第三章

プロローグ

 暗い、儚い、昏い、一室。


「……あれが逃げ出したのか」


「も、申し訳ございません……」


「それで……?あれは今、どこに……?」


「マキナ、という少年の手元にあるようです。た、直ちに奪還致しますので……ッ!」


「む……?マキナとな?」


「は、はい。そうですが……何か問題か?」


「いや、違う。マキナがその少年を持っているのであれば何も問題はない。取り返す必要もない。下がれ」


「……ッ!?ハッ!」


 慌てたようにこの部屋から一人の気配が消える。


「動くのは構わぬが……少しくらいは連絡が欲しいものだ」


 部屋に残された、既に圧倒的少数となってしまった魔族の男は、ポツリと呟いた。


 ■■■■■


 豪華絢爛、贅の限りが尽くされた一室。


「ふふふ……毒は仕込み終えました」

 

 そこで一人の少女が禍々しい笑みを浮かべる。


「私だって既に気づいているんですから」


 ■■■■■

 

「くくく……」

 

「狂気は嗤う」


「狂気は生きる」


「狂気は呼応する」

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