第13話

「ん……?」

 

 僕の意識はレーニャの方から聞こえてきた声の方へと移される。


「どうしたの?」

 

 焦ったように僕の元までやってくる一人の男。


「代官様が!新しくなった代官様が突然税を徴収するとか言い出して、村から根こそぎ奪っていこうとッ!」


「え?……代官は今どこに?僕が行ってなんとかするよ」


「ほんとか!?なんとか出来るか!?王都でのコネで!?」


「一応出来るよ」

 

 僕の立場は代官よりも高い。

 普通になんとか出来るだろう。


「おぉー!!!ありがたい!こ、こっちだ……!」


「おけ」


「私も……!」

 

 僕とレーニャは男についていき、その代官がいるという場所にまで向かう。


「そ、そんな……!そんなことすれば我々は生きていけなくなってしまいます……!」


「知るか!良いから出せ!俺に逆らうんじゃない!」

 

 その男はすぐに見つけることができた。


「あれか……」


「はい」

 

 僕の言葉に男が頷く。


「じゃあ任せて」

 

 僕はサクッと魔法を使って学園の制服へと着替える。


「おい」

 

 威張り散らかしている代官の方へと僕は近寄っていき、声を上げる。


「ァ?」

 

 代官は声をかけてきた僕の方へと視線を向けてくる。


「この村は規定量を収めている。これ以上取ろうとするのは王国によって定められた法から逸脱する行為だが?」

 

 とりあえず正論をぶつけた僕。


「うるさい!お前のようなガキを口を挟んでくるな!」


 それに対して代官が返してきたのは暴言だった。

 

「……っ」

 

 僕はそんなことを言い出した代官を前に表情を歪ませる。

 こいつ……僕の服装が見えていないのか?意味がわからない。


「お前ら平民共は代官である俺の命令だけを聞いていれば良いんだ!この俺を誰だと思って口を聞いていやがる!ガキッ!」


「それはこっちの言葉だ……逆にお前は僕を誰だと思っている」

 

 僕は一瞬で代官との距離を詰め、彼が乗っていた馬車を木っ端微塵に破壊して外へと強引に引きずり出す。


「頭がたけぇ」

 

 引きずり出され、無様に床へと転がった代官を見下ろす。


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああ」


「な、何を!?」


「はわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわ」


「早くッ!早く謝罪しないとッ!」

 

「……」

 

 代官を地面へと転がせた。

 その事実を前に大きな反応を見せたのは村のみんなだった。

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