第54話

「さて、と……」

 

 僕は魔力が集まり、実体化した存在に視線を送る。


「おぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああ!!!」

 

 空間を震わせる声がこの場に響き渡る。


「うるさッ!思ったよりも大きな声出すじゃん」

 

 魔力が集まり、実体化した存在。

 紫色の肌色を持っている上半身だけの男と思われる怪物。

 人間であれば顔があるはずのその場所には顔の代わりにギョロギョロと動く無数の瞳が存在している。

 ……キモチワル。


「おぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああ!!!」

 

 ギョロギョロとしたその瞳から大量のビームが放出され、僕へと襲いかかってくる。


「……そこそこ痛いな」

 

 目からビームが僕の体を揺らし、血を溢れ出させる。

 出血を強要させるほどの威力は持っているものの、貫くだけの力は持っていないようだった。

 この程度の力を打ち込んだだけで、魔王様になるとか舐めているにもほどがあるだろう。


「……」


 この程度じゃ僕の使い捨ての禁制の品々を使うまでも無いだろう。


「呪剣」

 

 僕は異空間収納からその力の禍々しから使用を世界的に禁じられ、封印されていた剣を取り出す。


「荒れ狂え」

 

 僕は呪剣に魔力を込め、その力を開放する。

 ありとあらゆる生命……使用者の魔力すらも極限まで吸い付くし殺してしまうその力を。


「おぁ?」

 

 呪剣の力がテレシアに及ばないように特別な結界を貼ってあげる。


「おぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああ!!!」


 その体が魔力で出来ている存在にとってこの呪剣の効果は絶大にして絶対的。

 いともたやすく全ての魔力を吸い尽くして、その存在を消し飛ばす。


「静まれ」

 

 僕は呪剣に簡易的な封印を施して、無理やり力の発動を終わらせ、異空間収納の中へと仕舞う。

 僕の異空間収納は危険物の宝庫。

 この程度呪剣程度の力など、中にが入っているエゲツないモノたちの荒波に呑まれて非活性化することになるだろう。


「はい。これで終わり。本当にあっけなかったな」

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