第51話

「なっ!?……は?な、何を!?」

 

 この場に。

 強い魔力が轟く。

 僕から溢れ出す大量の魔力が吹き荒れる。


「ナニヲ?」

 

 僕の口から声が漏れる。


「それはこっちのセリフだ」

 

 ゆっくりと僕は言葉を話す。


「舐めているのか?魔王様を……こんな矮小な存在で復活させる?……あり得ない。あり得ない」

 

 一度。

 大きく息を吸う。


「魔王様は全ての生命の頂点なのだ美しくカッコよく可憐で可愛く幻想的で明媚で佳で凄惨で眩いで愛らしくて奇麗で見目よくて惨たらくて可憐で清らかで純麗で清廉で一笑千金で紅口白牙で仙姿玉質で沈魚落雁で羞花閉月で眉目秀麗で明眸皓歯で傾国傾城で絶世独立で氷肌玉骨で国色天香で解語之花で清楚で楚々で奥ゆかしくて婉容でしとやかでたおやかで端麗で優姿で優雅で美々しくて艶やかで契情で辨天で佳人で小町

で弁天で美形で言語などと言う矮小な存在が作り出した存在如きで言い合わせぬほどに美しくカッコよく可愛く完璧でその精神も至高的でいつもは凛としていて人前に立つ王として完璧な表情を持っているのにも関わらず実はいつも一人悲しみと悩みを抱えていてそれでもなおそれを一切見せずに努力し続けているところが素晴らしく尊く愛すべきであり守りたく支えたくてその死に際であっても決して弱音を吐くことなどなくただ王として前に立っていて実は動物好きで動物の前ではデレデレというそのギャップもたまらなく愛らしくて動物に愚痴を言っちゃう魔王様が最高で愛おしくて誰にも救いを求められないから動物に救いを求めて一人で寂しく嘲笑って普通の女の子らしくスイーツとか可愛い服とか着てみたいのに魔王という自分という存在に合わないからと我慢してただただ羨ましそうに見ている魔王様の姿が可哀相で愛らしくてたくさん貢ぎたくなっちゃうしたくさんいじめたくなっちゃう犯罪的な可愛さを持っていて至極の肌を伝う汗が可憐で血が色っぽく笑顔が壮絶で目を引かれて完璧なのに実はムダ毛の処理が甘かったり忘れていたりでチラチラ脇毛が見えちゃっているところとかも最高できれいな歯もしゃぶりたくなるくらいだし魔王様に罵倒されたいししたいしそのきれいな体に恐れ多くも触れて嗅いでみたいし愛したいし手元に起きたいし話したいし声を聞きたいしその姿を一目自分の脳裏に焼き付けたいし」


 言葉が止まらない。

 愛が、愛が、愛が。

 溢れ出してきて止まらない


「こんな矮小な存在で魔王様を現す?ありえないッ!侮辱だッ!断じて許すことなど出来ない絶対的な侮辱だッ!許されざることだッ!」

 

「そもそもの話。魔王様は封印されているだけで死んでなど居ない!」


「がっがりだ。お前らには何もないッ!魔王様への愛もッ!敬意もッ!信仰もッ!」


「なるほど。間違えない。お前らはただの足台程度の価値しかない」


「期待した僕が馬鹿だったのだ」

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