Φの子供達
ゆな
そして私は花を吐く。
物心ついた時からお父さんとお母さんはけんかばかり。
私が表彰されても、テストで100点をとっても二人は気づいてもくれなかった。
いつも私の事を話しているのに、私のことは見てくれない。
狂おしいほどの激情に襲われる度に私の心は引き裂かれる。承認欲求で気管が詰まる。
その度に私は花を吐く。
愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して
こっちを見てよ
「菜桜」
彼が名前を呼んでくれると不思議と心が落ち着いた。
幼なじみ。彼はいつだって私を愛してくれた。私だけを見てくれた。
承認欲求も愛情不足も全部満たしてくれた。
彼が私なしでは生きていけない様に、私も彼なしでは生きていけない。
彼と一瞬でも離れようものならまたたく間に私の体内は花々が咲き乱れ、その片鱗を零しながらきっと私は死に至る。
なのに、
「人前でイチャつかないでくれない、うぜぇんだよ!!」
どこ?どこ?陽菜、どこ?
「あなたが陽菜くんを束縛するせいで陽菜くんは何も選べないのッ!!!」
苦しい、苦しいよ、そばにいて、ねえ陽菜、どこ?、あなたなしじゃ私は
「陽菜くんはぁ〜小春日さんが呼んでたぁ〜って遠い所に呼び出したんだぁ〜残念だねぇ〜www」
むせ返る甘ったるい香りと共に気道が詰まる。
「がっ、こふっ、ごほっ、げほっげほっ」
涙が出るのは苦しみ故か、悲しみか。
「ちょっ、なにソレ?!気持ち悪い!!」
口から溢れ出る花々はドロドロと腐っていて、吐いても、吐いても溢れ出してくれる。
「ひな、ひなぁ……」
きっと私の躰の中は夢のように花々が咲き誇り、咲き乱れ、狂い咲いている。
私だけの屋上。大好きな青空に包まれて
私は最後の花を吐く。
「こふっ」
カスミソウ : 感謝 無垢の愛
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます