、少しだけよ?」
ミレアの顔がパッと明るくなる。
これを見るためだけでも、少しばかり苦労するだけの価値があるというものだ。
「では早速お道具の準備をしてまいりますね!」
ミレアが嬉しそうに部屋を出ていこうとするのを尻目に、鎧戸を閉めようと手を伸ばしたその時だ。
遥か彼方、丘を越えて続く街道の先で何かがキラリと光った。
「ミレア待って!」
「どうされました?」
「ほら、あれ!
街道の先で何かが光ったわ!」
ミレアが戻ってきて、恐る恐るといった様子で窓を覗き込んだ。
「どこですか、私には何も……ああ! 確かに!」
あの煌めきは槍の穂先が陽光を反射したものに違いない。
とうとうお兄様の軍勢が帰ってきたのだ。
「あの分なら、ご到着は予定通りになりそうですね。
もう気は済んだでしょう。
早速レース編みを――」
「そんなことしている場合じゃないわ!
すぐにお義姉さまにもお報せしないと!」
そう言って部屋を出ようとした私だったが、ミレアに引き留められてしまった。
彼女は部屋のドアの前に立ちはだかると、両手を腰を当てながら言う。
「わざわざ姫様がいかずともいいではありませんか。
衛士たちだってしっかりと見張りをしてるんですから、
お妃様のところにもすぐに報せが行きますよ」
「ダメよミレア。
戦場ではそういう油断が命取りになるんだから」
「またそんなことを!
分かりました。では、衛士を呼んで言付けさせましょう。
それならば報せはお妃様にもちゃんと伝わりますから」
「違うの!
私が! 自分で! 一番に! お義姉さまに知らせたいの!」
ミレアには悪いけれど、こればっかりは誰にも譲れない。
「子供みたいなことをおっしゃらないでください。
立派な淑女になるためには、人を使うということも覚えねばなりません」
なるほど。
「じゃあこうしましょう。
衛士にレースを編ませて、私が伝令に走るの」
「衛士を淑女にしてどうするのですか!
姫様が淑女になるのです!」
「いいえ、私は魔女よ。
魔女が使うのは人ではなくて――」
私はソロリソロリと窓の方へ下がりながら、そこで言葉を区切る。
「魔法よ!」
私は塔の窓から飛び出した。
「姫様!」
ミレアが悲鳴のような声をあげながら窓から顔を出す。
でも大丈夫。すぐにツタが絡んで私の体を受け止めてくれた。
私はおしゃべりで彼女の気を引きながら、気づかれないように窓の外にツタを伸ばしていたのだ。
「そんな顔しないで!
大丈夫、すぐに戻ってくるから!」
ミレアに向かって手を振りながらそう叫ぶと、私はツタをお城の主塔に向かって伸ばした。
空中を移動しながらふと見張り塔の方に目をやると、見張りの一人が北の方を指さしながら仲間を呼び集めているのが見えた。
すぐにそのうちの一人が塔の階段を駆け下りていく。どうやら彼らもお兄様の軍勢に気づいたらしい。
でもこの分なら、お義姉さまのところには私が一番乗りだろう。
*
お兄様は予定通り昼を過ぎてからお城に到着した。
すぐにでも駆け付けたいところだったけれど、そういうわけにはいかない。
国王陛下の凱旋なのだから、迎える側にもしかるべき作法というものがある。
私があまりに無作法な真似をすれば、お兄様の評判を落としてしまうことになるのだ。
そういうわけで、私たちはお城詰めの家臣や奥方衆たちと共にお城の大広間でお兄様の帰還を待ち受けた。
私とお義姉さまの立ち位置は玉座の両脇だ。
「国王陛下、御帰還!」
広間の大扉の向こうから、衛士の呼ばわる声が響く。
群臣たちのざわめきが一瞬で静まる。
少し間を開けて、侍従が大扉を音もなくゆっくりと開くと、お兄様が側近たちと共に姿を現した。
鳥の羽をふんだんにあしらった伝統的な戦装束をまとって、堂々たるお姿だ。
生やし始めたころは全く似合っていなかったお髭も、今はとても様になっている。
あら?
同じような戦装束を身にまとい共に進んでくる側近たちの中に、見慣れぬ初老の男がいることに私は気づいた。
あらあら?
