第1話

「パパ!ママ!ごはんー!!!」


「今、作るから待ってねー」

 

「あぁ!?暴れんといて!?」


 僕はキッチンで料理を作りながら、あたふたしているアレナを眺める。

 羊の角が生えた少女……アリエスを眺めながら、激動の一日を思い返す。

 

 いきなり目を覚まし、僕とアレナをパパとママと呼んだと思ったら、そのままお腹が空いたとわめき出し、自由奔放に高級宿を駆け巡り、色々な積極的に話しかけに行き、頭に生えた角に驚愕される。

 このまま宿に居られないと判断した僕とアレナは急遽一軒家へと移住し、三人生活を始めたのである。

 ここまで半日だ。スピード感が凄い。

 ちなみにだけど、名前は僕が考えた。


「まだ料理できへんの!?」


「待って。今作っているから」

 

 僕は焦っているアレナに対して呑気な言葉を返す。


「はい。出来たよ」

 

 テーブルの上に作った料理を置いていく。

 地球で料理の腕を磨き、異世界という限られたものしか使えない場所でも美味しいものを作れるように鍛え続けた僕の料理の腕に唸るが良い。


「えっ……美味しすぎ」


 料理を口に含んだアレナが驚愕の表情を浮かべ、呟く。


「んー!!!美味しい!」

 

 アリエスは満面の笑みを浮かべ、美味しそうに僕の使った料理を食べてくれる。

 ここまで喜んでくれるのであれば、作り手側にもやりがいがあるってものだよ。


「それだけ嬉しそうに食べてもらえたら作りがいがあるよ」

 

 僕は自分の分の料理を口に含む。

 うん。……まぁ、及第点だね。

 異世界という世界の中では美味しいが、どうしても地球と比べてしまうと……まぁ、うん。って感じの出来だった。

 まぁ、十分美味しく食べれるレベルであろう。


「それで……?俺らが学校に行っている間。この子どうするの?」


 食事中。

 僕はアレナの方に話を振る。

 

「そうなのよねぇ。結局ここだけが一番の問題なのよね。……学校に連れて行くわけには行かへんし……ほんまに困るわ」


「……そうだよね。マジでどうしようか」

 

 僕とアレナは目下、一番の問題に頭を抱えた。

 

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