第18話
『えっ!?』
脳内にレミアの驚愕の声が聞こえてくる。
『……そんなに驚くことではなくない?』
レミアの言葉に対して僕はそう告げる。
『一応僕ってば今、数人の魔族に囲まれているんだけど。……ここまで死を覚悟した足止めをされると流石の僕でも止まらざるを得ないよ』
『そ、そうなのか』
『まぁ、それでも全力で頑張るよ』
僕は大地を蹴る。
雷撃が駆け抜け、風が巻き起こる。
「よっと」
僕は己の手に握られている男の首を投げ捨てる。僕の少し後ろで首を失った魔族の男がゆっくりとその体を倒す。
「「「「「ッ!?!?」」」」」
「まずは一人」
貯めていた膨大な魔力で持って己の肉体を全力で強化した僕はその敵意を魔族たちへと向ける。
「クソッ!!!」
「……ッ!」
魔族に敵意を向けた僕に対して向けられる魔族たちの様々な敵意。
「……」
僕は一瞬で魔族の一人との距離を詰め、剣を振るう。
「ぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!」
僕に剣を向けられている魔族の一人はギリギリのところでそれを回避する。
「ほい」
だが、魔族はその剣にのみ注意を向けていたせいで何もかもが隙だらけだった。
異空間収納より取り出したもう一つの剣を左腕に持ち、魔族の心臓を貫く。
「ぐふっ」
「二人」
「クソ……!近づかれるなッ!まともに戦えば死ぬぞッ!!!」
仲間の死体を持っている僕に何の躊躇もなく大小様々な魔法をぶつけてくる。
「……結界は良いか」
自分に迫ってくる魔法に対し……僕は結界魔法を発動させることすらせず、そのまま突き進む。
結界魔法なんて貼らずとも……全て魔法で撃ち落としてやれば良い。
僕は魔族たちが撃ち込んでくる2、3倍の魔法を発動させて撃ち込んでいく。
「駄目だッ!撃ち合いも無理だッ!各々己が命を守り、だが逃さぬようにな!」
「……時間稼ぎなんて面倒なことをしてくれる」
僕は忌々しげに眉をひそめるふりをし、魔族たちとの戦闘を続けた。
魔族たちにとって、地獄の遅滞戦闘が開始された。
頑張ってくれよ。
僕は心の中で魔族たちの奮闘を期待しながら、そこそこの暴力を振るった。
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