ひとり

私はこれまで、たくさんのことを経験すべく、たくさんの旅をしてきた。


いろいろな世界、土地、そこに暮らす者達に触れ、様々な空気を感じ、その時々だけの空を見た。


ある時抱いた大きな不安はいつしか忘れていき、諦めとともに満足までしてしまった。


私はひとりだ。


そう、良くも悪くも、私はひとりだった。

私という存在はひとつで、またひとりで、いろいろな世界を見たものの、やはり私はひとりだった。


どれだけ周りを見渡してみても、例え同じような風景にすら、私はひとりなんだ。


これは飽くまで私の予想だが、きっとこの命が尽きるその時も、私はひとりなのだと思う。


そろそろ「私ではない"誰か"が見つからないか」と淡い期待を抱くも、もはやそれは叶わないであろうことも知っている気がする。


ただ、私は諦めない。


私をひとりにしない"あなた"が居る限り、

私も"あなた"をひとりにさせない。


そう、だって、

私たちはひとりではないのだから。

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