設定 下働きになった王子が、下働きの少女に恋をしながら、下働きを頑張る話

仲仁へび(旧:離久)

第1話



――あらすじ


 その城の王子は、下働きの少女に恋をしていた。

 だから、いつもちょっかいをかけて困らせていた。

 掃除の時間や調理の時間に、顔をだしては仕事を送らせていた。

 しかも贈り物などを大量に送ったり、知らないうちに部屋の内装を豪華にしていたり、まかないを豪華にしていたり、お給料を増やしていたりもした。


 そんな王子に、下働きの少女はきっぱり「迷惑です」と告げた。

 王子はしょげかえって三日三晩部屋から出てこなくなった。

 しかし四日目に、護衛から励まされて、元気を出した。

 その護衛は、幼い頃から王子の友人だった者。

 なので、王子の心のツボを心得ていた。


 元気になった王子は、さっそく下働きに変装した。

 そして、慣れない仕事に精をだしながら、少女に近づく。

 これなら誠実にアピールできるに違いない。

 変装は念入りに行い、声も特技で変えた。


 下働きの少女は、自分の後輩にあたる王子(※下働き)に親切にしていた。

 世話がかかるため、弟のようだと告げて、くったくなく笑う。

 一方王子(※下働き)は不満だった。

 そうじゃない。弟ポジションを目指しているわけではない、と地団太を踏んでいた。


 頼もしくなるために、一層下働きの仕事に精を出す王子(※下働き)。

 努力のかいもあって、その腕はめきめき上がっていった。

 下働きの少女は大喜び。

 自分の事の様に喜んだ。

 そして、兄の様だと言った。

 王子(※下働き)はそうじゃないと地団太を踏んだ。

 家族じゃなくて、異性として見てほしかった。


 それからも王子(※下働き)は下働きの仕事を頑張った。

 下働きの少女に意識してもらおうと、精いっぱい頑張った。

 そのおかげで王子なのに、下働きのスキルがかなり上達した。

 王子の事を良く思わない貴族の懐にもばっちりと潜り込めるほどだった。

 隣国に招待された時も、下働きのふりをして内情を探る事ができるほどだった。

 下働きのスキルが国を助けるまでになった。


 しかし下働きの少女は一向に振り向いてくれない。

 王子は頭を抱えていた。

 一体なにが駄目なのかと。

 そこで、王子(※下働き)は同じ下働き仲間に、相談した。

 その同僚は、下働きの少女の内心をこういった。


 王子…顔は好み。性格が残念だから恋愛対象にはならない。

 下働きの君(※王子)……顔は好みじゃない。一生懸命で素敵。性格は好み。


 王子は雷にうたれたような衝撃を感じた。

 つまり王子(※王子)に戻って、下働きの時の様な性格で接すれば良いのではと。

 それは遅すぎる気づきだった。


 下働きをやめた王子(※王子)は、下働き時代の性格で下働きの少女に接する事にした。

 すると、みるみる仲が急接近。

 プロポーズも受け入れてもらえるようになった。

 今までの苦労はなんだったのだとげんなりする王子。


 しかし、下働きとして磨いたスキルや、培った人間関係を思い起こして。

 あれはあれで有意義だし楽しい思い出だったけど、と結論付けた。


 めでたしめでたしになった。



――BGM


01 恋はからまわり

02 恋は大騒ぎ

03 恋はやっかい

04 恋は方向音痴

05 王子(※下働き)

06 下働きタイム

07 役に立つ下働き

08 下働きスキルは国を救う

09 衝撃の気づき

10 終わりよければなんかよし



――人物


〇王子

 恋の方向性とかが色々こじらせちゃってる王子。

 だって初恋だったんだもんと後に言い訳をする。


〇下働きの少女

 王子の求愛行動を変なものを見つめるような目で見ている。

 王子(※下働き)には優しい。


〇王子の友人

 王子の奇行に悩みながら適度に助言を行っていく苦労人。

 恋をしなければ普通でまともなのに。


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