第23話
「じゃあ、なんでいきなり法外な徴税が始められるの……?何の意味もなく始めないと思うんだけど……」
「どう思う?第二王女殿下」
僕は会話を第二王女殿下へと振る。
客観的に見て、今、この場でその真実に近づける存在は第二王女殿下くらいだろう。
「すみません。わかりませんわ。……気になるようでしたら、少し調べてみますが?」
「お、お願いしたいかな……今はまだ代官クラスが動いただけだから大丈夫だけど、貴族が動いて、徴税を始めたら……どうしようもないから。少しで良いから何が起きているかの情報があると……」
「そうやな。うちとしても調べてほしいかなぁ……情報は何よりも大切にすべきものやさかいね。ほんの少しでもええさかい欲しい」
「だって、お願いできるかな?」
「はい。お任せください。しっかりと調べて来ますね」
僕たちの言葉に第二王女殿下は白々しい笑顔を浮かべて頷く。
その笑顔には人を引き寄せる何かを持っていた。
「うん。お願い」
「私もお父さんに聞いてみるよ」
そして、テレシアも自分の父親に聞いてみてくれると言うここまで心強い話はないだろう。
「ありがと」
「いやぁー持つべきものは貴族の友やな」
「そうだね。……今日の午後の授業ってば何だっけ?」
「えぇっと……確か算術じゃなかったけ?」
「あぁ……メンド」
「……そこで難しいじゃなくてメンドって出るのが凄いよね」
「まぁ、僕は先生よりも算術の知識があるだろうからね」
全国模試一位を舐めないでほしい。現代の地球から見たときのこの世界の算術は小学生だ。
なんでこんなに算術の経験が進んでいないのか、実に疑問である。
「というか、無駄話しすぎて給食の時間がもうすぐで終わっちゃうよ……急がないと」
「あぁ!?ホントだ!」
「うち……早う食べるの苦手なんやけど」
「頑張れ」
「最悪私が食べてあげるよ?」
「そら嫌」
僕たちは長話しすぎたせいでもうすぐ昼休憩が終わるという事実に焦り、残された昼食を急いで食べ進めるのだった。
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