第22話

 始まった学校。


「……ん。このメニュー美味しいな。びっくりするくらい安いからと忌避していたけど、ちゃんと料理だったみたい」


「え?貴族たちの残飯だと思っていたんだけど、違ったんだ」

 

「それがうまいならうちもそれにしよかな。ここの学食高いねん」


「それな」

 

「……それなら俺でも払えそうだな。毎日弁当作るの大変だったんだよね」


「……学食の代金くらい私が出すわよ?学食で一番高いのを4つ頼んでも、普段食べている食事の値段に満たないし」


「えぐ」 

 

 長い休み。

 そこで行われた幾つもの催し物。

 それが終わってもなお、学園は平穏そのもの。何も変化がないように思われた。


 僕たちは学食で食事を摂りながら雑談していた。

 

「そういえば、僕が自分の村に帰った時、代官が法律で定められた量を超える量を徴税しに来たんだよなぁ。追い返したけど」


「あぁ……確か、俺の村にも代官が無理やりな徴税をしようとしてきていたらしいな……王立カルド学園の生徒である俺の名前を出したら大人しく引いていったらしいけど」


「あっ。名前だけで済んだんだ。……僕なんか制服着てても学園生って理解されなくて、代官をボコしてから当主の元まで赴いたよ。こういう時は第二王女殿下の名前様々だね」


「うわ。外れじゃん」


「そうだね」


「そういうたら、うちの商会にも寄付を要求してきたな……今、国って財政難なんかいな?」


「……どうなの?」

 

 僕たちの視線が第二王女殿下の元へと集まる。

 テレシアにはわかりそうにない。現に首を傾げている。


「どうでしょうか……?別にそんな話は聞きませんが。祭りでの出費もそこまでではありませんでしたし」


「そうかー。なんで急に徴税と寄付を……?僕とレミアの村が徴税されたのであれば、多分大体の村は全部徴税されているよね?」


「ハッ!?まさか戦争!?」

 

 テレシアが、天啓を得たと言わんばかりの表情を浮かべて口を開く。


「いや、それはないだろ」


「それならもっと凄いと思うんだけど……村の大人たちは戦争のときは思い出したくもないくらいひどかったらしいし」


「ありえへんな」


「そもそもどこの国と戦うつもりなんですか?周辺国全て友好国ですが」

 

 だが、そんなテレシアの言葉は全員に否定される。

 この国は豊かな土地を持った内陸国。

 戦争が起こることのないように周辺国と上手く外交し、周辺国と仲良くやっている。この国の外交官は全員ビスマルクレベルの外交官だ。チート国家だ。


「ごめんなさい……」

 

 フルボッコにされたテレシアは謝罪の言葉を口にした。

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