第35話

 僕とアレナと第二王女殿下。

 この異色すぎるイツメンは学園中の注目の的になっていた。

 

 別に僕は何もしていないのに、第二王女殿下のせいでどんどんと僕の評価が上がっていく。


「ん。美味し」

 

 第二王女殿下と一緒に居たからただになった学食を頂きながら僕はぼーっと数学の勉強をしている第二王女殿下とアレナを眺める。

 あっ。これ美味し。

 また食べよ。これものすごく美味しかったわ。お気にお気に。


「そうですね……実際に例えを出した方がわかりやすいですね。……一桁の掛け算くらいは暗記していたほうが良いのですか」


「一桁の掛け算を暗記!?どんな無理難題!?……絶対に無理やで」


 小学生が一番最初にやることなのだが?

 マジでこの世界の住人、数字苦手だよな。遺伝子レベルで数字無理よな。


「頑張ってください」

 

 結構仲よさげに勉強をしている第二王女殿下とアレナ。

 それを料理を頂きながら見ている僕。

 

 そして、この三人から出来るだけ距離を取るために机と椅子を動かして壁の方を見て一切喋らずご飯を食べている他の生徒たち。


 一体こいつは何をしたのだろうか?

 

 尋常じゃないレベルで恐れられている第二王女殿下を前に僕は首を傾げる。

 ここまで恐れられているのは完全に理解不能である。

  

 何をしたらプライドの高い貴族たちからここまで恐れられることになるのだろうか?

 理解不能である。

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