あのお方はもしかして。だとしたらお兄様も人が悪い。
私たちは玉座の前に進み出て、お兄様の前に跪き、頭を下げた。
そしてお義姉さまが頭を下げたまま型通りに挨拶の言葉を述べる。
「ジリノス陛下、マノアの民の王にして浮遊城の正当なる守護者よ。
陛下が御無事でお戻りに――」
「堅苦しい挨拶は抜きだ。
愛しい妻よ、立ち上がってその顔をよく見せてくれ」
お兄様はそう言ってお義姉さまを立たせると、そのまま抱きしめた。
羨ましい。
私もぎゅっとしてほしかったけれど、もう去年までとは違う。
今の私は成人を迎えた一人前の淑女なのだから、そういうはしたないことは言わないのだ。
お兄様はしばらくそうした後、体を少し離してお義姉さまにねぎらいの言葉をかけた。
「報告は聞いている。
私が留守をしている間に大変なことが起きたようだな。
よくぞ城を守ってくれた」
「当然のことをしたまでにございます」
その言葉のそっけなさにとは裏腹に、お義姉さまの声は弾んでいる。
「しかしながら陛下、この城を危機から救ったのは私ではなく
義妹のリリーでございます。
お褒めの言葉は彼女にお与えください」
お義姉さまの言葉に、お兄様は笑顔をこちらに向ける。
「そうであったか!
リリーよ、よくやった」
「いいえ、私一人では到底城を守ることは叶いませんでした。
全てはお義姉さまと、それから戦友たちの助力があってのことにございます」
「ほう、戦友たちとな。
実に気になる話ではあるが、そなたらの活躍についてはあとでゆっくりと話をきくとしよう。
それよりも、まずは我が子の顔を見せておくれ」
そういって、お兄様はきょろきょろと周囲を見回した。
あのかわいい坊やはお兄様が出陣なさった後に生まれたので、お兄様はまだあの子の顔を見ていないのだ。
すぐにおくるみに包まれた赤ん坊を抱いたミレアがお兄様の前に進み出た。
お兄様が赤ん坊に手を伸ばし、その頬そっと触れる。
「おぉ……」
そう声を漏らしたっきり、お兄様は感極まった様子で固まってしまった。
お義姉さまが見かねた様子で声をかけた。
「陛下、どうか抱き上げてやってくださいまし」
「い、いいのか?」
「もちろんでございますよ!
さあさ、お早く!」
ミレアがそう言いながらニコニコと赤ん坊を差し出すと、お兄様はおずおずと受け取った。
「……随分と、軽いのだな」
「陛下も昔はそのぐらい軽うございましたよ」
ミレアがそう感慨深げに言うのを聞いて、お兄様の表情が緩む。
「これが我が子か……嬉しいものだな」
そう呟くように言ったお兄様の目じりには涙がにじんでいた。
*
赤ん坊との対面で少しばかりしんみりとした空気が流れた後、大広間にはたくさんの机と料理、それからお酒が運び込まれてきて宴会のはじまりと相成った。
開宴に先立ってお兄様が先ほどの初老の男を皆に紹介してくれた。
「こちらにおわすお方は、三つの王冠の所持者、太陽の信仰の護り手にして敬虔なる信徒、偉大なるホルニア王メニスタス陛下にあらせられる。
先の戦の勝利により、我々はかの高貴なお方を勝利の宴にお招きする栄誉を手に入れた。
この場において、陛下は虜囚ではなく客人である。
くれぐれも失礼のなきよう、皆、相応しい敬意をもって接するように」
宴会の主賓席、つまりお兄様の隣にいたホルニア王が立ち上がり、むすっとした顔で皆にお辞儀をした。
お兄様は彼にもきちんと高貴な虜囚としての権利を約束しているらしく、いまも腰には立派な装飾を施された剣をつっている。
聞くところによれば、ホルニアの裏切りを察知――実際はお義姉さまが鏡を通じて報せたのだがそのことは伏せられている――したお兄様は、こちらに不意打ちを食わせようと接近してくるホルニア軍を逆に待ち伏せて、散々に打ち破ったのだという。
こと戦にかけてはお兄様の右に出るものはいないのだ。
お兄様が乾杯の音頭を取り、宴が始まった。
今日は戦勝祝いの宴だから、これより後は無礼講だ。
私は早速席を立って仲間たちはどこにいるかと周囲を見まわした。
