ーーエンド2『二人を守る為に』ーー(中編)

…よし、決めた!この森を出よう!


ここにずっといても仕方がないと俺は悟った。

そして「外に出たとしてもすぐに殺される事は無い」

と判断したのが外に出る大きな理由だ。


あのギャオスでさえも最初は保護対象だった。

敵対行動をとらず、物をやたらと破壊せず、

人と意思疎通が出来る事を伝えられたら

きっと大丈夫だ。人間はそこまでバカでは無い。


仮に不本意に捕まりそうになっても

この脚なら難なく逃げられる。


よし、行こう!


………

……


それから1時間後、予想どおり

近隣住民は大パニックになっていた。

パトカーが数台やってきており

マスコミはまだ来ていない。


人間は予想通り距離を通り様子を見ている。

俺の想定どおりに事が進んで安心した。


さて、ここからの行動は極めて大事だ。

決して人間を刺激する事なく、

また油断して拘束されないように

気をつけて行動しないといけない。


とりあえずこの巨体だと色々不便だ。

広くて周りに影響の及びにくい所に行こう。

幸い、近くに大きな運動公園がある。


野球場やサッカーグラウンドがあり広さも十分、

照明もあるから夜の暗闇が苦手な俺には

よい根城になるだろう。


人間には申し訳ないが俺は都会派で

この森にいるのはもう飽きたんだ。


慎重に歩き、人間の反応にも気をつけながら

途中の川で水分補給をした後、どうにか

片道三車線の国道に出る事が出来た。


あとはゆっくり国道沿いに歩けば

目的の運動公園に到着だ。


それから数十分。

時々、道を間違えてしまう事もあったが

無事到着する事が出来た。


途中から人間達もこの公園に

誘導していたように感じられた。

お互いの思惑が一致したのだろう。

それくらいスムーズだった。


この感覚を相手も共有していたのなら

悪い結果にはならないだろう。

俺は楽観的に考える事にした。


それにしても、いつも使ってる道なのに

何度も間違ってしまったのは

視界が全く違うからだろうか。

少し気になった。


俺はサッカーグラウンドで腰を下ろした。

この大きさならゆっくり出来る。

ようやく一息つく事が出来た。


腰を下ろしたからだろう。

住民、マスコミと警察がグラウンドの

周りに集まってきた。


今は規制とかされていないようだが

おそらく俺を刺激させないように

国が接近禁止の措置を取る筈だ。


そしてようやく自衛隊の姿も見えた

出動するか相当揉めただろうなと

少し苦笑いした。


自衛隊はすぐ隣にある

野球場に陣取るつもりだろう。

流石に戦車までは来ていないが

銃火器や装甲車は相当数いる。


当然、空にも軍用ヘリがいるが

予想以上に多い。何があっても

逃がさないという事だろうか。


いずれにせよ俺は見た目より

高速で走れる事、大ジャンプが出来る事、

そして口から“何か”を出せる事を

人間には見せていない。

何があっても対応出来る筈だ。


俺はサッカーグラウンドを根城にして

人間の次の手を待つ事にした。

知能があるかどうか調べてくれるのなら

その時こそアピールする時だ。


………


それにしても、だ。

起きてからずっと違和感がある。

これは一体なんだろうか…


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