第16話

 代官をこの領の治めている貴族の方に突き返したその日。

 僕は街の方で買ってきた多くのものを持って村の方へと帰ってきていた。


 ちなみにこの領を治めている貴族は子爵家のそこそこの地位にいる貴族であり、僕の存在を知っていた。

 僕という存在は第二王女殿下が執着している謎の人物として名が売れていたのだ。

 当主は僕にしっかりと謝罪し、こんなことが二度と起きないように注意してくれると約束してくれた。

 

 約束が果たされなければ第二王女殿下に話してしまうかも知れない……と、脅しておいたのでちゃんと守ってくれるだろう。


「おぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおお!」


「これは……!ありがたいッ!ありがたい……ッ!」


「全て最高級品だぞ!?これ……ッ!?信じられない……一体どれだけお金を払えばこんなものを買うことができるのだ!?」


「すっごーいッ!」

 

 僕が街に行って買ってきた品々を見て村のみんなが歓声を上げる。

 買ってきたものは全てアルファたちが運営している商会から買ってきたものだ。

 何もしていないけど、トップ特典ってことで全てお値段無料である。実にお得(?)だね。


 別に払うお金は持っていたけど、あなたからお金をもらうことなんて出来ない!と言われてしまったのだ。


「よし。これらを上手く分配しておいてね」

 

「じゃあ、僕はこれで。家のお手伝いしてくるから」

 

 僕は買ってきたものに群がっている大人たちを残して、自分の家の方へと向かった。


 ■■■■■


 誰もいない家の中。

 両親は共に仕事だろう。


「よいしょっと」


 僕は家の床へと手をつけ、魔力を流し込んでいく。

 

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

 

 床の一部が盛り上がり、地下へと続く階段をその場に見せる。

 

「ふんふんふーん」

 

 僕はその地下へと入る。

 そこは地獄への入り口。

 僕の……この世のありとあらゆる非業の術を極めしマッドサイエンティストである僕の実験室への入り口。


「あれ……?」

 

 僕は中に入ったその瞬間、僕は違和感を覚えて首を傾げる。


「なんでここってばこんなにきれいなんだ……?」

  

 学園に行っている間、放置されて汚くなっていると思ったそこはびっくりするくらいきれいな空間となっていた。

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