第3話
「ど、ど、ど、ど、ど、どういうことッ!?!?」
「……」
笑顔のまま固まり続ける第二王女殿下とは対象的に慌ただしく表情をコロコロ変えていたテレシアが僕とアレナの方に体を乗り出して、唾を飛ばしてくる。
「パパ!ママ!」
それに対してアリエスが元気よく答える。僕とアレナを指差して。
「あぶっ……あぶっ……あばばばばばばば」
白目をむき、口から何か泡のような物を出しているテレシアに僕は怒鳴りつける。
「良く見ろッ!」
「はえ?」
「頭を!」
「つ、角……?」
「色々あったんだが……とりあえずはアレナがお腹を痛めて産んだ子どもじゃない。アリエスは僕ともアレナとも血の繋がりはない」
「あっ。えっ……そ、そう」
ものすごい表情を浮かべていたテレシアの顔がマシな状態となる。
「はぁー」
僕は深々とため息をつく。何もしていないのに疲れてしまった。
「……別に、僕はまだ誰のものでもないよ……テレシアのものになる気はないけど」
「よ、良かった……希望もなにもないのかと思ったよ」
「希望なんて持つな」
僕はそう吐き捨てた後、第二王女殿下の方へと視線を向ける。
「……」
未だに笑顔のまま膠着している第二王女殿下。
「だ、大丈夫か……?」
僕は第二王女殿下に話しかけ、手を振る。
……と、というかなんでこいつがこんなにも驚いているんだ?
ラタリタリタ……ラタリタリタ……。
僕が固まっている第二王女殿下に意識を向けてなんとか意識をこっちに戻せないか手を振っていたその時、HRの開始を知らせるチャイムが鳴り、教室の中にガイア先生がやってくる。
「よーし、HRを始めるぞーお前ら席につ……は?」
ガイア先生の視線が僕とアレナの頭の上にいるアリエスを見て固まる。
「はぁ?なんでうちのクラスに子供がいるんだ?」
ガイア先生が当然の、感じて当たり前の、疑念の声を上げる。
「ちょっと失礼します!」
「お気になさらんと、HRを進めとってとくんなはれ」
「お、おう……」
僕とアレナは共に教室から出ていった。
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