第50話

 儀式場のような場所。

 

 中心に置かれている大きな祭壇。

 蝋燭の炎によって照らされている禍々しくも美しい超巨大な像。

 その前に立つ鬼の仮面を被った男。

 

 そして、それらを囲むように存在している鬼の仮面を被った男たち。

 この場を照らしているのは蝋燭の炎だけである。


「なんかそろそろ儀式っぽいのも終わりそうだよね?」

 

「まぁ、そうではあるが……我らが計画を伝えられるほど汝を信頼しておらぬのでな」


「残念だなぁ」


 僕は大して残念じゃなさそうな声色を上げる。


「そこで大人しく見ておるが良い」


「うん。大人しく見させてもらうよ」

 

 僕は鬼の仮面を被った男たちを眺める。

 

「……」


「……」


「……」


「……」


「……」

 

 ただひたすらに無言で祈り続ける鬼の仮面の男たち。

 カルト宗教感がレベチ。


「……」

 

 僕はそんな様子をただただぼーっと眺める。

 それくらいしかできることはない。


「おんわか。そんわか。れんこわか。てんなのか」


 そして、中央に座っている鬼の仮面を被った男が意味のわからない呪文を唱え始める。

 マジで何?本当に何?……別に何か意味のある文字列であると思えないんだけど……。

 とてもじゃないけど、何か意味のある言葉の羅列とは思えない。


「……」

 

 だが、僕はただ黙ってみることしかできない。


「よし……!少女をここにッ!」

 

 中央に座る鬼の仮面を被った男が叫び、少女を、テレシアを所望する。


「はい!」

 

 遅刻してきた男の仮面を被った男がその言葉に頷き、アレナを中央へと運ぶ。


「あぁ……来るぞッ!来るぞッ!来るぞぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおお!!!」


 巨像とテレシアの体が光り輝き、強い魔力を荒れ狂いさせる。


「それで?……一体何をしているんだ?これは?」

 

 なんかもう儀式が終わりそうな現状を見て、今何をしているのか。

 それを中央にいる


「あぁ……もう良いだろう。くくく。これは何をしているか……それはな。魔王様を復活させる儀式なのだ」


「で?その内容は?」

 

 魔王様を復活させる儀式……それになんでテレシアが関わってくるんだ?別にこいつは魔王様と何か関係がある存在でもなくないか?

 一体どういう方法で魔王様の封印を解くつもりで……ん?復活させる?


「簡単よ。魔王様の力をこの素体へと流し込み、魔王様の魂をこの少女へと下ろす!そうすることでこの少女は魔王様となるのだッ!」

 

 中央に座っている鬼の仮面を被った男は自信満々に己の計画を語る。

 ん?

 ん?ん?

 ん?ん?ん?


「……ァ?」

 

 コイツハナニヲイッテイル???

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