第14話
「謝罪してももう遅いわぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああ!!!」
これ以上無いまでに驚き、慌てている村人たちのざわめき。
そんな彼らの言葉をかき消すような代官の大きな声が響き渡る。
大きな声を上げる代官の表情は怒りに染まり、血走ったような視線を僕の方へと向けてくる。
「殺せッ!その無礼なガキを殺せッ!お前らッ!」
そして代官は自分が連れてきた兵士たちへと喚き散らし、兵士たちへと命令を下す。
「俺らを恨むんじゃねぇぞ。ガキ」
「あぁ、そうだ。元々お前が悪いんだからな」
代官のその命令を受け取った武器を持った兵士たちが僕の方へと近づいてくる。
その兵士たちの……彼らの持っている力は平民のガキを殺すには十分すぎる戦力である。
これから何の罪もない子供を殺すという行為に対して何の罪悪感も抱いていないように見える。
恐らく子供を殺すのはこれが初めてではないだろう。
「きゃぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああ!!!」
「マキナッ!駄目ッ!いやぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああ!」
僕の方に向かってくる兵士たちを前に回りの村人たちが悲鳴を上げる。
殺されそうになっている僕の方へと駆け寄ってこようとしているマキナを僕のお父さんが取り押さえている。
「はぁー。馬鹿だろ……どこの人間だよ、マジで」
僕はつま先で地面をたたき、音を鳴らす。
それだけ。
ただそれだけで近づいてきていた兵士たちが倒れ、夢の世界へと誘われる。
「「「は?」」」
あっさりと兵士を制圧した僕を前にこの場にいる全員が驚愕に固まる。
「な……何をッ!?何をしたッ!?自分が何をしたのかわかっているのか!?この俺を誰だと思っている!?……貴様ァ!」
「何勘違いしているんだし。僕は騎士候補官。貴族の子供たちのために用意されている職種、立場であり、その立場は準貴族。貴族の雇われでしかない代官よりも遥かに上だ」
「は……?騎士、候補官?王立カルド学園の?」
僕の一言を聞いて代官である男が固まる。
「なんだ。知っているんじゃないか。……制服は見たことないのか?僕は王立カルド学園の生徒だぞ」
「な、な、何を言っている!?あそこの学園には選ばれた存在しか入れないッ!お前のような平民が……ッ!」
「うるさいよ」
僕は再びつま先で地面を叩いて、音を鳴らし、代官も夢の中へと誘った。
「はい。これで解決。代官如きが僕に楯突くなよ。ってね」
床に倒れている代官を持ち上げ、僕は一人、頷いた。
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