彼らは大切な客人として主賓席からそう遠くない位置に席を与えられていたからすぐに見つかった。
まだ宴会も始まったばかりだというのに、早くもお兄様の配下の騎士たちから飲み比べを挑まれている。
ああ、これはよくない。
彼らはほとんど無尽蔵にお酒を飲むことができるけど、酔いが回るのは思いのほか早いのだ。
グデングデンに酔っぱらった彼らをお兄様の前に連れて行けば事故が起きかねない。
特にネウラフには前科がある。
私は大急ぎで彼らのもとに駆け付けると、すぐに勝負を中断させ、騎士たちの不満の声を背中に聞き流しながら、仲間たちを揃ってお兄様の前に引っ立てた。
大広間中の視線が、私と、私の背の低い仲間たちに集まる。
玉座の前に進み出た私たちを見てお兄様は嬉しそうに目を細めた。
一方、隣にいるメニスタス陛下は実に面白くなさそうな顔をしている。
当然だろう。
この男は彼らを手に入れたいがために私たちを裏切り、挙句に虜囚の憂き目に遭ったんだから。
わざわざ見せびらかしに来たかいがあったというもの。
それにしても不思議な縁もあったものだ。
もし彼が私に暗殺者を送り付けてこなければ、きっと私は仲間たちに出会うことはなかったのだ。
そう考えれば、むしろ彼には感謝するべきかもしれない。
「お兄様! 紹介したい人たちがいるのですけれど」
私がそう言うと、お兄様は背筋を伸ばして姿勢を改めた。
「ぜひとも頼む、我が妹よ。
遠目に見てもただならぬ雰囲気の持ち主たち故、
先ほどからずっと気になっていたところだったのだ」
「それでは紹介させていただきます。
彼らは、私の戦友にして恩人。
はるか西方、〈はがね山〉よりやってきた〈山の下の民〉の戦士たちです」
私はそう言って一歩下がり、イェラナイフに向けて名乗りを促した。
それを受けたイェラナイフは私と入れ替わるように一歩進み出る。
「ご紹介にあずかり光栄にございます。陛下。
我が名はイェラナイフ。
〈山の下の王〉イェッテレルカ十三世の命により、邪悪なる地龍を討伐し、
また〈闇夜の森〉の地下に眠る我らが故郷を再興すべくこの地に使わされた者にございます」
自身の名乗りに引き続き、残る仲間たちを順に紹介していく。
〈泥棒豚〉に〈挽肉製造機〉、〈ヤボ金槌〉、〈王冠落とし〉、それから今この場にはいない〈酔っ払い〉。
奇妙な二つの名の数々になんとも言えない表情を浮かべるお兄様を見て私は不思議と懐かしい気持ちになった。
彼らと出会ったのはつい最近だったはずなのに、もっとずっと昔から知り合いだったような気がしてしまう。
「貴君らの事はすでに聞き及んでいる。
我が妹を助けホルニア軍を退けたのみならず、
強大な怪物を討ち取り、我らが〈浮遊城〉を救ってくれたそうではないか。
この感謝の念を表すにはどれだけの言葉を尽くしても到底足りぬ。
せめてもの礼として、可能な限り貴君らの望みをかなえたい。
何かお望みの事はないだろうか?」
お兄様からの申し出に、イェラナイフが恭しく答えた。
「助けられたは我らも同じこと。
地龍の討伐は我らが悲願。
しかしながら、御妹君の助力なくしては成しえぬことでございました。
礼を言わねばならぬのは我らの方でございます」
「そのようなことを言われては我らの面目がたたぬ。
どうか望みをおっしゃっていただきたい」
「しからば――」
イェラナイフの口が止まった。
もちろん、要望はあるはずだ。
彼らは〈闇夜の森〉を求めている。
だけど、この場でいきなり領土の割譲を要求するほど考えなしな男じゃない。
十分な根回しもないうちにそんなことを言われれば、お兄様だって領主たちの手前、断らざるを得なくなる。
だからといって金品を求めて、せっかくの恩を清算してしまったりもしないだろう。
きっと、なにかちょうどいい落としどころはないかと考えているに違いない。
一瞬の間の後、イェラナイフが再び口を開いた。
「陛下の御妹君を我らの『一つ穴の兄弟』と呼ぶ栄誉を授けていただきたく」
突然の衝撃発言に場が静まり返る。
