転校生に前世で会った事を言ったらめちゃくちゃ複雑そうな顔をして距離を置かれた。
水無月 深夜
前世の記憶
俺は名前はアキト。でもこれは前世の名前だ。今は
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綺麗に縦横に並ぶ机に座る生徒。そして前方の黒板の前で授業を行う先生。全くもってつまらない。なぜならこの世界は平和過ぎるからだ。
俺の前世では勉強は常に剣術や魔法などの鍛錬だ、大変だったが面白さがあった、でもこの世界には剣は存在しても魔法は存在しない。ましてや魔物と呼ばれる怪物諸々なんていない、あまりにも平和過ぎる。
「……黎斗君?授業聞いてるのかね?」
「あ、やべっ!」
ぼんやりと考え事していたら先生に怒られた。茶飯事とまではいかないが平和過ぎるのが悪い。俺は急いで教科書とノートを開きすでに黒板に書いてあるのを写し始めた。
授業が終わりに近づく頃、先生は授業を早めに終えて話を始めた。
「さて、みんなに話があります」
クラスメイト達は何か何かとどよめき始めるが俺は無関心だった。
「突然ですが明日、転校生が来ます」
驚きの声が上がるクラスメイト達。先生はそれだけ伝えると生徒からの質問攻めされる前に颯爽と教室から出て行った。
テンコーセー?ああ転校生か、特に気にしてなかったが他の学校から来る生徒だっけか?しかしなぜそこまでしてみんなは楽しそうなんだ?
周囲を見渡すとクラスメイト達は転校生の話題ではしゃいでいる。別に他の学校から来るだけなんだから面白くも楽しそうもないだろ。
「なぁなぁ黎斗は転校生が男か女か気にならないか?」
突然、俺の席近づいて話しかけてきたクラスメイト。名前はなんだっけ?
「あーうーん、ユキト?」
「まだ俺の名前覚えてないのか、
幸也だ。ユキトは前世で俺の仲間でいたな、幸也と顔立ちや性格が似ていたから初めて会った時にユキトと呼んだけど違うと言われた記憶、その後もクラスメイトや他のクラスで似ている人が居たけど全員違ったな、しかも前世と前世と言っていたからチューニビョーという謎の単語が付けられた。
「まぁいいや、そんなことより転校生気になるよな」
「転校生か……そこまで気になるものか?」
「当たり前だ。もし女で可愛い子なら狙うだろ」
「可愛い子ねぇ……」
前世では嫁が居たな、名前はたしかヒイナ。幼馴染でずっと一緒で気がついたら付き合っていた感じだったな。
「黎斗は転校生に会って開口一番に前世で会った?とか聞くなよ、お前はそれだけ気をつければまぁまぁいいんだけどな」
「一応気をつける」
「一応ってなんだよ一応って、それより今週遊べるか?新しいゲーム買ったんだよ」
「今週は親の手伝いする」
「親の手伝いといっても店とか持ってるわけじゃないだろ」
「そうだけど手伝わないと」
「全くお前は厨二病のくせに何かと他はしっかりとしてるよな」
「うんそりゃ前世で……」
「ストップ!お前それ口癖になってるからマジで気をつけろ」
「分かった」
正直、自分でも口癖になりつつある「前世では……」は治したいところ、だけど何故か喉が突っかかるみたいで言いたくはないのに言ってしまう。何かを確かめるように、なるほどこれがチューニビョーか?などと考えていたら幸也は他のクラスメイトの所に行っていた。
そして次の日、俺はこの開口一番に口癖を発動させることになった。
「――みなさん。初めまして
輝かしい満面の笑みを見せる女の子。それにクラスメイトの男は一瞬で射抜かれ女は可愛いなどと言った声が上がる。そして俺も目を奪われた、しかしそれは可愛いや綺麗などと言った着飾った言葉ではなく違う言葉がすでに念頭にあった。
休み時間になると雛に群がるクラスメイト達、だが俺は誰よりも早く誰よりも先に質問をした。
「――――ヒイナ!俺だ!黎斗だ、前世で会ったよね?覚えてる!!」
その言葉にクラスメイト達は凍り付く、あの黎斗が厨二病を発動させた。しかも転校生初日の転校生に、しかも相手は女の子。どっからどうみても初対面の人が急に「前世で会った」とか話しかけてきたら反応は決まってる。
「…………え?」
めちゃくちゃ反応に困る表情を見せた雛。そのあとに何か反応しないとと焦りとりあえず苦笑いを見せる雛。もはやクラスメイト達誰もが思った、ドン引きされていると。これが俺と雛の出会いだった。
転校生に前世で会った事を言ったらめちゃくちゃ複雑そうな顔をして距離を置かれた。 水無月 深夜 @Minazuki1379
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