第39話
イカれ腐った凡人の刃。
「ァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
数々の本来はあり得ぬ力を取り込み、己が体をこれ以上ないまでに傷つける刃。
「ゴフッ」
僕の口から血が溢れ出し、ごぼれ落ちた血が煙を上げてこの場を腐らせる。
「ふーふーふー」
既に視界は赤く染まり、己が四肢は悲鳴を上げ、数々の呪杭が己の体を貫いている。
己のありとあらゆるものが悲鳴を上げ、己の体に刻み込んだ呪言が踊り狂う。
「ふーふーふー」
それでもまだ足りない。
僕は既に数え切れぬほど服用した、たった一粒で人一人容易く壊すドーピング剤を数粒口に含む。
その効果が切れるよりも早く。
「何が……ッ!!!」
僕の目の前で魔王様が歯ぎしりし、僕を睨みつける。
「何がそこまでお前を駆り立てるッ!?私が……ッ!!!私が何かしたかッ!!!一度でもォ!!!」
「だから、ダァッ!!!」
魔王様のむき出しの思い。無意識のうちにさらけ出す魔王様の言葉に対して、僕は誰にも理解されぬ答えを返す。
「俺はッ!お前をここで倒すッ!!!」
血ダラケの体で嗤う。
「ここで倒さねばならぬだッ!!!!!」
「ふざけるなァァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
魔王様の怒りが僕の体を貫く。
大地を蹴り、振るわれる魔王様の剣。
それに対して僕は何も出来ない。ただ哀れに、惨めに転がり、足掻くのみ。
己が武器は既に一度しか持たない。
「くっ……」
惨めに地面を転がり、土を噛み締め、数々の武器を持ち、魔王様に対抗する。泥臭く足掻き、剣を振るう。
「堕ちろッ!堕ちろッ!堕ちろッ!死ねッ!!!」
魔王様のただの怒り。
飽きなき怒り。終わりなき怒り。
あり得ない……あまりにも絶望的すぎるほどの怒りを前にしながら僕は諦めずに足掻く。
足掻き続ける。
最期の一手を切るのはまだ早い。
「まだまだ……ッ!この程度死ぬのであれば最初からここに立てていないッ……!!!」
僕は足掻き続ける。ただの才なき凡人として。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます