第5話

 放課後。

 僕はレミアとアレナとテレシアと第二王女殿下と一緒に夜ご飯を食べに来ていた。

 今までいじめられていたレミアの苦労を癒やしたい……ッ!とテレシアがみんなの分を奢るから、という理由でお店にやってきているのである。


「……ッ!!!た、高い……」


「同意」


「……さ、流石は貴族」

 

 平民三人衆である僕たちはテレシアの勧めでやってきた飲食店のメニュー表に書かれている値段を見て表情を引きつらせる。

 この値段は色々と裏で暗躍している僕やそこそこ大きめな商会の娘であるアレナですら驚かせる。

 アルファたちであれば、巨万の富を築いているだろうが、別にそのお金が僕の方に流れてくるわけではない。

 そのため、僕自身はそこまで高い買い物をしないのである。


「一食で以前僕たちでした買い物、家を除いた金額分あるじゃないか……」

 

 この世界にはこんなに高い料理もあるんだな……普通に馬鹿だろっていう値段のものがある。


「あれは特別だったからな。普段はこのくらいのものを食べているぞ!」


 ぼ、僕ってまだまだ全然庶民派だったんだな……アルファたちはどうなんだろうか?


「今日は私の奢りよ!じゃんじゃん食べてね!」


 テレシアは笑顔で告げる。


「こ、こんな高級品を……?」

 

「ご、ごくり……」


「……」


 平民三人衆はテレシアの言葉の前に慄いている。

 特にレミアはそれが強い。

 こんな高いものを奢ってもらうわけにはいかない……!という強い心とこ、こんなに高い料理を食べてみたいという興味とがせめぎ合っていることだろう。


「ふふふ。別に気にしなくていいのよ?これくらいポンって払えるんだから」


 貴族すげぇー。

 その貴族からお金を巻き上げているアルファたちの資金力も凄いことになっていることだろう。


「マキナ様であればこのくらいの料亭であればいつでも奢りますよ?ふふふ」


「ァ?黙れや?おん?」

 

 第二王女殿下の申し出を聞いた僕は彼女を睨みつけ、喧嘩腰の言葉をぶつける。


「ふふふふふ」


「ちょいちょい!喧嘩は辞めーな!」


「「え?」」

 

 僕と第二王女殿下はアレナの言葉を聞いて首を傾げる。


「別に喧嘩なんてしてないけど……?」


「はい」


「……え?」

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