★ 契約獣:剛毅果断(ごうきかだん)
※霊山で固まっていた灰色猫の視点です。
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契約獣なんて、やってらんないわー。
契約主が受けた呪術陣の余波でこっちまで身動きできなくなって四日目に突入。流石に毒づきましたとも。
古代文明が遺した霊山だかなんだか知らないけど、人も獣も寄りつかない
隣で腐れ魔道士のグウェンフォールが既にくたばっているのはいいとして。神殿の上級魔道士たちが暴走するきっかけを作ったのだから、自業自得だし?
本人は『若気の至り』
もーね、関係者まとめて絞めるの一択でしょ。偶然通りがかった変な二人組が鈴をガチャガチャ鳴らし、呪術陣の
なぁにが黄金
グウェンフォールは真面目に神殿の
そこいらの上位魔獣とは違うの。なんてったって『聖獣』ってレベルよ。今は平凡な猫に偽装してるけど、本物の尻尾は九本もあるのよ。
帝国かぶれの売国奴なんざ、一人残らず
とはいえ、まずは目の前の少女とチビ竜の口封じからかしら。
それなりに長生きしてきたつもりだけど、なんなのこの奇天烈な緑の
≪で、貴方たちはそこの袋が欲しいのかしら?≫
念話が出来るまで
≪はい。勝手は重重承知しておりますが、譲ってくださると非常に助かります≫
こちらをじっと見つめる、曇りのない大きな黒い瞳。脳裏に優しく響く、清らかな声音。そんなの問答無用で奪えばいいのに生真面目な娘ねぇ。
異世界から来たとか自己申告しているのだけど、服も雰囲気も確かにすっごく変。男装しているのはどーでもいいとして、わたし相手に普通はもっと泣くなり
もしかして単なる猫だってバカにしている? であれば、殺す前に拷問しなきゃ。
≪ひとつ確かめたいのだけど。貴女は魔道士よね?≫
≪いえ、違います。魔法のない世界から昨日参りましたので、こちらの世界では無戸籍無学歴の無職です≫
意味解んない。魔法のない世界なんてありえないでしょ。獣なら
≪あら、今わたしを浄化したじゃない。魔術でしょ≫
≪えーと。これは浄化の道具なので、もし効果があるなら誰が鳴らしても一緒かと≫
妙ね、魔導具なら魔石が仕込んであるから魔力を感じる
≪あ、でも『**』、火の魔法使えます! あと、水の玉も出せます! 『**』凄いですっ≫
娘よりほんの僅かに背の高い、お子ちゃま竜があっさりと
≪あと『**』、念話も完璧です! この山の魔法使いみたく、片言じゃありません!≫
すっかり忘れていたけれど、言われてみれば確かにそうよ! 上級魔道士でも滅多に到達できない高み。
わたし相手に平然としていたのはその
≪ってことみたいだけど、ねぇどうする?≫
とりあえず、作戦担当のグウェンフォールに振ってみようっと。鈴がすぐ傍で鳴り出してから気づいたけど、肉体死んでも霊体がしぶとく残っているみたいだし。
あら、娘の人形の中に入っちゃった。何考えてんのかしら、あの老いぼれ。
≪火か使えるのならワシを焼け≫
相変わらず目的のためなら手段を選ばない男ね。確かに神殿の奴らに余計な情報は提供しないほうがいいのだけど。
≪『**』を焼けるかーっ≫
娘が騒ぎ出した。両手に抱えた人形のことかしら。竜も少女もなんて幼いの。勘違いしちゃってまぁ。
≪焼くのはこっちの腐れ外道! 年取って油断して呪術陣であっさり死んじゃった、みっともないジジイよ≫
親切に教えてあげたのに、どうも気乗りしないみたい。
イラっとしたから、グウェンフォールの
≪ほら、さっさと袋に入れちゃって!≫
≪はぁ……≫
娘ときたら、一切の
びょん、と向こうの草むらで影が横切った。何あの小さな青
念のためにもう一本の魔杖も渡したら、そこいらの小枝を
≪
≪でしょうね≫
そりゃ、わたしはグウェンフォールと契約してるから平気だけど……えっと今、何が起こったの。
他人の
やはり向こうの草むらで青蛙が一匹、ぴょんと跳躍してみせる。
娘の従魔かしら……ううん、本人たちが全然気がついてないもの。でも変ね。
その後も様子を
そりゃ確かに、魂の抜けた
でも、見るからに髪も肌も真っ白なのよ? 結界侵入と呪いの衝撃で魔力が底をついたせいね。部分的に再利用する価値すらないのは一目で判るじゃない。魔素の欠片も残っていないから、最も悪食の魔獣ですら素通りするわ。
娘が魔道士なら、暇つぶしに攻撃魔術の的にするとか、使い捨て素材には流用できなくもないかしら。それなら大いに協力するけど……。
は? 山で火を点けたら山火事になるんじゃないかですって?
カマトトぶらないでほしいわ! 火魔術の苦手な新米魔道士みたいな言い
それで
名称で混乱していたみたいだけど、補助具だって使いこなしている。なんというこう、魔素抵抗が感じられないのよね。普通はもっと、発動するまで時間がかかるはずなのに……かなり怪しすぎるわ。
攻撃用使い捨て素材の成りそこないへ秘密裏に話しかける。
≪グウェンフォール、あんた、娘に聴かれないように念話できる?≫
≪あ?≫
やり方を簡単に説明すると、すぐに理解したみたい。長年ひたすらしつこく魔術を研究しているだけあって、こういうことは
≪こうか?≫
≪うん。なんだけど、この娘。本当に異世界から来たんだと思う?≫
≪の可能性が高い。時空間の境界線が接しておるのか、昔から
大陸の南のほうでは、相当数の渡り人が訪れた形跡があるみたい。グウェンフォールは魔術修行で壁の向こうまで何度も訪れているから、あっさり信じている。
わたしは基本、このヴァーレッフェから出たことがないから、
≪そんなことって可能なの?≫
≪境界線の
≪あの娘にそこまでの価値があるってこと?≫
≪術式を解析せぬことには断定できん。昨今の上級魔道士は、封印魔術の危険性をまともに認識しておらぬからな。運悪く巻き込まれた可能性もある。
にしても、この娘の魔力は異様じゃ。見よ、あの火力、衰える気配がない。おまけに天然モノの上質な補助具とはいえ、ここまで大掛かりな防御壁の技を詠唱も術式もなしでやってのけるとは、なんと器用な。
うむ。確かに召喚するに値する≫
秘密の念話の方で、グウェンフォールが感嘆している。魔道士なんて、死んでもやっぱり外道ね。
そこで娘のほうもようやく、不信感を抱いたみたい。
≪おじいさん、何者?≫
≪…………ワシは、しがない学校のしがない教師じゃ≫
≪念話できる猫は?≫
≪…………わたしは、ただの猫よ≫
娘が思いっきり顔を
神殿の魔道士め、このわたしにまで呪術陣を放つなんていい度胸してるわよね! 喉首まとめて
同じ人間の形をした骨に恨みを
……うふふ、ちょっと
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