当のイェラナイフは自分が何を言ったかを全く理解していない様子だ。
周囲の空気が変わったことにはさすがに気づいたようで、視線でこちらに助けを求めてきた。
助けてほしいのはこちらの方だ。
私は慌ててお兄様に説明した。
「あ、あの、お兄様。『一つ穴の兄弟』というのは、その、
彼らの言いまわしで『家族のように強い絆で結ばれた同志』という意味で……」
はっきりと確認したわけではないけれど、そう大きく外れてはいないはずだ。
イェラナイフも「御妹君の言う通りでございます」とばかりに頷いている。
「そ、そうであったか。なるほど」
いち早く衝撃から立ち直ったお兄様が再び口を開いた。
「我が妹をそのように親しく思ってくれているとは、兄としても喜ばしい限りだ。
しかし――」
お兄様は慎重に言葉を選んでいるらしかった。
「失礼ながら、『穴の兄弟』とは……我々の国においては、その、少しばかりいかがわしい意味合いを持つ言葉になるのだ。
『兄弟』を……そうだな、例えば『家族』などに置き換えていただくことは可能だろうか?」
「分かりました。では、御妹君の事は『一つ穴の家族』と呼ばせていただきます」
それにしても、なんだか『兄弟』よりも少しばかりくすぐったい響きがある。
お兄様は一瞬だけこちらに目をやると、意味ありげな笑みを浮かべた。
なんだろう。お兄様が何か企んでいるような気がする。
お兄様がイェラナイフに向かって話を続ける。
「ありがたい。
貴君らがこの地を訪れたのは、父祖の地を再興するためでもあると言っていたな。
貴君らのような頼もしい隣人を得られるのは実に喜ばしいことだ。
我が妹がその懸け橋になってくれるというのであれば、大変心強い」
お兄様には、彼らが〈闇夜の森〉を求めていると既に伝えてある。
その上で彼らを隣人として歓迎するというのなら、それは森を与えるという内々のメッセージに他ならない。
イェラナイフたちが近所にいてくれるのだから、これからの暮らしは今よりもきっと楽しくなるだろう。
「そうだ。実は一つ、私から貴君らに頼みたいことがあるのだ」
今度はお兄様から彼らに頼み事があるらしい。
「できることであれば、なんなりと」
お兄様は、お義姉さまを隣に呼び寄せた。
お義姉さまの腕には、坊やがスヤスヤと可愛らしい寝息を立てている。
お兄様はその寝顔を愛おし気に撫でながら言った。
「この子の名付け親となってはいただけないだろうか」
これにはイェラナイフも驚いたらしかった。
「光栄にございます。
しかし、よろしいのですか?」
イェラナイフはお義姉さまとお兄様の顔を交互に見やった後問い返した。
「妻の了解もすでに得ておる。
これは我が嫡男だ。
滞りなく無事に育ったなら、この子がマノアの王となろう。
こうして貴君らとの縁をつなぐことは、この子にとっても、我が国にとっても
また貴君らにとっても利となるであろうと考えておる」
「そういうことでありましたなら、謹んでお受けいたします。
実は一つ、良き名に心当たりがあるのです」
「お聞かせ願おう」
「イェルフ、とそうお名付けください」
その名を聞いて、私の涙腺が少しだけ緩くなった。
「名の由来を尋ねてもよろしいか」
「我らの古き言葉で『成し遂げる者』を意味する名でございます。
また、先の地龍との戦いで命を落とした戦士の名でもあります。
もしも名が力を持つのであれば、何事もやり通す強い意志と、
地龍をも打ち倒す武勇、そして友を大切にする善良な心を持つ
立派な王となられることでしょう」
「まことに良き名である!」
お兄様は玉座から立ち上がると、広間の人たちみんなに呼び掛けた。
「それでは皆の衆、今一度感謝の盃を捧げようではないか!
我が子イェルフのため!
今は亡き勇敢な戦士のため!
そして我らの新しき友とその未来のために、乾杯!」
「乾杯!」
広間中で歓声があがり、今度こそ楽しい大宴会が始まった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます