第12話
「はぁー。疲れたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああ」
「お疲れ様」
幼少期は良く来ていた木の下で心からの思いを吐露した僕に対してレーニャが労いの言葉とともに飲み物を渡してくれる。
「ありがと……んぐっ……んぐっ……あぁー!ふー。美味しい」
僕は貰った飲み物を冷却魔法で冷やし、冷えた飲み物を一気に口に含む。
「あぁ。疲れた。マジでこれが面倒だわ」
「駄目だよ!近所付き合いは大切なんだから!」
「わかってはいるけど、面倒だわ」
木の下から沈みゆき、空を朱色に染め上げる双極の太陽を眺めながらため息を漏らす。
早朝から夕方まで。
僕は村の人たち全員に王都から帰ってきた挨拶とお土産を渡すということをしていたのである。
少人数の村であるここだと、全員が顔見知り状態であり、挨拶に行かないなんてありえないのである。
田舎はこれだから嫌なのだ。
……団結しているのは良いことではあるけどね。
「そんなこと言っちゃ駄目だよ。みんなマキナのことを心配しているんだから」
「まぁ……だけど、大変なんだよ」
「それはそうだけどね……ちなみに私も心配していたんだよ?なのに、何も言わずに出ていかれたんだから……」
「悪かったて」
「わかってくれたなら良いよ。……もう村を出て行くことにすねたりしないから、また王都に行くときはちゃんと私に声をかけてね?」
「うん。わかったよ」
「ふへ。ありがと」
僕の言葉を聞いたレーニャが柔らかい笑顔を浮かべる。
「よいしょ」
そして、レーニャが僕の隣に腰掛け、その体を僕の方へと預けてくる。
もたれかかってレーニャから甘い女の子の匂いが漂ってくる。
「ん?何?」
唐突にもたれかかってきたレーニャを前に首を傾げる。
「……」
それに対してレーニャは沈黙を返す。
「……」
「……」
しばらく沈黙が続いた後、レーニャがその沈黙を破るかのように口を開く。
「ねぇ、マキ」
「大変だぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああ!!!」
喋りだしたレーニャの言葉を遮るように男の声が響いてきた。
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